特発性胸膜肺実質線維弾性症は特発性間質性肺炎のまれな型であり,上肺優位に病変がみられ,緩徐に進行する。しばしば反復する感染症,息切れ,乾性咳嗽がみられる。診断は高分解能CTによるが,肺生検が必要になることもある。コルチコステロイドが投与されることがある。
特発性胸膜肺実質線維弾性症(PPFE)は特発性間質性肺炎の1つに分類されるまれな病態である(1)。上葉の胸膜および胸膜下肺実質の線維化を伴う。
総論の参考文献
1.Travis WD, Costabel U, Hansell DM, et al: An Official American Thoracic Society/European Respiratory Society Statement: Update of the International Multidisciplinary Classification of the Idiopathic Interstitial Pneumonias.Am J Respir Crit Care Med 188 (6):733–748, 2013.
病因
特発性胸膜肺実質線維弾性症の原因は不明であるが,臨床データから反復する肺感染症との関連が示唆されている。遺伝的および自己免疫的な機序も関与している。
症状と徴候
平均発症年齢は57歳前後で,性差はない。特発性胸膜肺実質線維弾性症の患者のほとんどは非喫煙者である。患者はしばしば反復する感染症,息切れ,および乾性咳嗽を訴える。疾患経過中に気胸がよくみられる。
診断
高分解能CT(HRCT)
外科的肺生検(診断確定のため)
特発性胸膜肺実質線維弾性症の画像所見として,上葉の胸膜および胸膜下領域の肥厚がみられる。他の間質性肺炎の所見(通常型間質性肺炎や非特異性間質性肺炎のパターンなど)が併存することがある。コンソリデーション(浸潤影)や気管支拡張がみられることもある。
Image courtesy of Joyce S.Lee, MD, MAS.
病理学的特徴は,肺胞腔内の線維化と,同領域の肺胞壁にみられる顕著な弾性線維の集簇および臓側胸膜の高度な線維性肥厚である。下葉の間質性肺炎が併存する場合もある。
確定診断には外科的肺生検を必要とする。
予後
特発性胸膜肺実質線維弾性症の臨床経過は,多数の患者で進行する傾向がある。患者の60%で疾患の進行がみられる。
治療
おそらくコルチコステロイド
特発性胸膜肺実質線維弾性症の適切な治療法は不明である。大多数の文献でコルチコステロイドの使用が報告されている。