高齢者において注意して使用すべき薬剤(American Geriatrics Society 2019 Beers Criteria® Updateに基づく)

薬剤

注意すべき理由

心疾患および大腸癌一次予防用のアスピリン

70歳以上の患者においては注意して使用すること

アスピリンによる大出血のリスクは加齢とともに著しく増大する。

ダビガトラン

リバーロキサバン

75歳以上の患者における静脈血栓塞栓症(VTE)または心房細動の治療には注意して使用すること

75歳以上の患者において,ワルファリンよりも出血のリスクが高い

プラスグレル

75歳以上の患者においては慎重に使用すること。出血のリスクの増加;最もリスクが高い高齢者集団(例,心筋梗塞または糖尿病の既往のある高齢者)ではリスクが有益性を上回る可能性がある

抗精神病薬

カルバマゼピン

利尿薬

ミルタザピン

オクスカルバゼピン

セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

三環系抗うつ薬(TCA)

トラマドール

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群または低ナトリウム血症が悪化,または引き起こされる可能性がある

投薬の開始または用量の変更の際は,ナトリウム濃度を厳密にモニタリングすること

デキストロメトルファン/キニジン

認知症の行動症状を有する患者における効力は限られている(情動調節障害[pseudobulbar affect]の治療には適用されない)

転倒のリスクおよび臨床的に有意な薬物相互作用の懸念を増大させることがある

トリメトプリム/スルファメトキサゾール

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)を使用しておりクレアチニンクリアランスが低下している患者には注意して使用すること;このような患者では高カリウム血症のリスクを増大させる可能性がある

Adapted from The American Geriatrics Society 2019 Beers Criteria Update Expert Panel: American Geriatrics Society updated Beers Criteria® for potentially inappropriate medication use in older adults.J Am Geriatr Soc 67(4):674-694, 2019.doi:10.1111/jgs.15767