骨盤内炎症性疾患の治療レジメン*

治療

推奨レジメン

代替レジメン

注射剤†

レジメンA:

セフトリアキソン1g,静注,24時間毎

ドキシサイクリン100mg,経口または静注,12時間毎

および

メトロニダゾール500mg,経口または静注,12時間毎

レジメン B:セフォテタン2g,静注,12時間毎

または

セフォキシチン2g,静注,6時間毎

ドキシサイクリン100mg,経口または静注,12時間毎

レジメンC:

アンピシリン/スルバクタム3g,静注,6時間毎

ドキシサイクリン100mg,経口または静注,12時間毎

レジメンD:

クリンダマイシン900mg,静注,8時間毎

ゲンタマイシン2mg/kg,静注または筋注(負荷量),次いで1.5mg/kg,8時間毎(維持量);1日1回投与(3~5mg/kg,1日1回)に代替可能

経口または筋注‡

レジメンA:セフトリアキソン500mg,筋注,単回投与‡

ドキシサイクリン100mg,経口,1日2回,14日間

加えて

メトロニダゾール500mg,経口,1日2回,14日間

レジメン B:セフォキシチン2g,筋注,単回投与に加え,プロベネシド1g,経口,同時に単回投与

ドキシサイクリン100mg,経口,1日2回,14日間

加えて

メトロニダゾール500mg,経口,1日2回,14日間

レジメンC:他の第3世代セファロスポリン系薬剤(例,セフチゾキシム,セフォタキシム)の非経口投与

ドキシサイクリン100mg,経口,1日2回,14日間

加えて

メトロニダゾール500mg,経口,1日2回,14日間

レジメンD§:レボフロキサシン500mg,経口,1日1回,14日間

または

モキシフロキサシン400mg,経口,1日1回,14日間

加えて

メトロニダゾール500mg,経口,1日2回,14日間

レジメンD:アジスロマイシン500mg,静注,1日1回,1~2回,その後250mg,経口,1日1回,合計投与期間は7日間

場合により以下を併用

メトロニダゾール500mg,経口,1日2回,12~14日間

* 米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)からの勧告。Workowski KA, Bachmann LH, Chan PA, et al: Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021. MMWR Recomm Rep 70(4):1-187, 2021 doi:10.15585/mmwr.rr7004a1

† 筋肉内/経口投与と非経口投与の臨床成績は類似しているため,軽症から中等症のPIDでは筋肉内または経口投与による治療を考慮することができる。経口投与による治療で72時間以内に反応がみられない場合は,診断を確定するために再評価を行い,静脈内投与を行うべきである。

‡ 患者の体重が150kgを超え,淋菌感染症が確認されている場合は,セフトリアキソン1gを投与すべきである。

§ このレジメンは,患者にセファロスポリン系薬剤に対するアレルギーがあり,淋菌感染症の地域有病率および個人的なリスクが低く,フォローアップ可能である見込みが高い場合に,考慮することができる。治療開始前に淋菌感染症の検査を行う必要があり,以下の管理方針が推奨される:

  • 淋菌感染症の培養で陽性となった場合:薬剤感受性試験の結果に基づく治療

  • キノロン耐性淋菌(Neisseria gonorrhoeae)が同定されるか,抗菌薬感受性が評価不能の場合:感染症専門医へのコンサルテーション

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