薬理遺伝学的変異の例

変化

頻度

影響の例

アセチル化,急速

アセチル化される薬物(例,イソニアジド)で期待する治療効果を得るのに,より高用量またはより頻回の投与が必要になる

アセチル化,緩徐(肝N-アセチルトランスフェラーゼによる薬物の不活化)

米国人口の約50%

アセチル化される薬物の有害作用(例,イソニアジドによる末梢神経炎;ヒドララジンまたはプロカインアミドによるループス)について感受性を増大させる

アルデヒド脱水素酵素2欠損症

日本人,中国人,および他のアジア人集団の約50%

飲酒により血中アセトアルデヒド濃度が著しく上昇し,顔面紅潮,心拍数の増加,発汗,筋力低下のほか,ときにカテコラミンを介して多幸感を伴う血管拡張を引き起こす

CYP2C9遺伝子多型

ある研究では30%

東アジア人により多くみられる

クロピドグレルの酵素による活性化の阻害は,抗血小板作用の減弱と高リスク患者における血栓症リスクの増大につながる

G6PD欠損症

アフリカ系男性の10%

地中海沿岸出身の人々で有病率が高い

特定の抗マラリア薬(例,クロロキン,プリマキン)などの酸化性の薬物を使用すると,溶血性貧血のリスクが増大する

CYP2C9およびVKORC1(vitamin K epoxide reductase complex subunit 1)の遺伝子多型

任意の集団の約50%が少なくとも1つのアレルを保有している

ワルファリンの作用を増強させ,*出血イベントのリスクを増大させる

HLA-B*1502

主に白人から成る国々で1~6/10,000

一部のアジア諸国では,約10倍高い

重篤な皮膚反応(例,スティーブンス-ジョンソン症候群)を含む,カルバマゼピンに対する有害反応のリスクを増大させる

血漿偽コリンエステラーゼ欠損症

約1500人に1人

スキサメトニウムの不活化が阻害される

スキサメトニウムを従来の用量で投与すると,遷延性の呼吸筋麻痺が生じるほか,ときに代替経路による消失までの機械的人工換気を必要とする遷延性の無呼吸を来すことがある

* ある研究では,CYP2C9またはVKORC1遺伝子の多様性でワルファリン投与量のばらつきの約40%が説明できた。

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