脳ヘルニアの影響

ヘルニアの種類

機序*

所見

テント切痕ヘルニア

同側の第3脳神経の圧迫

片側の瞳孔散大,固定

動眼神経麻痺

後大脳動脈の圧迫

対側同名半盲

意識障害患者における半盲側からの視覚的威嚇に対する瞬目反射の消失

対側の第3脳神経および大脳脚の圧迫(テントが大脳脚に切り込みKernohan notchを形成する)

対側の瞳孔散大および動眼神経麻痺

同側の不全片麻痺

同側の大脳脚の圧迫

対側の不全片麻痺

最終的に,上部脳幹と視床および視床周囲の領域の圧迫

意識障害

呼吸パターンの異常

瞳孔不同,固定

さらなる脳幹の障害

頭位変換眼球反射の消失

前庭眼反射の消失

角膜反射の消失

除脳硬直

大脳鎌下(帯状回)ヘルニア

一側または両側の前大脳動脈を引き込み,傍正中部の皮質の梗塞を生じる

対側下肢の麻痺

梗塞領域の拡大

乳頭浮腫

頭蓋内圧亢進

テント切痕ヘルニア,正中ヘルニア,またはその両方のリスク増大

正中ヘルニア

両側性,ほぼ対称性の中脳損傷

瞳孔正中位,固定

除脳硬直

テント切痕ヘルニアと同じ症状の多く

さらなる脳幹の障害

全ての脳幹反射の消失

除脳硬直の消失

呼吸停止

脳死

上行性テント切痕ヘルニア

第3脳室後部の圧迫

水頭症,およびそれによる頭蓋内圧亢進

中脳の血管の捻転

ガレン大静脈およびローゼンタール静脈の圧迫

上小脳動脈閉塞による小脳上部の梗塞

初期:悪心,嘔吐,後頭部痛,運動失調

後期:傾眠,呼吸異常,斑状かつ進行性の脳幹反射消失

後頭蓋窩腫瘤(例,小脳出血)

運動失調,構音障害

進行性の脳幹圧迫

傾眠の悪化

不規則な呼吸

斑状であるが進行性の脳幹反射消失

小脳扁桃ヘルニア

脳幹の圧迫

髄液の流れの閉塞

急性水頭症(意識障害,頭痛,嘔吐,および髄膜症を伴う)

非共同性眼球運動,眼振

後に,突然の呼吸停止および心停止

*全ての患者で全ての機序が生じるわけではない。

CNS = 中枢神経系

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