抗不整脈薬(Vaughan Williams分類)

抗不整脈薬(Vaughan Williams分類)

薬物

主な有害作用

備考

Ia群

用途:心房および心室性期外収縮の抑制,SVTおよびVTの抑制,AFまたは心房粗動,およびVFの抑制

ジソピラミド

抗コリン作用(尿閉,緑内障,口腔乾燥,霧視,腸管障害),低血糖,トルサードドポアント型心室頻拍;陰性変力作用

左室機能障害または腎機能不全がある場合は慎重に使用すること

有害作用がアドヒアランス不良につながることがある。

QRS幅が過度に増大した場合は†,投与速度を下げるか,減量するか,投与を中止する

静注製剤は米国では入手できない

プロカインアミド*

低血圧(点滴静注時),抗核抗体陽性または薬剤性ループス,無顆粒球症,トルサードドポアント型心室頻拍

徐放性製剤が使用可能である

QRS幅が過度に増大した場合†またはQTc間隔が延長した場合は,投与速度を下げるか,減量するか,投与を中止する

キニジン

消化管症状,血小板減少,肝機能異常,トルサードドポアント型心室頻拍

QRS幅が過度に増大した場合†またはQTc間隔が延長した場合は,投与速度を下げるか,減量するか,投与を中止する

Ib群

用途:心室性不整脈(心室性期外収縮,VT,VF)の抑制

リドカイン

投与が急速な場合は振戦,痙攣発作,眠気,せん妄,錯感覚;急性心筋梗塞後には徐脈性不整脈の発生リスク上昇

開始から24時間以降は減量する

初回通過効果により急速に代謝される

メキシレチン

悪心,嘔吐,振戦,痙攣発作

経口徐放性製剤および静注製剤は米国では入手できない

Ic群

用途:心房および心室性期外収縮の抑制,SVTおよびVTの抑制,AFまたは心房粗動,およびVFの抑制

フレカイニド

ときに,霧視および錯感覚

構造的心疾患を合併している患者では不整脈を誘発する

QRS幅が増大した場合は,減量するか,投与を中止する

静注製剤は米国では入手できない

プロパフェノン

β遮断作用あり,反応性気道疾患を悪化させる可能性あり,消化管障害

薬物動態が非線形であり,前回用量の50%を超えて増量してはならない

初回通過効果による代謝が飽和する可能性がある

静注製剤は米国では入手できない

II群(β遮断薬)

用途:上室性頻拍性不整脈(心房性期外収縮,ST,SVT,AF,心房粗動),および心室性不整脈(しばしば補助的な使用)

アセブトロール

全てのβ遮断薬で消化管障害,不眠症,悪夢,嗜眠,勃起障害,また房室結節機能不全のある患者では房室ブロックの可能性もあり;反応性気道疾患の悪化(「非選択的」β遮断薬,プロプラノロール,ナドロール,チモロールで悪化する)

気管支攣縮を引き起こす気道疾患を有する患者では相対的禁忌

アテノロール

ベタキソロール

ビソプロロール

カルベジロール

エスモロール

メトプロロール

ナドロール

プロプラノロール

チモロール

III群(膜安定化作用を有する薬剤)

用途:トルサードドポアント型心室頻拍を除く全ての頻拍性不整脈

アミオダロン‡

肺毒性,QTc延長;トルサードドポアント型心室頻拍;徐脈;露光部皮膚の灰色または青色への変色;肝臓の異常;末梢神経障害;角膜の微小沈着物,甲状腺機能の変化;血清クレアチニン高値

非競合的β遮断作用,カルシウムチャネル遮断作用,およびナトリウムチャネル遮断作用を有し,作用の発現は大幅に遅延する

QT間隔を延長させる他の薬剤よりも不応期を均一に延長させるため,トルサードドポアント型心室頻拍の頻度は比較的低い。

静注製剤は薬理学的除細動に使用することができる。

アジミリド(azimilide)*

トルサードドポアント型心室頻拍

ブレチリウム*

低血圧

II群の特徴も有する

致死的となる可能性のある治療抵抗性の心室性頻拍性不整脈(難治性VT,再発性VF)の治療に用いられる

ドフェチリド

トルサードドポアント型心室頻拍

QTc延長またはGFR低下がある場合は禁忌

ドロネダロン(dronedarone)

QTc延長,トルサードドポアント型心室頻拍,徐脈,消化管障害,肝毒性,血清クレアチニン高値

アミオダロン分子を修飾した物質であり,半減期が短く,分布容積が小さくなっており,有害作用は少ないが,効力に乏しい

心不全の既往または永続性心房細動を有する患者に使用してはならない

イブチリド(ibutilide)

トルサードドポアント型心室頻拍

AFおよび心房粗動の停止に用いられる

ソタロール

II群と同様;左室機能低下およびトルサードドポアント型心室頻拍の可能性あり

臨床的に使用可能な製剤にはβ遮断(II群)活性もある

腎機能不全がある患者では使用を避ける

ベルナカラント(vernakalant)

低血圧(特に心不全がある場合)

徐脈性不整脈(特にβ遮断薬を併用している場合)

発症後間もないAFの停止に用いられる

米国では入手できない。

IV群(カルシウム拮抗薬)

用途:SVTの停止,および速いAFまたは心房粗動の緩徐化

ジルチアゼム

VT患者ではVFを引き起こす可能性あり,陰性変力作用

AFまたは心房粗動での心室拍数の抑制には静注製剤が使用される

ベラパミル

VT患者ではVFを引き起こす可能性あり,陰性変力作用

房室結節が関係するQRS幅の狭い頻拍の停止には静注製剤が使用される

その他の抗不整脈薬

アデノシン

呼吸困難,胸部不快感,および紅潮,気管支攣縮

房室結節伝導を遅延または遮断する

作用持続時間が極めて短い

禁忌には喘息,高度の心ブロックなどがある

ジピリダモールによって作用が増強する

ジゴキシン

消化管症状;多発性の不整脈(心室性期外収縮,VT,心房性期外収縮,心房頻拍,第2度または第3度房室ブロック,これらの併発)

ジゴキシンは副伝導路の不応期を短縮させるため,心室早期興奮(顕性WPW症候群)では禁忌である;AFが起こると,心室応答が過剰になり生命を脅かす可能性がある

* 入手可能性は不明。

† QRS幅は増大すると予想される。投与期間の延長が過剰になった場合にのみ,薬剤を変更する。

‡ アミオダロンの用量には年齢と適応に応じて大きな幅があるため,製造業者の添付文書を確認すべきである。

AF = 心房細動;APB = 心房性期外収縮;AV = 房室;GFR = 糸球体濾過量;GI = 消化管;IV = 静脈内;LV = 左室;rQTc = 心拍数で補正したQT間隔;SVT = 上室頻拍;VF = 心室細動;VPB = 心室性期外収縮;VT = 心室頻拍。

* 入手可能性は不明。

† QRS幅は増大すると予想される。投与期間の延長が過剰になった場合にのみ,薬剤を変更する。

‡ アミオダロンの用量には年齢と適応に応じて大きな幅があるため,製造業者の添付文書を確認すべきである。

AF = 心房細動;APB = 心房性期外収縮;AV = 房室;GFR = 糸球体濾過量;GI = 消化管;IV = 静脈内;LV = 左室;rQTc = 心拍数で補正したQT間隔;SVT = 上室頻拍;VF = 心室細動;VPB = 心室性期外収縮;VT = 心室頻拍。

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