成人ライム病の抗菌薬治療に関するガイドライン*

成人ライム病の抗菌薬治療に関するガイドライン*

薬剤

用法・用量

早期ライム病†

アモキシシリン

500mg,経口,1日3回,14日間

ドキシサイクリン

100mg,経口,1日2回,10日間

セフロキシム アキセチル

500mg,経口,1日2回,14日間

アジスロマイシン(ドキシサイクリンまたはβ-ラクタム系抗菌薬を服用できない患者)

500mg,経口,1日1回,7日間

神経症状

ベル麻痺(他の神経学的異常なし):

ドキシサイクリン

100mg,経口,1日2回,14~21日間

髄膜炎(神経根神経障害および脳炎の有無は問わない)‡:

セフトリアキソン

2g,静注,1日1回,14~21日間

セフォタキシム

2g,静注,8時間毎,14~21日間

ベンジルペニシリン

300~400万単位,静注,4時間毎,14~21日間

ドキシサイクリン(初期の神経疾患に対して)

100~200mg,経口,1日2回,14~21日間

心症状

セフトリアキソン

2g,静注,1日1回,14~21日間

ベンジルペニシリン

300~400万単位,静注,4時間毎,14~21日間

ドキシサイクリン

100mg,経口,1日2回,14~21日間§

アモキシシリン

500mg,経口,1日3回,14~21日間§

セフロキシム

500mg,経口,1日2回,14~21日間§

関節炎(神経学的異常なし)║

アモキシシリン

500mg,経口,1日3回,28日間

ドキシサイクリン

100mg,経口,1日2回,28日間

セフロキシム アキセチル

500mg,経口,1日2回,28日間

セフトリアキソン

2g,静注,1日1回,28日間

慢性萎縮性肢端皮膚炎

アモキシシリン

500mg,経口,1日3回,21~28日間

ドキシサイクリン

100mg,経口,1日2回,21~28日間

セフロキシム

500mg,経口,1日2回,21~28日間

* 妊婦にはアモキシシリン500mg,1日3回を14日間投与してもよい。血清学的検査が陽性でも無症状の妊婦には,治療は不要である。

† 神経,心臓,および関節の異常を認めない。遊走性紅斑の病変が1つのみの早期ライム病には,10日間で十分である。

‡ 至適治療期間は確立されていない。ライム病のいかなる神経症状についても,4週間を超える治療法の比較試験は実施されていない。

§ PR間隔30msec未満,かつ心室機能正常な第1度の心ブロックを伴う軽度の心炎に対して

║ 経口レジメンで治療を開始し,反応が不十分な場合はそのレジメンを繰り返す。反応が得られないか症状が悪化した場合には,セフトリアキソンの注射剤を投与する。

Adapted from Lantos PM, Rumbaugh J, Bockenstedt LK, et al: Clinical practice guidelines by the Infectious Diseases Society of America (IDSA), American Academy of Neurology (AAN), and American College of Rheumatology (ACR): 2020 Guidelines for the prevention, diagnosis and treatment of Lyme disease. Clin Infect Dis 72(1):e1–e48, 2021.doi: 10.1093/cid/ciaa1215

* 妊婦にはアモキシシリン500mg,1日3回を14日間投与してもよい。血清学的検査が陽性でも無症状の妊婦には,治療は不要である。

† 神経,心臓,および関節の異常を認めない。遊走性紅斑の病変が1つのみの早期ライム病には,10日間で十分である。

‡ 至適治療期間は確立されていない。ライム病のいかなる神経症状についても,4週間を超える治療法の比較試験は実施されていない。

§ PR間隔30msec未満,かつ心室機能正常な第1度の心ブロックを伴う軽度の心炎に対して

║ 経口レジメンで治療を開始し,反応が不十分な場合はそのレジメンを繰り返す。反応が得られないか症状が悪化した場合には,セフトリアキソンの注射剤を投与する。

Adapted from Lantos PM, Rumbaugh J, Bockenstedt LK, et al: Clinical practice guidelines by the Infectious Diseases Society of America (IDSA), American Academy of Neurology (AAN), and American College of Rheumatology (ACR): 2020 Guidelines for the prevention, diagnosis and treatment of Lyme disease. Clin Infect Dis 72(1):e1–e48, 2021.doi: 10.1093/cid/ciaa1215

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