小児では毒性の発現が異なる主な薬剤

薬剤

臨床症候群

機序

備考

表面麻酔薬(例,ベンゾカイン,リドカインおよびプロピトカインの混合剤)

チアノーゼ

メトヘモグロビンの形成(二価鉄が酸化され三価鉄になる)

発生はまれ

セフトリアキソン

黄疸

核黄疸

アルブミンからビリルビンが遊離

新生児にのみ影響

コデイン*

呼吸抑制

死亡

コデインからモルヒネへの超迅速代謝

遺伝子多型

手術後の死亡および母親がコデインを服用した母乳栄養児の死亡が発生

ジフェノキシラート(diphenoxylate)

呼吸抑制

死亡

中枢神経系の抑制(未熟な中枢神経系において)

過量投与による症候群(通常は2歳未満の小児)

フルオロキノロン系

軟骨毒性

不明

動物試験の結果に基づき疑われているが,ヒトにおける有害作用が証明されているわけではなく,短期使用は安全かもしれない

リンデン(外用)

痙攣発作

中枢神経系毒性

小児では吸収が高まると考えられる

体重50kg未満の小児には使用すべきではない(代替薬剤を使用すべきである)

プロクロルペラジン

中枢神経系機能の変化

錐体外路系への影響

後弓反張

泉門膨隆

中枢神経系の多数の受容体を介する作用

発熱および脱水のある乳児では特にリスクがある

選択的セロトニン再取り込み阻害薬

希死念慮

不明

小児および青年における希死念慮の発生の増加

テトラサイクリン

歯のエナメル質の変色および圧痕

歯の成長におけるカルシウムのキレート化

8歳未満の小児に投与しないこと

* 小児におけるコデインの代謝については,American Academy of Pediatricsのclinical reportを参照のこと。