全身性真菌感染症に対する主な抗真菌薬

薬剤

用途

用法・用量

主な有害作用

アムホテリシンB

大半の真菌感染症

Pseudallescheria属真菌には適応とならない)

従来(デオキシコール酸)製剤:0.5~1.0mg/kg,静注,1日1回

従来の製剤:急性輸注反応(infusion reaction),神経障害,消化管障害,腎不全,貧血,血栓性静脈炎,難聴,発疹,低カリウム血症,低マグネシウム血症

様々な脂質製剤:3~5mg/kg,静注,1日1回

脂質製剤:輸注反応(infusion reaction)*,腎不全*

アニデュラファンギン(anidulafungin)

アスペルギルス症

カンジダ症,カンジダ血症を含む

1日目は200mg,静注,以降は100mg,静注,1日1回

食道カンジダ症に対しては半量投与

肝炎,下痢,低カリウム血症,輸注反応

カスポファンギン

アスペルギルス症

カンジダ症,カンジダ血症を含む

1日目の70mg,静注,以降は50mg,静注,1日1回

静脈炎,頭痛,消化管障害,発疹

フルコナゾール

粘膜性および全身性カンジダ症

クリプトコッカス髄膜炎

コクシジオイデス髄膜炎

100~1200mg,経口または静注,1日1回(負荷投与を行ってもよい)

小児:3~12mg/kg,経口または静注,1日1回

消化管障害,発疹,肝炎,QT延長

フルシトシン†

カンジダ症(全身性)

クリプトコッカス症

12.5~37.5mg/kg,経口,1日4回

骨髄毒性による汎血球減少,神経障害,悪心,嘔吐,肝および腎損傷,大腸炎

イサブコナゾール(isavuconazole)‡

アスペルギルス症

ムコール症

372mg,経口または静注,8時間毎(6回)で開始した後,維持用量として372mg,経口または静注,1日1回

悪心,嘔吐,肝炎,心血管リスクの所見を伴わないQT短縮,輸注反応(infusion-related reaction)

イトラコナゾール

皮膚真菌症

ヒストプラズマ症ブラストミセス症コクシジオイデス症スポロトリクム症

100mg,経口,1日1回から200mg,経口,1日2回(空腹時に経口液剤,食後にカプセル剤を投与)

肝炎,消化管障害,発疹,頭痛,めまい,低カリウム血症,高血圧,浮腫,QT延長,心不全

SUBA-イトラコナゾール(Super-BioAvailable-イトラコナゾール)

ヒストプラズマ症ブラストミセス症アスペルギルス症

130mg,経口,1日1回~130mg,1日2回

肝炎,消化管障害,発疹,頭痛,めまい,低カリウム血症,高血圧,浮腫,QT延長,心不全

ミカファンギン

アスペルギルス症

カンジダ症,カンジダ血症を含む

100mg,静注,1日1回(食道カンジダ症には150mg)

静脈炎,肝炎,発疹,頭痛,悪心,急性血管内溶血

ポサコナゾール

侵襲性アスペルギルス症およびカンジダ症に対する予防

200mg,経口,1日3回

肝炎,消化管障害,発疹,QT延長

口腔カンジダ症

1日目は100mg,経口,1日2回,以降は100mg,経口,1日1回を13日間

イトラコナゾール難治性口腔カンジダ症

400mg,経口,1日2回

ボリコナゾール

侵襲性アスペルギルス症

カンジダ症

フサリウム症

スケドスポリウム症

6mg/kg,静注の負荷投与2回に続いて200mg,経口,12時間毎

または

3~6mg/kg,静注,12時間毎

消化管障害,一時的な視覚障害,末梢浮腫,発疹,肝炎,QT延長

* この有害作用は,従来の製剤より脂質製剤の方が頻度が低い。

† アムホテリシンBは,重篤なカンジダ(Candida)およびクリプトコッカス感染症に対してフルシトシンと併用される。

‡ イサブコナゾール(isavuconazole)はプロドラッグであるイサブコナゾニウム(isavuconazonium)として投与する; イサブコナゾニウム(isavuconazonium)372mgはイサブコナゾール(isavuconazole)200mgに相当する。

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