遺伝性低リン血症性くる病の病型*

遺伝性低リン血症性くる病の病型*

病型

遺伝形式

遺伝子(遺伝子座)

遺伝子変異の影響

臨床的特徴

X連鎖性低リン血症(XLH)

X連鎖顕性(優性)

PHEX(Xp22.1)

不活化変異によりフォスファトニン(FGF-23)の産生が亢進する

血清カルシウム正常,尿中カルシウム正常または低値,アルカリホスファターゼ高値,インタクト副甲状腺ホルモン正常または逆説的高値を呈する,腎臓でのリン喪失

くる病/骨軟化症,歯牙萌出遅延,歯性膿瘍,頭蓋顔面異常,難聴,高血圧,腎石灰化症(管理に起因する)

常染色体潜性(劣性)低リン血症性くる病(ARHR)

常染色体潜性(劣性)

ARHR1:DMP1(4q22.1)

ARHR2:ENPP1(6q23.2)

ARHR3:FAM20C(7p22.3)†

FGF-23の不適当増加を伴う機能喪失型変異

一般的特徴として,腎臓でのリン喪失,血清カルシウム正常,尿中カルシウム低値/正常,およびアルカリホスファターゼ高値

くる病/骨軟化症,低身長,長管骨の変形,脊椎の不動性,腱付着部症,歯および顔面骨の異常,学習障害

常染色体顕性(優性)低リン血症性くる病(ADHR)

常染色体顕性(優性)(浸透率は様々)

FGF23(12p13.32)

FGF-23タンパク質を開裂(分解)できないため,血清中濃度が上昇する

特徴はXLHと類似することがあるが,発症年齢および浸透度は様々

高カルシウム尿症を伴う遺伝性低リン血症性くる病(hereditary hypophosphatemic rickets with hypercalciuria[HHRH])

常染色体潜性(劣性)

SLC34A3(9q34.3)

FGF-23正常/低値

近位尿細管のNaPi2cの異常

リン喪失および1,25-ジヒドロキシビタミンD3高値により,高カルシウム尿症,結石,ならびに腎結石症および/または腎石灰化症が生じる

低リン血症,高カルシウム血症,および腎石灰化症(HHN)

常染色体潜性(劣性)

SLC34A1(5q35)

FGF-23の抑制

NaPi2aの異常

1,25-ジヒドロキシビタミンD3濃度の上昇,低リン血症,高カルシウム血症,高カルシウム尿症,および腎石灰化症

* この表では,FGF-23が増加または正常から低値となる単一遺伝子型の遺伝性低リン血症性くる病について,簡潔な概要を示している。

† この病型は,骨硬化性の異形成症で生じる場合と,Raine症候群(まれな骨異形成症)の一部として生じる場合がある。

FGF-23 = 線維芽細胞増殖因子23;NaPi2a = 腎臓の2a型ナトリウム-リン酸共輸送体;NaPi2c = 腎臓の2c型ナトリウム-リン酸共輸送体。

Adapted from Bitzan M, Goodyer PR: Hypophosphatemic rickets.Pediatr Clin N Am 66(1):179–207, 2019.doi: 10.1016/j.pcl.2018.09.004

* この表では,FGF-23が増加または正常から低値となる単一遺伝子型の遺伝性低リン血症性くる病について,簡潔な概要を示している。

† この病型は,骨硬化性の異形成症で生じる場合と,Raine症候群(まれな骨異形成症)の一部として生じる場合がある。

FGF-23 = 線維芽細胞増殖因子23;NaPi2a = 腎臓の2a型ナトリウム-リン酸共輸送体;NaPi2c = 腎臓の2c型ナトリウム-リン酸共輸送体。

Adapted from Bitzan M, Goodyer PR: Hypophosphatemic rickets.Pediatr Clin N Am 66(1):179–207, 2019.doi: 10.1016/j.pcl.2018.09.004

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