抗うつ薬

抗うつ薬

薬物クラス

具体的な薬剤

主な注意事項*

選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)

投与を突然中止すると,中止症状†を引き起こす(フルオキセチンでは可能性がより低い)

シタロプラム

CYP酵素への作用がより少ないため,薬物相互作用の可能性は低い

QT延長のリスクがあり,用量が40mg/日以下に制限される

エスシタロプラム

CYP酵素への作用がより少ないため,薬物相互作用の可能性は低い

フルオキセチン

半減期が非常に長い

中止症状†を引き起こす可能性が低い

小児における有効性が証明されている唯一の抗うつ薬

フルボキサミン

テオフィリン,ワルファリン,およびクロザピン血中濃度の臨床的に意味のある上昇を引き起こす可能性がある

活性代謝物がHCA,カルバマゼピン,抗精神病薬,またはIc群抗不整脈薬と相互作用を起こす可能性がある

フルオキセチンと同様のCYPプロファイルを有する

パロキセチン

活性代謝物がHCA,カルバマゼピン,抗精神病薬,またはIc群抗不整脈薬と相互作用を起こす可能性がある

フルオキセチンと同様のCYPプロファイルを有する

SSRIの中で最も大幅な体重増加を引き起こす可能性がある

セルトラリン

SSRIの中で軟便の発生率が最も高い

ビラゾドン(vilazodone)

アスピリン,他のNSAID,または凝固に影響を及ぼす他の薬剤と併用すると,出血リスクが増大する可能性がある

突然中止してはならない;減量は徐々に行う

セロトニン調節薬(5-HT2遮断薬)

投与を突然中止すると,中止症状†を引き起こす

ミルタザピン

体重増加および鎮静を引き起こす

性機能に対する有害作用がSSRIおよびSNRIより少ない

トラゾドン

持続勃起症および鎮静を引き起こす可能性がある

起立性低血圧を引き起こす可能性がある

セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)

デスベンラファキシン

血圧または心拍数を増加させる可能性がある(開始前に血圧をコントロールしておき,使用期間中は血圧および心拍数をモニタリングする)

デュロキセチン

収縮期および拡張期血圧が用量依存的にいくらか上昇する

男性では軽度の排尿遅延が生じる可能性がある

CYP酵素への作用がより少ないため,薬物相互作用の可能性が低い

レボミルナシプラン(levomilnacipran)

血圧または心拍数を増加させる可能性がある(開始前に血圧をコントロールしておき,使用期間中は血圧および心拍数をモニタリングする)

アスピリン,他のNSAID,または抗凝固薬を併用する場合,出血リスクが増大する可能性がある

排尿遅延または尿閉に影響を及ぼす可能性がある(閉塞性尿路疾患の患者では注意が必要である;症状が現れた場合は中止する)

ベンラファキシン

拡張期血圧が用量依存的にいくらか上昇する

約150mgでノルアドレナリンおよびセロトニンの再取り込みに対する二重の作用を示す

まれに収縮期血圧が上昇する(用量依存性ではない)

中止する場合は,ゆっくり漸減させるべきである

CYP酵素への作用がより少ないため,薬物相互作用の可能性が低い

ボルチオキセチン

アスピリン,他のNSAID,または凝固もしくは出血に影響を及ぼす他の薬剤と併用する場合,出血リスクが増大する可能性がある

ノルアドレナリン-ドパミン再取り込み阻害薬

ブプロピオン

過食症患者または痙攣発作を起こしやすい患者では禁忌である

HCAと相互作用し,痙攣発作のリスクを高める可能性がある

用量依存的に近時記憶の喪失を引き起こす可能性がある

複素環系抗うつ薬

冠動脈疾患,特定の不整脈閉塞隅角緑内障前立腺肥大症,または食道裂孔ヘルニアの患者では禁忌

転倒および骨折につながる起立性低血圧を引き起こし,アルコールの作用を増強し,かつ抗精神病薬の血中濃度を高める可能性がある

投与を突然中止すると,中止症状†を引き起こす

著しい過量投与では,致死的となりうる

アミトリプチリン

体重増加を引き起こす

アモキサピン

錐体外路系の有害作用を有する可能性がある

クロミプラミン

用量が250mg/日を超えると,痙攣発作の閾値が低下する

デシプラミン

CYP2D6アイソザイムを介してのみ代謝される:この酵素を阻害する薬剤は血漿中濃度を著明に上昇させる。

ドキセピン

体重増加を引き起こす

イミプラミン

大量発汗および悪夢を引き起こす可能性がある

マプロチリン

高用量での急な増量により痙攣発作のリスクが高まる

ノルトリプチリン

半減期が長い(74時間)

プロトリプチリン

半減期が長い(74時間)

トリミプラミン

体重増加を引き起こす

モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬

SSRIとの併用時にセロトニン症候群が発生する可能性がある

他の抗うつ薬,交感神経刺激薬もしくは他の一部の薬剤,または特定の食物および飲料と併用すると,高血圧クリーゼが発生する可能性がある

著しい過量投与では,致死的となりうる

イソカルボキサジド(isocarboxazid)

起立性低血圧を引き起こす

フェネルジン(phenelzine)

起立性低血圧を引き起こす

セレギリン,経皮

適用部位反応および不眠を引き起こす可能性がある

トラニルシプロミン(tranylcypromine)

起立性低血圧を引き起こす

アンフェタミンタイプの精神刺激作用があり,わずかに乱用の可能性を有する

メラトニン作動性抗うつ薬

アゴメラチン(agomelatine)(5-HT2C受容体拮抗薬)

肝障害の可能性がある症状または徴候を認めた場合,または血清アミノトランスフェラーゼ濃度が正常上限の3倍を超えて上昇した場合は,直ちに中止すべきである

*抗うつ薬の使用は,うつ病と他の精神疾患を合併している小児および若年成人患者では,自殺念慮および自殺行動のリスク増大につながる可能性がある。用法・用量,有害反応,その他の安全性に関する留意事項の詳細については,医薬品情報の各種資料を参照のこと。

† 中止症状としては,悪心,悪寒,筋肉痛,めまい,不安,易怒性,不眠症,疲労感などがある。

CYP = チトクロムP-450酸系薬剤;HCA = 複素環系抗うつ薬;5-HT = 5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン);NSAID = 非ステロイド系抗炎症薬。

*抗うつ薬の使用は,うつ病と他の精神疾患を合併している小児および若年成人患者では,自殺念慮および自殺行動のリスク増大につながる可能性がある。用法・用量,有害反応,その他の安全性に関する留意事項の詳細については,医薬品情報の各種資料を参照のこと。

† 中止症状としては,悪心,悪寒,筋肉痛,めまい,不安,易怒性,不眠症,疲労感などがある。

CYP = チトクロムP-450酸系薬剤;HCA = 複素環系抗うつ薬;5-HT = 5-ヒドロキシトリプタミン(セロトニン);NSAID = 非ステロイド系抗炎症薬。