X線造影剤と造影剤反応

執筆者:Mustafa A. Mafraji, MD, Rush University Medical Center
Reviewed ByWilliam E. Brant, MD, University of Virginia
レビュー/改訂 修正済み 2023年 11月
v13948337_ja
意見 同じトピックページ はこちら

X線撮影およびX線透視検査では,同じような放射線透過性の組織間の境界を描出するのに役立てるため,しばしば放射線透過性の造影剤が用いられる。大半の造影剤はヨード性である。

ヨード造影剤には以下のものがある:

  • イオン性

  • 非イオン性

イオン性造影剤は塩であり,血液より浸透圧が高い。この造影剤は脊髄造影や,脊柱管(神経毒性のリスクがあるため)または気管支(肺水腫のリスクがあるため)に入る可能性がある注射では使用すべきでない。

非イオン性造影剤は,低浸透圧性(しかし血液の浸透圧よりはまだ高い)または等浸透圧性(血液の浸透圧と等しい)である。より新しい非イオン性造影剤は有害作用がより少ないため,ほとんど全ての施設で今やルーチンに用いられている。

最も重篤な造影剤反応は以下のものである:

  • アレルギー型の反応

  • 造影剤腎症(造影剤の血管内注射後に起こる腎傷害)

アレルギー型の造影剤反応

反応の重症度は以下の通り様々である:

  • 軽度(例,咳嗽,そう痒,鼻閉)

  • 中等度(例,呼吸困難,喘鳴,脈拍または血圧の若干の変化)

  • 重度(例,呼吸窮迫,徐脈などの不整脈,痙攣,ショック,心肺停止)

機序はアナフィラキシー様である(アナフィラキシーを参照);危険因子としては以下のものがある:

  • 注射用造影剤への反応の既往

  • 喘息

  • アレルギー

治療は造影剤注入の中止から開始する。

軽度または中等度の反応には,ジフェンヒドラミン25~50mgの静注が通常効果的である。

重度の反応には,治療は反応の種類によって異なり,酸素,アドレナリン,輸液,および場合によりアトロピン(徐脈に対して)などがある。

造影剤反応のリスクが高い患者では,ヨード造影剤を必要としない画像検査を用いるべきである。造影剤が必要な場合は,非イオン性造影剤を使用すべきであり,プレドニゾン(50mg,経口,造影剤投与の13,7,1時間前)およびジフェンヒドラミン(50mg,静注,筋注,または経口,造影剤投与の1時間前)を前投与すべきである。直ちに画像検査が必要な場合は,ジフェンヒドラミン50mgを造影剤投与の1時間前に静注,筋注,または経口で,ヒドロコルチゾン200mgを画像検査が行われるまで4時間毎に静注で投与することができ,可能であればヒドロコルチゾンの投与が少なくとも2回完了するまで画像検査を延期することが望ましい(American College of Radiology Manual on Contrast Mediaを参照)。

造影剤腎症

造影剤腎症では,典型的には血清クレアチニン値が静注造影剤の投与後24時間以内に上昇し始め,3~5日目にピークを迎え,7~10日以内にベースラインに戻る。

一般的な危険因子としては以下のものがある:

ヨード造影剤の血管内投与後に急性腎障害のリスクがある患者には,以下の措置を考慮すべきである:

  • 造影剤の量を減らす

  • 等浸透圧性造影剤の使用

  • 補液

多くの補液レジメンが存在する。あるレジメンでは,生理食塩水100mL/時を造影剤投与前6~12時間,造影剤投与後4~12時間継続して投与することが提案されている(American College of Radiology Manual on Contrast Mediaを参照)。

N-アセチルシステインの投与は広く研究されているが,造影剤腎症の予防に効果的であるとは示されていない(1)。

乳酸アシドーシス

メトホルミンを服用中の患者が造影剤の投与により急性腎障害を発症した場合は乳酸アシドーシスのリスクがある。eGFR 30mL/min/1.73m²未満の慢性腎臓病である場合,すでに急性腎障害がある場合,または動脈カテーテル挿入が行われており腎動脈への塞栓リスクを伴う場合には,造影剤投与後48時間はメトホルミンを中止し,腎機能が評価され満足のいく結果が得られたと判断された場合にのみ再開すべきである。メトホルミン自体には造影剤腎症の発生リスクはない(American College of Radiology Manual on Contrast Mediaを参照)。

造影剤および造影剤反応を扱うプロトコルの多くが特異的であり,常に更新されているため,そのような詳細について画像検査部と話し合うことが重要である。

パール&ピットフォール

  • 急性腎障害が発生した場合は,乳酸アシドーシスを回避するため,静注造影剤の投与後48時間はメトホルミンを中止し,腎機能の改善を確認した後にのみメトホルミンを再開する。

参考文献

  1. 1.Weisbord SD, Gallagher M, Jneid H, et al: Outcomes after Angiography with Sodium Bicarbonate and AcetylcysteineN Engl J Med 378(7):603-614, 2018.doi:10.1056/NEJMoa1710933

quizzes_lightbulb_red
Test your KnowledgeTake a Quiz!
iOS ANDROID
iOS ANDROID
iOS ANDROID