化膿性汗腺炎

執筆者:Jonette E. Keri, MD, PhD, University of Miami, Miller School of Medicine
Reviewed ByKaren McKoy, MD, MPH, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2024年 3月 | 修正済み 2024年 10月
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化膿性汗腺炎は,腋窩,鼠径部,乳頭周囲,および肛門周囲に発生して瘢痕化する,ざ瘡様の慢性炎症による病態である。診断は診察による。治療法は病期により異なる。

化膿性汗腺炎は現在では,毛包および関連構造の慢性炎症性疾患と考えられている。毛包の炎症とその後の閉塞により,毛包が破裂して膿瘍,瘻孔,瘢痕が形成される。

腫脹して圧痛を伴う腫瘤が生じ,皮膚膿瘍に類似する。それらの病変はしばしば無菌である。慢性例では疼痛,波動,排膿,瘻孔形成が特徴である。慢性例では,深部膿瘍および瘻孔に細菌感染が生じることがある。腋窩の慢性例では,炎症を起こした結節が融合して,触知可能な線維性の索状帯が生じる。この病態は疼痛と悪臭のために生活に支障を来すことがある。

化膿性汗腺炎の診断

  • 臨床的評価

化膿性汗腺炎の臨床像
化膿性汗腺炎(Hurley分類II期)
化膿性汗腺炎(Hurley分類II期)

この症例では,化膿性汗腺炎による瘢痕(色素沈着を伴っている)および膿瘍の両方がみられる。

この症例では,化膿性汗腺炎による瘢痕(色素沈着を伴っている)および膿瘍の両方がみられる。

© Springer Science+Business Media

化膿性汗腺炎(Hurley分類III期)
化膿性汗腺炎(Hurley分類III期)

この症例では,慢性的に排膿する複数の膿瘍(青矢印)および瘻孔(黒矢印)がみられる。

この症例では,慢性的に排膿する複数の膿瘍(青矢印)および瘻孔(黒矢印)がみられる。

© Springer Science+Business Media

化膿性汗腺炎の診断は診察による。慢性例の患者の深部膿瘍および瘻孔からの培養を行うべきであるが,病原体が見つからないことも多い。Hurley病期分類は本疾患の重症度を記載するものである:

  • I期:膿瘍形成,単一または複数,瘻孔および瘢痕を形成しない

  • II期:広く離れた部位で再発する単一または複数の膿瘍で,瘻孔または瘢痕を形成する

  • III期:びまん性またはほぼびまん性の病変または複数の交通した瘻孔および膿瘍が全領域に広がる

化膿性汗腺炎の治療

  • I期:クリンダマイシンの外用,コルチコステロイドの病変内注射,抗菌薬の内服

  • II期:より長期の経口抗菌薬や抗アンドロゲン薬のほか,ときに排膿,瘻孔蓋の除去,またはパンチで孔を開けてのデブリドマン(パンチデブリドマン)

  • III期:インフリキシマブ,アダリムマブ,またはセクキヌマブのほか,しばしば外科的な広範囲切除および修復または植皮

化膿性汗腺炎の治療目標は,新規病変の予防,炎症の軽減,および瘻孔の切除である(1)。

Hurley分類I期では,典型的な治療として,クリンダマイシン1%溶液の外用,1日2回,レゾルシノール15%クリームの外用,1日1回,グルコン酸亜鉛(90mg,1日1回)の内服,コルチコステロイド(例,5~10mg/mLトリアムシノロンアセトニド溶液,0.1~0.5mL,月1回)の病変内注射,抗菌薬の短期間(例,7~10日)の内服などがある。テトラサイクリン,ドキシサイクリン,ミノマイシン,またはエリスロマイシンを病変が消退するまで使用する。典型的なレジメンには1種類の外用療法(例,患者の皮膚の感受性に基づく)と1つの経口抗菌薬が含まれる場合が多いが,あらゆる治療を併用または単独で使用することができる。皮膚を過酸化ベンゾイルで洗浄する。

Hurley分類II期では,I期の場合と同じ経口抗菌薬をより長期間(例,2~3カ月)投与することにより治療する;反応が不完全な場合は,そのレジメンにクリンダマイシンおよび/またはリファンピシンを追加してもよい。女性では,抗アンドロゲン療法(例,経口エストロゲンまたは混合型経口避妊薬との併用,スピロノラクトン,酢酸シプロテロン[米国では入手できない],フィナステリド,または併用による)の追加が助けになる場合がある。切開排膿により膿瘍の疼痛が緩和する場合があるが,病勢をコントロールするには不十分である(この点は一般的な皮膚膿瘍とは異なる)。あまり深くない急性炎症性病変には,パンチデブリドマン(すなわち,5~7mmのパンチ器具による切除後に指を用いたデブリドマンと掻爬または擦り洗いを行う)が望ましい。瘻孔はunroofingとデブリドマンを行うべきである。病変がより深い患者は,切除および移植の検討のために,形成外科医による評価を受けるべきである。

Hurley分類III期では,内科的および外科的治療をより積極的に行うべきである。炎症軽減効力としては,インフリキシマブのエビデンスが最も強い(2)。あるいは,アダリムマブを投与してもよい(3)。現在ではセクキヌマブも使用可能で,効力がある(4)。一部の患者には経口レチノイド(イソトレチノイン4~6カ月またはアシトレチン[acitretin]9~12カ月)が効果的である(5)。病変が持続する場合は,患部の外科的な広範囲切除と修復または植皮を行うこともしばしば必要となる。レーザー療法(CO2またはエルビウム:YAG)が別の外科的治療である(6)。レーザー脱毛も用いられており,成功する場合もある(7)。

化膿性汗腺炎の全患者に推奨される補助的手段として,皮膚の良好な衛生状態の維持,外傷の最小化,心理的支援の提供,高血糖食の回避などがある。

治療に関する参考文献

  1. 1.Alikhan A, Sayed C, Alavi A, et al: North American clinical management guidelines for hidradenitis suppurativa: A publication from the United States and Canadian Hidradenitis Suppurativa Foundations: Part II: Topical, intralesional, and systemic medical management.J Am Acad Dermatol 81(1):91-101, 2019.doi: 10.1016/j.jaad.2019.02.068

  2. 2.Shih T, Lee K, Grogan T, Deet al: Infliximab in hidradenitis suppurativa: A systematic review and meta-analysis.Dermatol Ther 35(9):e15691, 2022.doi: 10.1111/dth.15691

  3. 3.Kimball AB, Okun MM, Williams DA, et al: Two Phase 3 Trials of Adalimumab for Hidradenitis Suppurativa.N Engl J Med 375(5):422-434, 2016.doi: 10.1056/NEJMoa1504370

  4. 4.Kimball AB, Jemec GBE, Alavi A, et al: Secukinumab in moderate-to-severe hidradenitis suppurativa (SUNSHINE and SUNRISE): week 16 and week 52 results of two identical, multicentre, randomised, placebo-controlled, double-blind phase 3 trials.Lancet 401(10378):747-761, 2023.doi: 10.1016/S0140-6736(23)00022-3

  5. 5.Matusiak L, Bieniek A, Szepietowski JC: Acitretin treatment for hidradenitis suppurativa: a prospective series of 17 patients.Br J Dermatol 171(1):170-174, 2014.doi: 10.1111/bjd.12884

  6. 6.Tierney E, Mahmoud BH, Hexsel C, et al: Randomized control trial for the treatment of hidradenitis suppurativa with a neodymium-doped yttrium aluminium garnet laser.Dermatologic Surgery 35(8):1188-1198, 2009.doi: 10.1111/j.1524-4725.2009.01214.x

  7. 7.Xu LY, Wright DR, Mahmoud BH, et al: Histopathologic study of hidradenitis suppurativa following long-pulsed 1064-nm Nd:YAG laser treatment.Arch Dermatol 147(1):21-28, 2011.doi: 10.1001/archdermatol.2010.245

要点

  • 慢性例の深部膿瘍および瘻孔を除き,病変は通常無菌である。

  • 化膿性汗腺炎は生活に支障を来すことがある。

  • 化膿性汗腺炎の治療はHurley病期分類に基づいて行う。

  • 補助的手段として,皮膚の良好な衛生状態の維持,外傷の最小化,心理的支援の提供,高血糖食の回避などがある。

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