COVID-19は,新型コロナウイルスSARS-CoV-2によって引き起こされる疾患であり,急性腎障害(AKI)を呈することがあり,特に重症(critically ill)患者ではその頻度が高い。
COVID-19患者では,AKIの存在により死亡リスクが上昇する(1)。データは新しく,現在も集積が進んでいるところであるが,COVID-19に合併するAKIの独立した危険因子として,これまでに以下のものが報告されている(2):
年齢
人種(黒人で高い)
糖尿病
高血圧
心血管疾患
機械的人工換気
昇圧薬を要するショック
初期の研究から,AKIの病態生理は敗血症時の虚血,ウイルスに対する全身性の炎症反応,および腎臓に対する直接的なウイルス毒性に起因している可能性が示唆されている。COVID-19患者におけるAKIの臨床像は他の感染症によるものと類似しており,クレアチニン高値,乏尿または無尿,一部の症例ではタンパク尿(ネフローゼレベルを含む)および血尿などがみられる(1)。治療は対症療法に重点が置かれ,具体的には血管内容量の最適化(呼吸窮迫のある患者では肺水腫のリスクとバランスをとる),電解質のモニタリング,場合により透析などを行う。透析回路血栓症のリスクが高まるため,血液透析を必要とする患者は,出血リスクによる禁忌がない限り,抗凝固療法で治療する。感染制御が最も重要である。
参考文献
1.Pei G, Zhang Z, Peng J, et al: Renal involvement and early prognosis in patients with COVID-19 pneumonia.J Am Soc Nephrol 31(6):1157, 2020.doi: 10.1681/ASN.2020030276.Epub 2020 Apr 28.
2.Hirsch JS, Ng JH, Ross DW, et al: Acute kidney injury in patients hospitalized with COVID-19.Kidney Int 98(1):209, 2020.doi:https://doi.org/10.1016/j.kint.2020.05.006.Epub 2020 May 16.