季節性アレルギー

(花粉症、アレルギー性鼻炎)

執筆者:James Fernandez, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University
Reviewed ByBrian F. Mandell, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University
レビュー/改訂 修正済み 2024年 8月
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やさしくわかる病気事典

季節性アレルギーとは、1年の特定の時期にだけ出現する花粉などの空気中を漂う物質にさらされることが原因で起こるアレルギーです。

  • 症状は皮膚のかゆみ、鼻水、くしゃみ、ときに眼のかゆみ、涙目、目の充血です。

  • 通常は、特定の季節に典型的な症状(鼻水、鼻のかゆみ、目のかゆみなど)がみられる場合に、このアレルギーと診断できます。

  • 症状緩和には、コルチコステロイドの鼻腔スプレー、抗ヒスタミン薬、鼻閉改善薬が有用です。

アレルギー反応の概要も参照のこと。)

季節性アレルギー(いわゆる花粉症)はよくみられる疾患です。1年の決まった季節、特に春か夏、または秋にしか発症しません。発症の時期は何にアレルギーを起こすかによって決まります。症状は主として鼻の粘膜に現れてアレルギー性鼻炎を起こしたり、まぶたの裏側と白眼部分を覆う膜(結膜)に現れて、アレルギー性結膜炎を起こしたりします。

このアレルギーは、米国などでは枯草熱(hay fever)と呼ばれていますが、これは誤解を招きかねない言葉です。なぜなら季節性アレルギーは飼料用の干し草(hay)を集める夏にだけ起こるわけではなく、発熱もみられないからです。花粉症は通常、花粉やイネ科植物に対する反応です。季節性アレルギーの原因となる花粉は季節によって異なります。

  • 春: たいていは樹木(カシ、ニレ、ハンノキ、カバノキ、ブナ、ポプラ、トネリコ、オリーブなど)

  • 夏: イネ科植物(ギョウギシバ、オオアワガエリ、ハルガヤ、カモガヤ、セイバンモロコシなど)と雑草(オカヒジキ、オオバコなど)

  • 秋: ブタクサ

また、地域によっても、花粉が飛ぶ季節が異なります。米国の西部では12月から3月にかけては樹木の花粉の中でマウンテンシダー(ネズの一種)が主な飛散源となります。乾燥した南西部ではイネ科植物の受粉期間が長く、秋にはヤマヨモギおよびオカヒジキなどの雑草が季節性アレルギーの原因となります。何種類もの花粉に反応を起こす人もいて、この場合は花粉アレルギーが春の初めから秋の終わりまで続きます。カビの胞子も季節性アレルギーの原因になりますが、これは春から夏、秋にかけて長期間にわたり空気中を漂います。

アレルギー性結膜炎は、花粉などの空気中を漂う物質が眼に直接接触すると発症することがあります。

季節性アレルギーの症状

季節性アレルギーになると鼻、口蓋(こうがい[口の中の天井に当たる部分])、のどの奥、そして眼がかゆくなります。かゆみは徐々に現れることも突然現れることもあります。サラサラした透明な鼻水が出て鼻が詰まることもあり、小児では鼻づまりから耳の感染症になる場合があります 鼻の粘膜が腫れて青みがかった赤色になることもあります。

副鼻腔が完全に詰まって頭痛がしたり、ときに副鼻腔の感染(副鼻腔炎)が起こる場合もあります。くしゃみもよくある症状です。

ときにはひどい涙目になって、かゆみが出ます。白眼が充血したり、まぶたが赤くなって腫れたりすることもあります。コンタクトレンズを使用していると眼がいっそう刺激される可能性があります。

その他の症状には、せきや喘鳴(特に喘息患者の場合)のほか、ときに易怒性や睡眠障害がみられます。

症状の程度は季節によって変わります

アレルギー性鼻炎のある人の多くには喘息もみられ、喘鳴を起こします。喘息の原因は、アレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎を起こすのと同じアレルギー誘因(アレルゲン)である可能性があります。

季節アレルギーの診断

  • 医師による評価

  • 場合により皮膚テストまたはアレルゲン特異的免疫グロブリン測定

季節性アレルギーの診断は、症状と発生するときの状況、つまり特定の季節だけに発症するかどうかに基づきます。この情報は医師がアレルゲンを特定するのにも役立ちます。

通常、検査の必要はありませんが、場合によっては、鼻水を検査して、アレルギー反応により多量に生産される白血球の一種の好酸球を含んでいるかどうかを調べることもあります。

アレルギー検査

プリックテストは、確定診断やアレルゲンの特定に役立ちます。この検査では、それぞれの抽出液を皮膚の上に一滴のせ、そこを針でつつきます。次に、膨疹・紅斑反応(赤い部分の中央が青白くわずかに隆起して腫れる)がみられないか、観察します。

アレルゲン特異的免疫グロブリン(IgE)測定は、皮膚テストの結果がはっきりしない場合に行われます。この測定では、採血して検査します。

季節性アレルギーの治療

  • コルチコステロイドの鼻腔スプレー

  • 抗ヒスタミン薬

  • 鼻閉改善薬

  • 点眼薬

  • アレルゲン免疫療法

標準的な治療を試しても煩わしいまま続いている重度の季節性アレルギーがある人では、可能であれば、アレルゲンのない地域へ引っ越すことを検討してもいいでしょう。

鼻の症状

コルチコステロイドの鼻腔スプレーは通常非常に効果的であるため、最初に使用されます。ほとんどの場合、副作用はありませんが、鼻血や鼻の痛みが起こることがあります。

抗ヒスタミン薬は、経口剤または鼻腔スプレーとして使用し、コルチコステロイドの鼻腔スプレーの代わりに使用したり、合わせて使用したりできます。抗ヒスタミン薬は、多くの場合、プソイドエフェドリンのような鼻閉改善薬と一緒に経口投与されます。

これらの薬を1錠にまとめた抗ヒスタミン薬と鼻閉改善薬の配合剤が多く市販されています。しかし、血圧の高い人は医師による推奨と使用のモニタリングがない限り、鼻閉改善薬を使用しない方がよいでしょう。また、モノアミン酸化酵素阻害薬(抗うつ薬の一種)を服用している場合は、抗ヒスタミン薬と鼻閉改善薬の配合剤を使用できません。このような配合剤も年少の小児に使用してはいけません。

抗ヒスタミン薬には副作用があり、特に抗コリン作用があります。これらの副作用には眠気、口腔乾燥、かすみ目、便秘、排尿困難、錯乱、ふらつきがあります。

鼻閉改善薬も点鼻薬または鼻腔スプレーとして市販されています。この薬を1週間以上連続して使用すると、鼻づまりが悪化したり、長期化したりする(リバウンド効果)ことがあり、最終的に慢性の鼻づまりになる可能性があるため、使用は数日間に抑えた方がよいでしょう。

副作用は、鼻腔スプレーの方が内服薬よりも少なく、症状が軽い傾向がみられます。

その他の薬が有用となる場合もあります。クロモグリク酸は処方薬で、鼻腔スプレーとして鼻水を抑えるのに役立ちます。ただし、効果を得るには定期的にきちんと使う必要があります。アゼラスチン(抗ヒスタミン薬であり肥満細胞安定化薬でもある)とイプラトロピウムはともに処方薬で、鼻腔スプレーとして使用します。これらも効果が期待できます。しかしこれらの薬には、抗ヒスタミン薬を内服したときと同じような抗コリン作用があり、特に眠気が起こります。

モンテルカストは、ロイコトリエン阻害薬という種類の処方薬で、炎症を軽減し、鼻水を抑えます。他の薬剤が効かない場合にのみ使用するのが最善です。起こりうる副作用には、錯乱、不安、抑うつ、筋肉の異常な動きなどがあります。

温水や生理食塩水による副鼻腔の定期的な洗浄により、粘液をサラサラにして排出しやすくするとともに、鼻腔粘膜にうるおいを与える効果があります。これを副鼻腔洗浄と呼びます。

これらの治療で効果がないときは、短期間、コルチコステロイドを内服するか注射することがあります。使用は通常、10日間未満とします。これは、コルチコステロイドの内服や注射を長期にわたって続けると重篤な副作用が起こる可能性があるためです。

目の症状

特別な成分の入っていない人工涙液などの洗眼薬で目を洗うと、刺激を鎮めるのに役立ちます。アレルギー反応を起こす可能性のある物質は何であれ避けるようにします。アレルギー性結膜炎の症状があるときはコンタクトレンズを使用すべきではありません。

通常、抗ヒスタミン薬の入った点眼薬と、血管を狭くする血管収縮薬が効果的です。これらの点眼薬の中には処方せんなしでも入手できますが、処方薬の点眼薬と比べると効果が弱く、副作用が多いことがあります。

クロモグリク酸の入っている点眼薬は購入に処方せんが必要で、アレルギー性結膜炎の治療ではなく予防を目的としています。アレルゲンへの曝露が予想されるときに使用します。

極めて重症の場合はコルチコステロイドの入った点眼薬(処方せんが必要)を使用することがあります。この点眼薬を使用している間は定期的に眼科を受診して、眼圧が高くなったり感染が起きたりしていないか検査を受ける必要があります。

経口の抗ヒスタミン薬(フェキソフェナジンなど)も有用であり、特に体の他の部位(耳、鼻、のどなど)にアレルギーが出ている場合にも有用です。

アレルゲン免疫療法(脱感作)

もし他の治療法で効果がなければアレルゲン免疫療法が有効なことがあります。

脱感作は、免疫系をアレルゲンに反応しないように教育しようとする方法です。患者に、用量を徐々に増やしながらアレルゲンを投与します。最初に投与する量は非常に少ないため、アレルギーのある人にさえ反応が起こりません。しかし、そのわずかな投与によって、免疫系はそのアレルゲンに対して慣れていきます。その後、徐々に投与量を増やしていきます。増やす量は毎回非常に少ないため、やはり免疫系は反応しません。投与量を、前に症状を引き起こした時と同じ量のアレルゲンに対して反応が起こらなくなるまで増やします。

以下の状況では季節性アレルギーに対する免疫療法は必要です。

  • 症状が重い場合

  • アレルゲンを避ける方法がない場合

  • 通常の治療薬ではアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎の症状をコントロールできない場合

季節性アレルギーに対する免疫療法では、アレルゲンを舌の下(舌下)に置くか皮膚に注射し、徐々にその投与量を増やしていきます。わずかな量でも危険なアレルギー反応を引き起こすことがあるため、治療後、少なくとも30分間は病院で様子を見ます。舌の下に置く免疫療法で最初に投与した後に反応が起こらなければ、その後は自宅で投与することができます。

花粉症に対するアレルゲン免疫療法は、花粉の季節の終了後に翌年の花粉の季節に向けて治療を開始します。この理由は、花粉の季節中にアレルゲン免疫療法を始めると、花粉アレルゲンがすでに免疫系を刺激しているために副作用が起こりやすくなるからです。アレルゲン免疫療法は1年中続けると最も高い効果が得られます。

アレルギー性鼻炎に対するアレルゲン免疫療法を受けている人は、診療所での免疫療法の効果が現れる前にアナフィラキシー反応が発生した場合に備えて、あらかじめアドレナリンの自己注射用キットを携帯します。

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