冠動脈疾患の大まかな説明

レビュー/改訂 修正済み 2025年 4月
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冠動脈疾患とはどのような病気ですか?

心臓は、血液を全身に送り出している、筋肉でできた臓器です。すべての筋肉と同じように、心臓もまた、血液がたえず供給されていないと、働くことができません。心臓を通って送り出される血液では、心臓の筋肉に栄養を送り届けることができません。そのかわりに、心臓の筋肉には、それ自身の動脈から栄養が送られています。それらの動脈を冠動脈といいます。

冠動脈疾患(心疾患)は、冠動脈を通る血液の流れが一部または全部止まることで起こります。

  • 冠動脈疾患は、狭心症不安定狭心症心臓発作のおもな原因です。

  • あなたが高齢の場合、男性の場合、もしくは親または祖父母が50才未満で冠動脈疾患になったことがある場合は、冠動脈疾患になる可能性がほかの人より高いです。

  • 最も多い原因は、動脈が硬くなること(動脈硬化)です。

不安定狭心症や心臓発作が起きると、不整脈が起きたり、心臓が止まったりすることがあります。すぐに治療しなければ、死んでしまうこともあります。また、心臓発作は、いつまでも残る心臓の損傷を引き起こします。

心臓への血液の供給

全身の他の組織と同じように、心臓の筋肉も酸素を豊富に含む血液を受け取って、老廃物を血液中に放出しなければなりません。酸素を豊富に含む血液を心筋に送る血管は、大動脈(心臓から出た直後のところ)から分岐する右冠動脈と左冠動脈です。右冠動脈は鋭縁枝と後下行枝に枝分かれし、後下行枝は心臓の背面に位置します。左冠動脈(左冠動脈主幹部とも呼ばれます)は、回旋枝と左前下行枝に枝分かれします。老廃物を含んだ心筋からの血液は心静脈に送られ、心臓の背面にある冠静脈洞という太い静脈に合流してから、右心房に戻されます。

冠動脈疾患の原因は何ですか?

冠動脈疾患の最も多い原因は、動脈が硬くなることでよく知られている動脈硬化です。動脈硬化は、コレステロールなど、脂肪をふくむ物質が動脈の中にゆっくりたまって起こります。このたまったものをアテロームやプラークといいます。プラークは:

  • 動脈を狭くして、心臓への血液の流れを一部ふさぐことがあります。

  • 突然破裂して、動脈をふさぐ血栓を作って心臓発作を引き起こすことがあります。

あまり多くない原因として、ふつうはコカインなどの違法な薬を使ったときに起こる、冠動脈の突然のけいれんなどがあります。けいれんが起きている間、動脈はきゅっと閉じます。あまり長い間閉じたままだと、心臓発作を起こすことがあります。ふつうはけいれんが止んで、動脈はまた開きます。

冠動脈疾患の危険因子にはどのようなものがありますか?

次の危険因子は、コントロールするか、避けることができます。

次の危険因子は重要ですが、コントロールすることはできません。

  • 55才になるまでに冠動脈疾患にかかった人が家族にいる

  • 男性であること

  • 年をとること

医師はどのようにして、私が冠動脈疾患かどうかを判断しますか?

医師は症状についてあなたに質問をして、身体診察と血液検査を行います。

動脈がつまっている症状がある場合は、医師は次のような検査を行うことがあります。

  • 負荷試験:運動しているときなど、心臓が激しく働いている(ストレスがかかっている)ときに、心臓に十分な血液が送られているかどうかを調べる検査

  • 心電図検査:冠動脈疾患があると異常になることがある心臓の電気的活動を測定する検査

  • 心臓カテーテル検査:細長いカテーテル(やわらかい細いチューブ)を腕や脚から心臓まで入れて、それぞれの冠動脈の中まで進めてから、X線写真にうつる造影剤を注入することで、冠動脈にふさがっている場所がないか確かめることができる検査

  • CT検査:冠動脈が硬くなっていないか調べるための画像検査

医師は冠動脈疾患をどのように治療しますか?

医師は冠動脈疾患の原因になっている問題を治療しますが、その問題はたいてい、動脈が硬くなっていることです。医師は次のことを行うことがあります。

  • 血圧の薬など、心臓の負担を軽くする薬を出す

  • コレステロールの値を下げる薬を出す

  • 心臓が傷つくおそれがある不健康な行動(たとえば、タバコを吸う、運動不足、不健康な食習慣)を変えるように指示する

  • ときには、ふさがった動脈を開通させるための手術をする

冠動脈のつまりの程度によっては、医師が動脈の中をきれいにする処置をすることがあります。血管形成術やバイパス手術(冠動脈バイパス移植術や冠動脈バイパス術ともいいます)をすることもあります。

血管形成術では:

  • 医師が細くてやわらかいチューブ(カテーテル)を、ふともも(鼠径部)か手首にある動脈から入れます。

  • このカテーテルを心臓まで通して、冠動脈の1つまで進めます。

  • カテーテルの先に付いている小さな風船をふくらませます。

  • この風船によって、つまっていた部分が押し広げられます。

  • 医師はそこで、針金のあみでできたチューブ(ステント)を、カテーテルの先からつまっていた部分までずらし、そこで外します。

  • この針金のあみでできたチューブのおかげで、つまっていた部分が開いた状態に保たれます。

冠動脈バイパス術では:

  • 医師が体のほかの部分から、健康な動脈や静脈をとり出します。

  • その動脈や静脈の片方の端を、大動脈(心臓から全身に血液を送り出している太い動脈)に縫い合わせます。

  • もう一方の端を、ふさがっている動脈の、ふさがったところより先の部分に縫い合わせます。

  • すると血液が、ふさがった部分ではなく、この新しい道すじを流れるようになります。

冠動脈疾患はどうすれば予防したり、治したりできますか?

心臓を傷つける行動を改める

  • タバコを吸うのをやめる:これは冠動脈疾患を予防したり治したりするのに一番大切な方法です

  • 新鮮な果物や野菜といった食物繊維の多い食品など、健康的な食べものを食べる

  • 肉や乳製品、加工食品(冷凍ピザや電子レンジで調理する食品など)からとる脂肪分の量を減らす:どのくらいの量、またどんな種類の脂肪分をとればよいか、医師に相談してください

  • 太っている場合は体重を減らす

  • ダンベルで運動をしたり、歩いたりして、体をよく動かす

  • 違法な薬の使用をやめる:薬物をやめるのは難しいことがありますので、人の助けを借りる方法について、医師やカウンセラーに相談してください

薬を正しく使う

  • 医師に処方された高コレステロール高血圧糖尿病などの薬を忘れずに飲んでください。

  • 心臓発作を起こしたことがあるなら、心臓発作がまた起こるのを予防するために毎日少量のアスピリンを飲むことについて、医師に質問してみてください。

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