脱毛の主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

検査

頭皮全体にわたる脱毛

男性型脱毛症(アンドロゲン性脱毛症)

しばしば家族歴

ときにタンパク質同化ステロイドの使用歴

医師の診察

女性型脱毛症(アンドロゲン性脱毛症)

しばしば家族歴

ときに閉経時に生じる

ときに、男性的な特徴(男性化)がみられる女性、ジヒドロテストステロンなどのタンパク質同化ステロイドの使用歴がある女性、男性ホルモンを分泌する腫瘍がある女性で生じることがある

ときに多嚢胞性卵巣症候群

医師の診察

ときにホルモンの測定:甲状腺ホルモン、テストステロン、DHEAS、FSH、およびLH

薬剤と有害物質

特定の化学療法薬、抗凝固薬、レチノイド、経口避妊薬、ACE阻害薬、ベータ遮断薬、リチウム、抗甲状腺薬、抗てんかん薬、高用量のビタミンAなどの薬剤、あるいはタリウムやヒ素などの金属に対する曝露

医師の診察

ときに有害物質や重金属に対する曝露を調べる血液検査

休止期脱毛の原因になるストレス(精神的または身体的)

重い精神的ストレス

最近の体重減少、手術、発熱を伴う重度の病気、出産

医師の診察

ときに、貧血鉄欠乏症の有無を調べ、甲状腺機能を評価する血液検査

甲状腺疾患

甲状腺機能亢進症(甲状腺の活動が過剰になった状態)では、暑さに耐えられない、発汗、体重減少、眼球突出、振戦(ふるえ)、不穏、甲状腺の腫大(甲状腺腫)

甲状腺機能低下症(甲状腺の活動が不十分になった状態)では、寒さに耐えられない、体重増加、皮膚の荒れと肥厚、反応の鈍化

医師の診察

甲状腺機能を評価する血液検査

ビタミンA過剰症または鉄欠乏症亜鉛欠乏症などの栄養に関連した病気

特定の栄養に関連した病気の症状

医師の診察

ときに栄養に関連した病気の有無を調べるための血液検査

円形脱毛症

典型的には斑状の脱毛だが、ときに頭皮全体の脱毛(全頭脱毛症)

ときに全身と頭皮全体の脱毛(汎発性脱毛症)

医師の診察†

頭皮の特定の部位のみの脱毛

円形脱毛症

円形の斑状の脱毛で、脱毛斑の縁周囲に短く折れた毛を伴う(びっくりマークに似ている)

ときに灼熱感やかゆみ

ときに頭皮の横側と後ろ側の生え際の脱毛(蛇行性脱毛症)または頭皮中央部の脱毛(頭皮の周辺部の毛髪は残る)(蛇行性脱毛症の逆のパターン)

医師の診察†

皮膚エリテマトーデス

散発的な斑状の脱毛

ときに頭皮に発疹が生じ、しばしば赤くなって盛り上がり、鱗屑(うろこ状のくず)を伴う

ときに部分的な皮膚の瘢痕化

ときにかゆみ

医師の診察

全身性エリテマトーデスがないか調べる血液検査

頭皮の生検

中心部から周囲に広がる瘢痕性脱毛症

頭頂部と後頭部の頭皮に徐々に進行する脱毛と瘢痕化

この病気を発症する遺伝的素因がある人では、ホットコーム、ストレートパーマ剤、またはヘアピースの使用が原因となる可能性がある

医師の診察

頭皮の生検

毛孔性扁平苔癬(頭皮の扁平苔癬)および前頭部線維性脱毛症(frontal fibrosing alopecia)

散発的な斑状の脱毛や瘢痕化を引き起こす関連疾患

瘢痕を残した脱毛が主に前頭部の生え際と眉毛に沿って発生する場合、前頭部線維性脱毛症(frontal fibrosing alopecia)と呼ばれる

医師の診察

頭皮の生検

熱傷、外傷、放射線(例えば放射線療法によるもの)

熱傷、放射線療法、外傷の既往

しばしば瘢痕化

医師の診察

頭部白癬(しらくも)

脱毛部位にときに小さな黒い点(頭皮表面で折れた毛による)や頭皮表面のすぐ上で折れた毛がみられる

皮膚に円形の鱗屑(うろこ状のくず)を伴う部位が生じ、赤くなったり、炎症を起こしたりする場合がある

瘢痕が生じることがある

医師の診察†

引き抜いた毛髪の顕微鏡検査や培養検査

ときにウッド灯検査

牽引性脱毛症

三つ編み、ヘアカーラー、ポニーテール状態をあまりに長時間続けているか、強く引っぱりすぎている

瘢痕が生じることがある

医師の診察†

抜毛症(強迫的な抜毛)

典型的には非対称に生じる奇妙で不規則な脱毛パターン

ときに強迫的な行動

女性で男性より4倍多い

医師の診察†

*特徴としては症状や診察結果を示しています。示されている特徴は典型的なものですが、常に認められるわけではありません。

†まれに、頭皮の生検が行われます。

ACE = アンジオテンシン変換酵素;DHEAS = デヒドロエピアンドロステロン硫酸エステル;FSH = 卵胞刺激ホルモン:LH = 黄体形成ホルモン;PCOS = 多嚢胞性卵巣症候群。

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