胆道閉鎖症は、胆管が進行性に狭くなり生後すぐに閉塞することで、胆汁が腸に到達できなくなる先天異常です。
この異常により、肝臓に胆汁が貯留し、非可逆的な損傷が肝臓に起こります。
典型的な症状としては、黄疸(皮膚と白目の黄色の変色)、濃い尿、灰白色便、肝臓の腫大などがあります。
診断は血液検査、核医学検査、および肝臓と胆管の外科的検査の結果に基づいて下されます。
胆汁を肝臓から排出させるための経路をつくる手術が必要となります。
肝臓から分泌される消化液である胆汁は、肝臓の老廃物を運び去り、小腸で脂肪が消化されるのを助けます。胆管は胆汁が肝臓から腸に流れる経路です。
胆道閉鎖症では、生後数週間から数カ月で始まり、胆管が進行性に狭くなり、やがて閉塞します。そのため、胆汁が腸に到達できなくなります。結果として胆汁が肝臓内にたまっていき、やがて行き場をなくして血液中に流れ込むことで、皮膚が黄色っぽく変色します(黄疸)。胆道閉鎖症を治療しないと、肝硬変と呼ばれる進行性で不可逆的な肝臓の瘢痕化が生後2カ月までに始まり、進行していきます。
胆道閉鎖症が発生する理由は不明ですが、感染症の原因となる微生物や遺伝子異常が関与している可能性があります。胆道閉鎖症がある乳児の多くには、ほかの先天異常がみられます。
(消化管先天異常の概要も参照のこと。)
胆道閉鎖症の症状
胆道閉鎖症の乳児では、黄疸が見られ、尿の色が濃くなって便の色が白っぽくなり、肝臓と脾臓が腫大します。生後2週間頃にこれらの症状と腫大して硬くなった肝臓に最初に気づくのが普通です。
生後2~3カ月になる頃までに、その乳児は成長が阻害され、かゆがり、興奮しやすく、腹部には大きくなった静脈が見え、脾臓も肥大します。
胆道閉鎖症の診断
血液検査
核医学検査(シンチグラフィー)
超音波
肝生検および胆管造影
胆道閉鎖症の診断を下すには、一連の血液検査を行います。
肝胆道シンチグラフィと呼ばれる画像検査(核医学検査の一種)も行います。トレーサーを患児の腕に注射して、トレーサーが肝臓から胆嚢と小腸まで流れていく様子を特殊な撮影機器で追跡します。
肝臓と胆嚢をさらに評価するため、腹部の超音波検査を行うこともあります。
診断を確定するには、肝生検と胆道造影を行います。生検では、肝臓から組織サンプルを外科的に採取して検査します。胆管造影検査では、手術中に造影剤を胆管に直接注入し、X線の画像上で胆管が見えるようにします。これにより、閉塞やその他の異常を特定することができます。
胆道閉鎖症の治療
手術
しばしば肝移植
胆汁を肝臓から排出させるための経路をつくる手術が必要となります。この手術は、門脈空腸瘻造設術、またはカザイ手術と呼ばれます。門脈空腸瘻造設術では、小腸の一部を肝臓の胆管が出てくる部分に縫い付けることで経路を作製します。この手術は、肝臓が瘢痕化する(肝硬変)前の生後1カ月以内に行うべきです。
手術後、患児には胆管の炎症を予防するためにしばしば1年間にわたって抗菌薬が使用されます。また、ウルソジオールという薬が投与されることもあります。ウルソジオールは胆汁の流れを促進し、胆汁の排出路の開通を維持するのに役立ちます。十分な栄養補給が重要であるため、患児には脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、K)の補充も行われます。
胆汁が手術後3カ月以上経過しても正常に流れない場合(またはこの手術を受けられない患児の場合)、肝移植が必要になることがあります。
胆道閉鎖症の予後(経過の見通し)
胆道閉鎖症は進行性に悪化していきます。治療をしない場合、生後数カ月までに肝臓に不可逆的な瘢痕化(肝硬変)が生じた後、肝不全を起こし、1歳までに死に至ります。
胆道閉鎖症の手術は、一部の乳児には全く効果がなく、ほとんどの乳児で症状が緩和されるのみです。手術後、30%が6歳ぐらいで肝移植が必要となり、最大80%が20歳までに必要となります。約80%が肝移植後、長期にわたって生き延びます。



