耳帯状疱疹とは、聴覚と平衡感覚をつかさどる神経(第8脳神経)と顔面の動きをつかさどる神経(第7脳神経)の神経細胞の集まり(神経節)への帯状疱疹ウイルスによる感染症のことです。
帯状疱疹は、水痘(水ぼうそう)を引き起こす水痘帯状疱疹ウイルスが再活性化することで発生する感染症です。水痘が起こった後、このウイルスは休止状態で神経節などにとどまりますが、それが再活性化して神経線維を皮膚まで伝っていき、痛みを伴う皮膚のただれを引き起こすことがあります。ほとんどの場合再活性化の原因は不明ですが、ときに免疫機能が低下した場合(例えば、がん、エイズ、特定の薬など)に起きることがあります。
耳帯状疱疹は、第7脳神経(顔面神経)または第8脳神経で帯状疱疹ウイルスが再活性化すると発生します。第7脳神経は、顔面の筋肉の一部をコントロールしています。第8脳神経は、聴覚と平衡感覚をコントロールしています。
(内耳の概要も参照のこと。)
耳帯状疱疹の症状
耳帯状疱疹の診断
耳帯状疱疹の治療
痛みに対してオピオイド薬
炎症を軽減するため、プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイド
ときに、耳帯状疱疹を治療するための抗ウイルス薬
まれに、顔面神経への圧迫を取り除くための手術
医師は症状の軽減と耳帯状疱疹の治療のために薬を投与することがあります。しかし、これらの薬にそれほど効果があるかどうかは不明です。炎症を止めるために、プレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドが投与されます。アシクロビルやバラシクロビルといった抗ウイルス薬は、耳帯状疱疹の持続期間を短縮するのに役立つことがあり、免疫機能が低下している人や、免疫系に障害がある人には決まって投与されます。回転性めまいを軽減するためにジアゼパムが投与されます。痛みに対しては、オピオイドの内服薬を使用します。長期間残存する痛み(帯状疱疹後神経痛といわれます)がある患者には、薬用皮膚パッチ剤、抗てんかん薬、または三環系抗うつ薬など、他の治療が行われることがあります。
顔面の完全な麻痺がある患者では、顔面神経への圧迫を取り除くための手術が必要になることがあります。