鼠径肉芽腫は、クレブシエラ・グラニュロマティス(Klebsiella granulomatis)という細菌によって引き起こされる性感染症です。性器に慢性の炎症と瘢痕(はんこん)が生じます。
鼠径肉芽腫では通常、性器または性器の近くに痛みのない赤いしこりができ、しこりは少しずつ大きくなり、表面が破れて、びらんができます
診断は、びらんから採取した体液のサンプルを調べることで確定します。
通常は抗菌薬による治療が効果的です。
性交中にコンドームを使用することは、やその他の性感染症が人から人に広がるのを防ぐのに役立ちます。
(性感染症の概要も参照のこと。)
鼠径肉芽腫は医療などの資源が豊富な国では極めてまれですが、インド、アフリカ南部、南米の一部で発生しています。
鼠径肉芽腫の症状
鼠径肉芽腫の症状は通常、感染から1~12週間後に現れます。まず、痛みのない赤い腫れ物(結節)ができ、少しずつ大きくなって丸く隆起したしこりになります。その後しこりは破れて、最初の感染部位の近く(以下の部位)に悪臭を放つびらん(潰瘍)ができます。
男性では陰茎、陰嚢、鼠径部、太腿
女性では外陰部、腟、周囲の皮膚
顔面
肛門性交をする人の肛門と殿部
この写真には、鼠径部肉芽腫による隆起したびらん(潰瘍)が示されています。
CDC/ Joe Miller, Dr. Cornelio Arevalo, Venezuela
この写真には、鼠径部肉芽腫による隆起したびらん(潰瘍)が示されています。
CDC/ Susan Lindsley
びらんは徐々に大きくなり、近くの組織に広がり、さらなる損傷を引き起こします。びらん箇所と接触した他の体の部位にもびらんが広がることがあります。治療しなければ、びらんは広がり続けます。
びらんはゆっくりと改善しますが、永久的な瘢痕(はんこん)が残ることがあります。
感染が血流に乗って骨、関節、肝臓に広がることもあります。この感染症は治療をしないと死に至ることがあります。
鼠径肉芽腫の診断
びらんから採取した体液の検査
鼠径肉芽腫は、この感染症がよくみられる地域に住み、典型的なびらんや潰瘍がみられる人で疑われます。
鼠径肉芽腫の診断を確定するにはびらんや潰瘍から体液のサンプルを採取し、顕微鏡で調べます。
診断がはっきりしない場合は、組織サンプルを採取して顕微鏡で調べる検査(生検)を行うことがあります。
鼠径肉芽腫の治療
抗菌薬
セックスパートナーの同時検査と治療
治療は抗菌薬のアジスロマイシンを少なくとも3週間服用することによります。すべてのびらんが完全に治癒するまで治療を継続します。
代替の治療法としては、経口薬では抗菌薬のトリメトプリム-スルファメトキサゾール、ドキシサイクリン、およびエリスロマイシンがあります。ときに筋肉や静脈への注射によって抗菌薬が投与されることもあります。
治療を受けると、通常は7日以内に病状が改善し始めます。治癒が遅かったり、びらんが再発したりすることがあります。その場合、より長期間の治療が必要になります。治療が成功したと思われる後も、患者は6カ月間の定期的な検査を受ける必要があります。
過去60日以内に感染者と性的接触をしたすべてのセックスパートナーは、診察を受け、感染している場合は治療を受ける必要があります。
鼠径肉芽腫の予防
鼠径肉芽腫やその他の性感染症のリスクを減らすには、以下の方法が役立ちます。
口、肛門、または性器での性行為では必ずコンドームを使用するなど、安全な性行為の習慣
セックスパートナーの数を減らすか、リスクの高いセックスパートナー(多くのセックスパートナーがいる人、安全な性行為の習慣を実践しない人)をつくらないようにする
互いにパートナーを1人だけにするか、性行為を控える
一部の性感染症には予防接種
性感染症の迅速な診断と治療(感染の拡大を防ぐため)
感染者の性的接触を把握し、それらの接触に対するカウンセリングや治療を行う



