発疹熱は、発疹熱リケッチア(Rickettsia typhi)とリケッチア・フェリス(Rickettsia felis)によって引き起こされ、ネズミノミによって広がるリケッチア感染症です。
発疹熱になると、悪寒戦慄、発熱、頭痛が現れ、数日後に発疹が現れます。
感染症を診断するために、医師は発疹のサンプルを検査し、ときに血液検査を行います。
発疹熱は抗菌薬で治療されます。
リケッチアは他の生物の細胞内でのみ生存できる細菌です。英語では発疹熱のことを「murine typhus」といい、この「murine」はネズミに関係した意味の言葉です。つまり、発疹熱を引き起こすリケッチアが主にネズミを宿主として寄生していることを表しています。
発疹熱は世界中で発生していますが、感染者はそれほど多くありません。この感染症は、ネズミノミとネコノミを介して人間に感染します。
米国では、発疹熱のほとんどの症例は、ハワイ州、テキサス州、カリフォルニア州の郊外で発生しています。これらの州では、リケッチアはしばしばオポッサムやネコの体内に住みついています。
発疹熱の症状
発疹熱の症状は、体内に細菌が侵入した6~18日後に起こります。患者には、悪寒戦慄、発熱、頭痛がみられます。発熱は12日ほど続きます。他の症状が現れた数日後に、発疹が出ることがあります。最初は体幹の数カ所にのみ現れ、後に腕や脚に広がります。
発疹熱はまれに死に至ることがありますが、死亡は高齢者に起こりやすい傾向があります。
発疹熱の診断
医師による評価
発疹の生検と検査
血液検査
発疹熱の診断では、まず症状からこの病気を疑います。
診断を確定するため、発疹から採取(生検)したサンプルを蛍光抗体法で検査することがあります。あるいは、より早く細菌を検出するため、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法が用いられることもあります。
血液検査を行って、原因となる細菌に対する抗体を検出することもあります。ただし、この検査を1回実施するだけでは不十分です。抗体の値の上昇を確認するには、1~3週間後に検査を再度行う必要があります。そのため、抗体検査は患者の発症直後に感染症を診断する役には立ちませんが、後に診断を確定する助けになります。
発疹熱の予防
発疹熱を予防できるワクチンはありません。
発疹熱の予防には、以下のような方法で寄生されたノミとの接触を減らします。
げっ歯類やその他の動物を家、職場、レクリエーションエリアから遠ざける(例えば、藪、岩山、がらくた、薪の山、食料品[特にペットフード]を取り除く)
病気の動物や動物の死骸を扱う場合は手袋を着用する
発疹熱の治療
抗菌薬
発疹熱の治療では、抗菌薬のドキシサイクリンを経口で投与します。抗菌薬の投与は、患者の状態が改善し、48時間にわたって発熱がみられなくなるまで続けます。ただし、最短でも7日間は使用する必要があります。