物理的アレルギーは物理的な刺激によって起こるアレルギー反応です。
(アレルギー反応の概要も参照のこと。)
物理的アレルギーは物理的な刺激が発症の引き金である点で他のアレルギー反応と異なります。物理的な刺激には以下のものがあります。
冷気
日光
熱、その他の汗をかくような刺激(精神的ストレスや運動など)
振動
軽いけが(掻き傷など)
物理的圧力
物理的な刺激に対する反応としてだけ症状が出る人もいますが、他のアレルギーがある人では、物理的な刺激が症状を悪化させます。
物理的アレルギーの原因
物理的アレルギーの反応がなぜ起こるのかは分かっていません。物理的刺激が皮膚のタンパク質を変化させ、このタンパク質を免疫系が誤って異物とみなし攻撃するからではないか、という説があります。この説で説明できるのが日光に対するアレルギー(光線過敏症)です。日光に含まれる紫外線を浴びると皮膚のタンパク質が変化し、体がこれを異物とみなして攻撃します。抗菌薬などの薬や、スキンクリーム、ローション、オイルなどの化粧品、その他の物質の使用によって光線過敏症が起こることがあります。
物理的アレルギーの症状
最もよくみられる症状は、かゆみ、皮膚の斑点、じんま疹、皮下組織の腫れ(血管性浮腫)です。症状は、物理的な刺激にさらされてから数分のうちに現れます。
熱に過敏な人が熱にさらされたり汗をかくような作業をしたりすると、ひどいかゆみを伴う小さな赤いじんま疹が現れることがあります。これはコリン作動性じんま疹と呼ばれるもので、じんま疹の周囲の皮膚は輪状に赤くなります。
寒さに敏感な人が冷気にさらされた場合も、じんま疹、喘息、鼻水、鼻づまり、あるいは血管性浮腫が起こることがあります。まれに、広範囲にわたる重度のアナフィラキシー反応が起こります。
物理的アレルギーの診断
医師による評価
症状と、症状が起こる状況に基づいて物理的アレルギーの診断を行います。
冷気による反応と診断するために、皮膚の上に氷を4分間置いた後で氷を取り除いて、じんま疹が起こるか観察します。
化粧品やスキンクリーム、ローション、オイルは、これらの物質の中にアレルギーを悪化させているものがあるかどうか判定するために、しばらく使用を控えるよう助言されることがあります。
物理的アレルギーの治療
誘因の回避
抗ヒスタミン薬
最良の治療法は物理的アレルギーを起こす刺激を避けることです。例えば日光に対して極めて敏感な人なら、日焼け止めを使い、できるだけ日光にあたらないようにします。
通常は抗ヒスタミン薬でかゆみが和らぎます。冷気によるじんま疹に一番効果があるのはシプロヘプタジンで、熱や精神的ストレスによるじんま疹にはヒドロキシジンがよく効きます。