無痛性リンパ球性甲状腺炎

(産後甲状腺炎)

執筆者:Glenn D. Braunstein, MD, Cedars-Sinai Medical Center
レビュー/改訂 2022年 9月
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無痛性リンパ球性甲状腺炎は痛みを伴わない甲状腺の自己免疫性炎症で、一般に出産後に発生し、通常は自然に消失します。

甲状腺の概要も参照のこと。)

無痛性リンパ球性甲状腺炎は、女性、特に出産後3~4カ月後に発生することが多く、甲状腺は圧痛を伴わずに腫大します。この病気はその後の妊娠のたびに再発する傾向がみられます。

数週間から数カ月間のうちに、甲状腺の活動が過剰になり(甲状腺機能亢進症)、それに続いて甲状腺の活動が不十分になり(甲状腺機能低下症)、最終的に甲状腺機能が正常に回復します。

無痛性リンパ球性甲状腺炎の症状

無痛性リンパ球性甲状腺炎は、出産後3~4カ月経ってから始まります。まず、甲状腺が大きくなり、痛みも圧痛もない、甲状腺機能が亢進した段階から始まります。その後、甲状腺機能低下症を発症し、通常は自然に回復します。この第2段階では、甲状腺機能低下症の症状として、疲労、体重増加、便秘、皮膚や髪の乾燥、耐寒性の低下などがみられることがあります。

知っていますか?

  • 無痛性リンパ球性甲状腺炎の「無痛性」という言葉は、甲状腺の炎症が痛みや圧痛を伴わないことを意味します。

  • リンパ球性とは、甲状腺組織を顕微鏡で観察したときにみられる白血球の種類のことを指します。

無痛性リンパ球性甲状腺炎の診断

  • 甲状腺機能検査

無痛性リンパ球性甲状腺炎の診断は、症状、診察と甲状腺機能検査の結果に基づいて下されます。まれに、診断を確定するために甲状腺の生検を行うこともあります。

妊娠後に無痛性リンパ球性甲状腺炎を発症した場合、医師は通常、次回以降の妊娠時にもこの病気の検査を行います。

無痛性リンパ球性甲状腺炎の治療

  • 甲状腺機能亢進症に対し、ベータ遮断薬

  • 甲状腺機能低下症に対し、甲状腺ホルモン補充

甲状腺機能亢進症の治療には2~3週間かかり、アテノロールなどのベータ遮断薬が必要です。ベータ遮断薬は、甲状腺機能亢進症の症状の多くを抑制するのに役立ちます。例えば、この種の薬は心拍を遅くし、ふるえを少なくして不安を抑えます。

甲状腺機能が低下している間は甲状腺ホルモンの服用が必要ですが、通常こうした期間は12カ月以上継続しません。しかし、無痛性リンパ球性甲状腺炎の人の約10%では甲状腺機能低下症が永続し、甲状腺ホルモンの服用が生涯必要になります。

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