亜急性甲状腺炎は、甲状腺に起こる急性の炎症で、原因はおそらくウイルスと考えられます。
(甲状腺の概要も参照のこと。)
亜急性甲状腺炎は突然発生します。この病気では、炎症によって甲状腺が過剰な甲状腺ホルモンを分泌して甲状腺機能亢進症が起こり、ほとんどの場合、続いて一時的な甲状腺機能低下症が発生しますが、最終的に甲状腺機能は正常に回復します。
亜急性甲状腺炎の症状
亜急性甲状腺炎はウイルス性の病気に続いて発生し、多くの人が初めに「のどの痛み」を感じますが、これは、実際は頸部でも甲状腺にのみ生じている痛みです。亜急性甲状腺炎の人の多くが極度の疲労感を覚えます。甲状腺の圧痛はますます強くなり、微熱(約37~38℃)が出ます。痛みは頸部の片側から反対側に移ることがあり、あごや耳に広がり、頭を回したりものを飲み込んだりすると強く痛みます。亜急性甲状腺炎は初期には歯の問題、またはのどや耳の感染症とよく間違えられます。
亜急性甲状腺炎の診断
亜急性甲状腺炎の治療
ときに、痛みと炎症を軽減する薬
このタイプの甲状腺炎にかかった人の多くは完全に回復します。一般的に、甲状腺炎は数カ月のうちに自然に治りますが、ときに再発することもあり、まれに永続的な甲状腺機能低下症を引き起こすほどに甲状腺が損傷を受けることもあります。
痛みと炎症は、アスピリンや他の非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)で緩和できます。中等症または重症の場合はプレドニゾン(日本ではプレドニゾロン)などのコルチコステロイドが勧められますが、服用をやめるときは6~8週間かけて徐々に減量しなければなりません。コルチコステロイドを急にあるいは早く中止すると、しばしば症状が完全に戻ってしまいます。甲状腺機能亢進症の症状が重い場合はベータ遮断薬が勧められます。
甲状腺機能低下症の症状が重度の場合、または甲状腺機能低下症が永続的になる場合は、合成甲状腺ホルモン(レボチロキシン)が必要になることがあります。