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ウェルニッケ-コルサコフ症候群は、ウェルニッケ脳症と呼ばれる急性の錯乱状態と、コルサコフ症候群と呼ばれる一種の長期記憶の健忘が組み合わさった、まれな種類の健忘です。未治療のウェルニッケ脳症がある人の約80%にコルサコフ症候群が発生します。
ウェルニッケ-コルサコフ症候群は、アルコール乱用や栄養不良のある人に起こり、原因は通常、チアミン(ビタミンB1)欠乏症です。
ウェルニッケ-コルサコフ症候群の症状
ウェルニッケ-コルサコフ症候群の診断
医師による評価
ウェルニッケ-コルサコフ症候群は、特徴的な症状がみられ、チアミン欠乏症を引き起こす病気(低栄養など)がある場合に疑われ、特にアルコール使用障害がある栄養不良の人で強く疑われます。
通常は、血糖値や電解質を測定する血液検査や血算、肝機能検査、脳の画像検査などの検査を行うことで、他の原因の可能性を否定します。ときに血液中のチアミンの濃度を測定することもあります。
ウェルニッケ-コルサコフ症候群の治療
チアミンの静脈内投与と輸液
ウェルニッケ-コルサコフ症候群は緊急の治療を要する事態です。治療としてはチアミンを静脈から投与します。これによりウェルニッケ脳症を是正できますが、治療が遅れた場合には、完全な回復が得られないことが多くあります。コルサコフ症候群の症状は、治療しても消失せず、長期間続くことがあります。
ウェルニッケ脳症は治療しないでいると死に至る可能性がありますが、先進国での死亡例はまれです。
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