結核とはどのような病気ですか?
結核は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)という細菌が引き起こす、よくみられる深刻な感染症です。
結核は、世界中で何百万人もの人がかかっている病気で、特にアフリカ、アジア、ラテンアメリカでよくみられます。
結核は、感染して治療を受けていない人のせきやくしゃみで広がります。
結核菌を吸いこむと、結核にかかります。
結核は通常、肺に影響をおよぼしますが、ほぼすべての臓器に影響をおよぼす可能性があります。
感染した人のほとんどでは、体調は悪くなりませんが、細菌は体の中にとどまり続けます。
活動性結核という状態になると、ふつう、せきが出て、発熱し、寝汗が出て、体重が減ります。
HIVに感染している人は、活動性結核になりやすく、そのために死に至る可能性が高くなります。
結核を治療するためには、いくつかの抗菌薬を少なくとも6カ月間服用する必要があります。
結核はどのような段階に分けられますか?
結核には以下の3つの段階があります。
一次感染
潜伏感染
活動性結核
初感染では、結核菌が肺に入り、場合によっては、体の他の部位に広がります。初感染で病気になる人はほんの少しだけです。
潜伏感染の段階では、体を守る仕組み(免疫系)が結核菌を攻撃して、瘢痕組織の小さなかたまりの中に閉じこめます。体がやがてその細菌を殺すこともありますが、多くの場合で細菌が生き残り、何年も活動しないまま存続します。潜伏感染の状態の人のうち約5~10%が活動性結核を発症します。
活動性結核では、瘢痕組織の塊の中なかに閉じこめられていた細菌が、活動を始めて出てきます。活動性結核になると、体調が悪くなり、ほかの人に感染を広げるようになります。
結核の原因は何ですか?
結核は、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)を吸いこむことで引き起こされます。
活動性結核の人がせきやくしゃみをすると、また話をするだけでも、結核菌が空気中に放出されます。
どのようなきっかけで結核は活動を始めるのですか?
免疫の働きを弱める病気や薬は、結核が活動性結核になる可能性を高めます。
最も一般的な危険因子は次のとおりです。
なりやすくなる要因には、ほかに次のものがあります。
糖尿病
重い腎不全
特定のがん
コルチコステロイドや抗炎症薬などの薬剤
危険因子がなくても、結核が活動性結核になることがあります。
結核にはどのような症状がありますか?
結核は通常、すぐには症状を引き起こしません。実際、感染した人のほとんどには、症状が現れません。
症状が現れている場合は、通常は肺に関わる症状です。次の症状が現れることがあります。
せきが出る(血がすじ状に混ざった、黄色または緑色の粘液が出ることもあります)
発熱
寝汗
体重減少
具合が悪くなり、元気が出ず、食欲がない
息切れ、胸の痛み
あまり多くはありませんが、感染がほかの臓器に広がってほかの臓器が結核菌に感染することによって症状が現れることもあります。たとえば、腎臓に感染すると、背中が痛くなり、尿に血が混ざります。脳に感染すると、頭痛、混乱、眠気を引き起こします。脊椎に感染すると、背中が痛くなります。
医師はどのようにして結核かどうかを判断しますか?
結核かもしれない症状がみられる場合、医師は次の方法で活動性結核がないか調べます。
胸部X線検査
たん(せきと一緒に吐き出される粘液)のサンプルから結核菌を探す検査
これらの検査の結果ではっきりしない場合は、医師は結核の皮膚検査や血液検査をすることがあります。
結核の皮膚検査はツベルクリン検査といいます。医療従事者が、結核菌のタンパク質を少しだけ、腕の皮膚のすぐ下に注入します。もしも結核菌にさらされていれば、2日程度後にその部分に硬いふくらみができます。
結核のスクリーニング検査とはどのような検査ですか?
スクリーニング検査とは、症状が現れていない人に隠れた病気を見つけるための検査です。結核は何も症状を引き起こさないことが多いため、結核にかかる危険がある場合は、定期的にスクリーニング検査を受ける必要があります。
以下の場合は、スクリーニング検査が必要になることがあります。
活動性結核の人と密接に接触した
医療従事者として働いている
HIV感染症や糖尿病など、結核にかかる危険性を高める病気をもっている
免疫の働きを弱める特定の薬を服用している
結核感染者が多くいる国から来た
スクリーニング検査には次のものがあります。
結核反応検査
結核の血液検査
ときに胸部X線検査
皮膚検査や血液検査で陽性になった場合、医師は診察と胸のX線検査をして、活動性結核かどうかを確かめます。活動性結核ではないにも関わらず、スクリーニング検査で陽性になるということは、潜伏感染の段階にあることを意味します。
医師は結核をどのように治療しますか?
活動性結核
結核は抗菌薬で治療します。活動性結核の治療に医師が用いる抗菌薬レジメンには、患者の病状と検査結果、そのほかの状況に応じて多くの種類があります。しかし、たいていは以下が行われます。
治療は自宅で行います。
4種類の抗菌薬を約2カ月間服用します。
さらに4~7カ月間、2種類以上の抗菌薬を服用します。結核菌を全て取り除くには長時間かかります。
非常に具合が悪い場合や、住む場所がない場合、あなたが他の人との接触を制限できない場所に住んでいる場合は、入院する必要があります。たとえば、介護施設、寮、避難所に住んでいる場合などです。
潜在性結核
潜在性結核にかかっている場合、具合が悪くなくても、最近になってスクリーニング検査で陽性の結果が出れば、医師は治療を行います。活動性結核にならないように、治療する必要があるためです。通常、医師は以下の治療を行います。
1種類の抗菌薬を4~9カ月間服用します(抗菌薬によって投与期間が異なります)。
耐性菌とは何ですか?
結核菌の一部の株は変異を起こし、よく使われる抗菌薬で殺しきることができません。そうした薬剤耐性をもつ結核菌は、4~5種類の抗菌薬を使って、非常に長い期間、治療しなければなりません。
医師はどのようにして結核が広がるのを予防しますか?
感染した結核菌が、薬に対してとても強い抵抗力をもたない場合は、抗菌薬を1~2週間服用した後、健康な人に結核をうつすことはありません。それまでは、いくつかの予防策をとる必要があります。
自宅で治療する場合では:
家に人を呼んではいけません
せきをするときは(ティッシュペーパーや自分の肘の内側で)口をおおいます
幼い子どもやHIVに感染している人など、感染の危険性が高い人といっしょに住んでいる場合は、結核がコントロールされていることが検査で分かるまで、予防策をとる必要があります。
病院で治療を受けている場合は、以下を行う必要があるかもしれません:
他の人が入るときは特別なマスク(ふつうのサージカルマスクではない)を着ける必要がある隔離室に入院します
結核に対するワクチンはありますか?
BCGと呼ばれる結核を予防するワクチンが あります。しかし、このワクチンを接種すると、ツベルクリン検査という皮膚検査で陽性になってしまいます。ですから、このワクチンを接種した場合、医師は結核のスクリーニングにこの皮膚検査を使うことができなくなります。そのため、このワクチンは主に、結核が流行している国の子どもに使われています。



