トゥレット症候群しょうこうぐんとそのほかのチック症しょう

チックは、自身じしんはそうしようというつもりがないのに、急きゅうに素早すばやい動うごきをしたり、音おとを出だしたりすることです。動うごきや音おとのくり返かえしは、数回すうかいだけのこともあれば、何回なんかいも続つづくこともあります。

トゥレット症候群しょうこうぐんは、そのような動うごきと音おとの両方りょうほうからなるチックが、1年ねん以上いじょうにわたって起おこる病気びょうきです。

チックは、わざとしている動作どうさではありませんが、くしゃみをしたいときのように、それをしたいというとても強つよい衝動しょうどうがあります。くしゃみと同おなじように、チックを止とめるのは、とても難むずかしいことです。しかし、数分間すうふんかんは止とめられることもあります。

• 動うごきのチック（運動うんどうチック）としては、まばたきをする、顔かおをしかめる、急きゅうに頭あたまをふるなどがあります。

• 音おとのチック（音声おんせいチック）としては、せきばらいや、何なにかをぶつぶつ言いうことなどがあります。

• チックは1日にちに何回なんかいも現あらわれることもあれば、数すうカ月げつに1回かいしか現あらわれないこともあります。

• 複雑ふくざつな動うごきや声こえのチックは、あなたの生活せいかつのじゃまになることがあります。

• 軽かるいチックは、年としをとるにつれて、自然しぜんに治なおることがよくあります。

• チックはわざとする動作どうさではないため、チックをしたことで子こどもに罰ばつを与あたえたり、からかったりしてはいけません。

男おとこの子こでは、女おんなの子こと比くらべて、チックが起おこる可能性かのうせいが3倍ばい高たかいです。チックはふつう、4～6才さいで始はじまり、10～12才さいのころにひどくなった後あと、よくなっていき、消きえてしまいます。とても少すくないですが、大人おとなになってもチックが続つづく人ひともいます。

チックのある人ひとには、不安ふあん、強迫症きょうはくしょう、注意ちゅういや学習がくしゅうの問題もんだいなど、ほかの障害しょうがいがあることがとても多おおいです。

• チックの原因げんいんは分わかっていません。

• チックは、なりやすい体質たいしつが家族かぞくの中なかで受うけつがれることがよくあります。

チックは、わざとしている動作どうさではありません。チックをしたことで子こどもに罰ばつを与あたえても、チックを止とめることはできず、むしろ悪化あっかさせることさえあります。

チックには、単純性たんじゅんせいチックと複雑性ふくざつせいチックがあります。

単純性たんじゅんせいチックは、とても短時間たんじかんのチックです。次つぎのようなものがあります：

• まばたきをする

• 顔かおをしかめる

• 急きゅうに頭あたまをふる

• 肩かたをすくめる

• 何なにかをぶつぶつ言いう、どなる

• においをかぐ、鼻はなを鳴ならす

• せきばらいをくり返かえす

単純性たんじゅんせいチックは、意味いみのないただの素早すばやい動うごきや音おとですので、ふつうは、多おおくの社会的しゃかいてきな問題もんだいを引ひき起おこすことはあまりありません。

複雑性ふくざつせいチックは、長ながく続つづくもので、複数ふくすうの単純性たんじゅんせいチックの組合くみあわせである場合ばあいもあります。複雑性ふくざつせいチックとしては、次つぎのものがあります：

• 急きゅうに頭あたまをふることと肩かたをすくめることの組合くみあわせ

• 口くちぎたない言葉ことばを言いう

• 不適切ふてきせつな身みぶりをする

• ほかの人ひとが言いったことをくり返かえす

• ほかの人ひとの動うごきを何度なんどもまねする

複雑性ふくざつせいチックは、人ひとを侮辱ぶじょくしたり、失礼しつれいなことをしたりするつもりでやっているように見みえることがあります。そのため、重おもい複雑性ふくざつせいチックのある人ひとは、職場しょくばや学校がっこうでの問題もんだいや、友人関係ゆうじんかんけいの問題もんだいをかかえていることがあります。ほかの人ひとの近ちかくにいることをとても不安ふあんに思おもったり、人ひとを避さけようとしたりすることもあります。

あなたがチックのように見みえる動作どうさをしていて、それがほかの特定とくていの基準きじゅんを満みたしている場合ばあい、医師いしはチック症しょうと診断しんだんします。チック症しょうを診断しんだんするための検査けんさはありません。

症状しょうじょうが軽かるい場合ばあい、医師いしはあなたに、チックが無害むがいであることや、自然しぜんになくなるまで待まてばいいということを、理解りかいしてもらおうとします。年長ねんちょうの子こどもや大人おとなの場合ばあいは、心理療法しんりりょうほう士しと協力きょうりょくして、自分じぶんのチックをコントロールするために役立やくだつ、リラクゼーション法ほうなどの方法ほうほうを学まなぶこともできます。

チックが長ながい間あいだ続つづき、日常生活にちじょうせいかつに影響えいきょうが出でている場合ばあいは、医師いしはチックを軽かるくするための薬くすりを試ためすことがあります。

チックがある人ひとは、強迫症きょうはくしょう、注意欠陥障害ちゅういけっかんしょうがいなど、チックがある人ひとによく起おこる病気びょうきについて、評価ひょうかと治療ちりょうを受うける必要ひつようがあります。チックがあるために学校生活がっこうせいかつに苦労くろうしている子こどもは、学習障害がくしゅうしょうがいがないか調しらべる評価ひょうかを受うけて、サポートを受うける必要ひつようがあります。