網膜は、目の奥にある細胞の層で、光に敏感に反応して脳に信号を送り、それによって物を見ることができるようになっています。
黄斑は網膜の小さな領域で、光に敏感な細胞が高濃度に集まっています。黄斑は、まっすぐ何かを見たときに細部を見るための重要な部分です。たとえば、あなたが読んだり運転したりするのを、黄斑が助けています。
加齢黄斑変性
加齢性黄斑変性症（AMD）は、黄斑の正常な構造が失われる目の病気です（変性と呼ばれます）。黄斑が正常に機能しないと、視野の中心のものが見えなくなります。視野の中心では、細部を見ることができます。
加齢黄斑変性は高齢者でより多くみられます。
重症の場合は、失明することもあります。
特定のビタミンは、加齢黄斑変性による視力の低下を遅らせるのに役立つ可能性があります
加齢黄斑変性によっておこる視力障害のスピードを遅らせるために、特別な治療が必要な人もいます。
加齢黄斑変性には次の2つのタイプがあります。まず最初は：
萎縮型加齢黄斑変性といって、黄斑の細胞がゆっくりと死んでしまい、着々と視力が失われていく状態になります。
しばらくの間、萎縮型加齢黄斑変性の状態が続いた後は：
滲出型加齢黄斑変性といって、ダメージを受けた黄斑の下に異常な血管が新しくでき、その血管から血液がもれて、急速に視力が失われる状態になります。
網膜の構造
加齢黄斑変性の原因は何ですか？
加齢黄斑変性の原因は、医師たちにも分かっていません。特定の条件に当てはまると、この病気にかかる危険が高まります。もしあなたが次の状態に当てはまる場合、加齢黄斑変性にかかる可能性が高くなります：
高齢である
加齢黄斑変性の家族がいる
タバコを吸っている
心臓の病気にかかっている
高血圧である
体重が重すぎる
特定の遺伝的な問題がある
加齢黄斑変性にはどのような症状がありますか？
加齢黄斑変性の症状は、その種類によって異なります。
萎縮型加齢黄斑変性の場合：
少しずつ、細部が見えづらくなったり、視野の中心に盲点ができたりする
直線が波状に見える
両目に同じ症状が現れる
読んだり運転できる視力がまだ残っている
萎縮型加齢黄斑変性にかかっている人の中には、後に滲出型加齢黄斑変性になる人がいます。
滲出型加齢黄斑変性では次の症状がよくみられます：
視力障害が片目に急速に起こる（ふつうは数日から数週間の間に起こる）
視野の中心にぼやけているか波状の部分がある
一度に片方の目だけに症状が現れる
片方の目が見えなくなることがある
医師はどのようにして、私が加齢黄斑変性かどうかを判断しますか？
あなたが加齢黄斑変性かどうかは、ふつう、目の診察を受ければ分かります。医師はあなたに視力障害があるかどうかを調べます。医師はあなたにグリッドを見るよう伝え、線がまっすぐか波打って見えるかをたずねます。
医師はあなたの網膜の特別な写真を撮ったり、目の内部を調べる検査を行ったりします。ふつう医師は、目に起こっているダメージを、症状が現れる前であっても見ることができます。
医師は加齢黄斑変性をどのように治療しますか？
加齢黄斑変性が軽ければ、あなたは治療を受けることはないでしょう。しかし、医師は加齢黄斑変性が悪くならないように次のビタミンをあなたに与えることがあります：
あなたがこれまで7年以上タバコを吸っている場合は、肺がんになる可能性が高まるため、ベータカロテンやビタミンAを飲まないようにしましょう。
もしあなたに加齢黄斑変性による重い視力障害がある場合、医師は次のことを行うでしょう：
目の奥に注射をする
特殊な光またはレーザーを使って目の血管を治療する
拡大鏡や特殊な老眼鏡など、あなたが読むために役立つ道具を提案する
視力障害がひどく、ほかの治療で改善しない場合は、IMT（implantable miniature telescope：眼の中に埋め込んで使用する小型の単眼鏡）を目の中に入れる
加齢黄斑変性はどうすれば予防できますか？
次のようなことが加齢黄斑変性を予防したり進行を遅らせたりするのに役立ちます：
タバコを吸うのをやめるかタバコを吸い始めない
たとえばある種の魚や濃い緑色の葉野菜など、オメガ3脂肪酸を含む食べものをより多く食べる
すでに加齢黄斑変性にかかっている人の治療で使われるビタミンを飲む
血圧をコントロールし、体重に気をつける
