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食道裂孔ヘルニア

執筆者:

Kristle Lee Lynch

, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania

医学的にレビューされた 2020年 10月
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やさしくわかる病気事典
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食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が異常に膨らんで横隔膜から突出した状態です。

  • この病気の原因は通常は不明ですが、一般的な要因として年齢、肥満、喫煙があります。

  • 症状が出なかったり、逆流や消化不良などの軽い症状がみられる人もいますが、胸痛、腹部膨満、げっぷ、嚥下(えんげ)困難などの比較的重篤な症状が出る人もいます。

  • 診断は食道造影検査のほか、ときに上部消化管内視鏡検査の結果に基づいて下されます。

  • 治療では、症状の緩和を目標とし、ときに薬が用いられ、まれに手術が行われます。

腹部の臓器などが横隔膜(胸腔を腹部と隔てている筋肉の薄い膜)を越えて突出した状態を、横隔膜ヘルニアといいます。横隔膜には、食道裂孔と呼ばれる開口部があり、正常であれば食道が通っています。この開口部を通じて生じる横隔膜ヘルニアを食道裂孔ヘルニアと呼びます。

食道裂孔ヘルニアの原因は通常不明ですが、裂孔で食道と横隔膜の間に付着している帯状の組織が伸びることで発生することがあります。食道裂孔ヘルニアは、50歳以上の人、過体重の人(特に女性)、喫煙者に多くみられます。先天異常(横隔膜ヘルニア 横隔膜ヘルニア 横隔膜ヘルニアとは、横隔膜に穴や脆弱な部分がある状態で、これにより腹部の臓器の一部が胸部に飛び出します。 この異常は重度の呼吸困難を引き起こします。 診断は出生前超音波検査または胸部X線検査の結果に基づいて下されます。 酸素を投与し、穴を閉じるための手術を行います。 横隔膜は、胸部の臓器を腹部の臓器と隔てている膜状の筋肉です。 さらに読む 横隔膜ヘルニア )や損傷が原因となるタイプの横隔膜ヘルニアもあります。

食道裂孔ヘルニアの種類

食道裂孔ヘルニアには、大きく分けて次の2種類があります。

  • 滑脱型食道裂孔ヘルニア(最も多い)

  • 傍食道型食道裂孔ヘルニア

滑脱型食道裂孔ヘルニアでは、食道と胃の接合部が胃の一部とともに横隔膜より上に突出しますが、それらはすべて正常なら横隔膜の下にあるものです。米国では40%以上の人に滑脱型食道裂孔ヘルニアがみられ、60歳以上の人で頻度が高くなります。

傍食道型食道裂孔ヘルニアでは、食道と胃の接合部は横隔膜より下の正常な位置にありますが、胃の一部が横隔膜の上に押し出されて食道と並んだ状態になります。

食道裂孔ヘルニアについて理解する

食道裂孔しょくどうれっこうヘルニアのことをくわしく知しる

食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が異常に膨らんで横隔膜から突出した状態です。

症状

滑脱型食道裂孔ヘルニアの大半は非常に小さく、ほとんどの人は無症状です。症状がある場合も通常は軽微です。症状は通常、 胃食道逆流症 胃食道逆流症(GERD) 胃食道逆流症では、胃酸や胆汁を含む胃の内容物が胃から食道に逆流し、食道の炎症と胸部の下部の痛みが生じます。 逆流は、正常な場合に胃の内容物が食道に逆流しないように防いでいる輪状の筋肉(下部食道括約筋)が正しく機能していないと起こります。 最も典型的な症状は胸やけ(胸骨の裏側の焼けつくような痛み)です。 診断は症状のほか、ときに食道pH検査の結果に基づいて下されます。 引き金になる物質(アルコールや脂肪分の多い食物など)を避け、胃酸を減ら... さらに読む 胃食道逆流症(GERD) に関連したもので、消化不良がみられ、特に食後に横になったときに生じます。しかし、食道裂孔ヘルニアの患者で胃食道逆流症がみられる割合は50%を下回ります。前にかがんだり、力んだり、重い物を持ち上げたりすると症状が悪化し、妊娠中も同様です。

いずれのタイプの食道裂孔ヘルニアでも、まれにヘルニアの内膜からごく微量または大量の出血が起こることがあります。

診断

  • 胸部X線検査

  • 食道造影検査

  • ときに上部消化管内視鏡検査

ヘルニアは上部消化管 内視鏡検査 内視鏡検査 内視鏡検査とは、柔軟な管状の機器(内視鏡)を用いて体内の構造物を観察する検査です。チューブを介して器具を通すことができるため、内視鏡は多くの病気の治療にも使うことができます。 口から挿入する内視鏡検査では、食道(食道鏡検査)、胃(胃鏡検査)、小腸の一部(上部消化管内視鏡検査)が観察できます。上部消化管内視鏡検査を受ける場合は、のどの感覚をなくすために液体またはスプレー状の麻酔薬が検査前に使用されることがあります。... さらに読む でも確認できます。上部消化管内視鏡検査では、 内視鏡 内視鏡検査 内視鏡検査とは、柔軟な管状の機器(内視鏡)を用いて体内の構造物を観察する検査です。チューブを介して器具を通すことができるため、内視鏡は多くの病気の治療にも使うことができます。 口から挿入する内視鏡検査では、食道(食道鏡検査)、胃(胃鏡検査)、小腸の一部(上部消化管内視鏡検査)が観察できます。上部消化管内視鏡検査を受ける場合は、のどの感覚をなくすために液体またはスプレー状の麻酔薬が検査前に使用されることがあります。... さらに読む と呼ばれる柔軟な管状の機器を用いて食道を調べます。

治療

  • 胃酸の逆流を予防または治療するための処置

  • ときにプロトンポンプ阻害薬

  • ときに手術

滑脱型食道裂孔ヘルニアで症状がみられなければ、治療の必要はありません。逆流の症状がみられる場合、胃酸の分泌を減らすプロトンポンプ阻害薬が使用されます(胃酸の治療に使用される薬 胃酸の治療に使用される薬 胃酸の治療に使用される薬 )。

他に逆流の治療に役立つ方法として、寝るときに頭の位置を高くする、食事の量を減らす、過剰な体重を減らす、禁煙する、食後に横になったり運動をしたりしない、きつい服を着ないことなどがあります。酸を含む飲みもの(オレンジジュースやコーラなど)、アルコール、コーヒー、特定の食べもの(タマネギ、香辛料の効いたもの、酸性のもの、脂肪分の多いものなど)の摂取をやめたり、制限したりすることが推奨されます。

傍食道型食道裂孔ヘルニアで症状がある場合は、嵌頓を予防するために手術で治す必要があります。手術は、胸部か腹部を小さく切開し、細い器具と小さなビデオカメラを挿入して行われる場合もあれば(胸腔鏡下手術または腹腔鏡下手術)、完全に開腹して行う必要がある場合もあります。

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