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胃石

執筆者:

Zubair Malik

, MD, Lewis Katz School of Medicine at Temple University

最終査読/改訂年月 2020年 2月
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本ページのリソース

胃石は、部分的に消化された物質や消化されなかった物質が集まって密に固まったものであり、胃や腸の中で動かなくなることがあります。

  • 消化できない物質のかたまりが胃の中で動かなくなることがあります。

  • ほとんどの胃石は症状を引き起こしません。

  • 診断はX線検査などの画像検査や内視鏡による消化管の観察結果に基づいて下されます。

  • ほとんどの胃石は、器具の使用や薬剤の服用により細かく分解するか、内視鏡または外科的手術で取り除く必要があります。

胃は胃石(部分的に消化されたものや消化されなかったものが集まって固くなったもの)が集まりやすい部位です。胃石は消化管の狭くなった部分を通過できないため、消化管の中で動かなくなることがあります。胃石はほとんどの場合、胃に蓄積しますが、消化管の他の部分に蓄積することもあります。直径が約2センチメートルを超える胃石は、大半が胃を通過できませんが、これは、胃の内容物が十二指腸(小腸の始まりの部分)に入る際に必ず通る出口(幽門括約筋)が狭くなっているためです。

胃石にはいくつかの種類があり、その成分によって以下のように分類されます。

  • 植物胃石は最も一般的で、果物や野菜の繊維、皮、種などの消化できない物質でできています。

  • 柿胃石は、植物胃石の一種で、柿の成分でできています。

  • 毛髪胃石は、毛髪が部分的に消化されたものでできています。

  • 薬物胃石は、薬(制酸薬など)が集まって固くなったものでできています。

  • ミルク胃石は乳タンパク質でできており、ミルクを与えられている乳児に起こる可能性があります。

胃石は、そのほかにもティッシュペーパーや発泡スチロール製品(カップなど)といった、様々な物質でできている場合もあります。

胃石の危険因子

食べものなどが固まる現象自体は小児を含む誰にでも起こりえますが、特定の危険因子をもつ人では特に多くみられます。

一般的な危険因子としては以下のものがあります。

高齢者で比較的多くみられる危険因子としては以下のものがあります。

  • 歯がまったくない

  • 入れ歯が合っていない

  • 食べものをよく噛まない

  • 胃酸の量が少ない(低酸症)

毛髪胃石は、精神障害があって自分の毛髪を噛んで飲み込んでしまう若い女性で最もよくみられます。

症状

ほとんどの胃石は消化管を完全にふさぐわけではないため、症状を引き起こしません。しかし、通常量の食事の後に強い満腹感を覚えたり、吐き気、嘔吐、痛みが現れたりすることもあります。食欲がなくなって、体重が減ることもあります。

胃石の合併症

胃石が胃や小腸、まれに大腸を部分的または完全にふさいでいる場合、けいれん、腹部膨満、食欲不振、吐き気、嘔吐が生じることがあります(腸閉塞 腸閉塞 腸閉塞とは、腸管内で食べもの、水分、消化分泌液、ガスの通過が完全に止められているか、深刻な通過障害が起きている状態のことです。 成人で最も一般的な原因は、以前に受けた腹部の手術による瘢痕(はんこん)組織、ヘルニア、腫瘍です。 痛み、腹部膨満、食欲不振がよくみられます。 診断は、身体診察とX線検査の結果に基づいて下されます。... さらに読む を参照)。ときに胃石によって 腸重積 腸重積 腸重積は、スライドさせて伸ばす望遠鏡のように、腸の一部が別の部分の中にすべり込む病気です。はまり込んだ腸の一部は腸を閉塞させ、血流を遮断します。 通常、腸重積の原因は不明です。 症状は突然発生する腹痛と嘔吐の発作などで、1時間に数回にわたり現れたり消えたりして、その後に血便がみられることもあります。... さらに読む (スライドさせて伸ばす望遠鏡のように、腸の一部が別の部分の中にすべり込んだ状態)が起こり、腸がふさがれることがあります。治療せずにいると、腸重積により腸の組織の一部が壊死することもあります。

診断

  • 画像検査

  • 内視鏡検査

しばしば胃石は、 X線検査 消化管のX線検査 消化器系の問題の評価にはX線検査がよく使われます。標準的なX線検査(単純X線検査)では、特別な準備は何も必要ありません( 単純X線検査)。消化管に閉塞や麻痺がある場合や、腹腔内のガスの分布が異常な場合は、通常は標準的なX線検査で明らかになります。また、肝臓、腎臓、脾臓の腫大も標準的なX線検査で明らかになります。... さらに読む CT検査 消化管のCT検査とMRI検査 CT検査( CT(コンピュータ断層撮影)検査)とMRI検査( MRI(磁気共鳴画像)検査)は、腹部臓器の大きさや位置を調べるのに適しています。さらに、これらの検査では悪性腫瘍(がん)や良性腫瘍(がんではない腫瘍)もしばしば検出されます。血管の変化も検出できます。通常、虫垂や憩室などの炎症(... さらに読む 超音波検査 腹部の超音波検査 超音波検査では、超音波を用いて内臓の画像を描き出します( 超音波検査)。超音波検査により、肝臓や膵臓(すいぞう)など多くの内臓の形や大きさが確認でき、嚢胞(のうほう)や腫瘍などの内臓の中の異常部位も発見できます。また、腹腔内の液体( 腹水)も確認できます。腹壁にプローブを当てる超音波検査は、消化管の粘膜や壁を調べる方法としては不適切です。... さらに読む 腹部の超音波検査 など、腹部の画像検査で確認できます。

胃石の診断を確定し、原因が腫瘍ではないことを確認するために、通常は 内視鏡検査 内視鏡検査 内視鏡検査とは、柔軟な管状の機器(内視鏡)を用いて体内の構造物を観察する検査です。チューブを介して器具を通すことができるため、内視鏡は多くの病気の治療にも使うことができます。 口から挿入する内視鏡検査では、食道(食道鏡検査)、胃(胃鏡検査)、小腸の一部(上部消化管内視鏡検査)が観察できます。上部消化管内視鏡検査を受ける場合は、のどの感覚を... さらに読む (内視鏡という柔軟性のある管状の機器で消化管を観察する検査)が行われます。内視鏡検査では、胃石を採取して顕微鏡で調べて、その成分(毛や植物など)を確認することがあります。医師は内視鏡検査の際に胃石を砕いて除去するよう努めます。

治療

  • 胃石を溶かす対策

  • 内視鏡検査

  • ときに手術

症状が軽い場合は、胃石の分解や溶解を促すために、コーラやセルラーゼが処方されることがあります。セルラーゼは水に溶かして、2~5日間服用します。メトクロプラミドという別の経口薬が処方される場合もあります。この薬は、消化管の内容物が胃と腸を通過する動きを促進します。

胃石が溶けない場合や中等度から重度の症状がみられる場合は、内視鏡検査を行う際に胃石の除去を試みます。

内視鏡検査では、胃の通過や胃石の除去が容易になるように、鉗子(かんし)、レーザー、その他の器具を使って胃石を細かく砕くこともあります。

岩のように硬い胃石(柿でできた胃石など)は、通常は手術で取り除く必要があります。

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