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線維筋痛症

(筋筋膜痛症候群)

執筆者:

Joseph J. Biundo

, MD, Tulane Medical Center

最終査読/改訂年月 2018年 11月
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線維筋痛症はよくみられる原因不明の関節以外の疾患であり,全身性疼痛(ときに重度);筋肉,腱付着部周囲,および隣接する軟部組織の広範囲の圧痛;筋硬直;疲労;意識障害;睡眠障害;ならびに他の様々な身体症状を特徴とする。診断は臨床的に行う。治療法としては,運動,局所の加温,ストレス管理,睡眠を改善する薬剤,非オピオイド鎮痛薬などがある。

線維筋痛症は一般的であり,女性で約7倍多い(通常は若年または中年女性)が,男性,小児,および青年に起こることもある。性差のために,ときに男性では見落とされる。ときに,関連のないその他の全身性リウマチ性疾患の患者に発生することがあるため,診断および管理が困難である。

病因

最新のエビデンスは,線維筋痛症が中枢を介した痛覚感受性の疾患である可能性を示唆している。原因は不明であるが,ステージ4の睡眠の中断が一因である可能性があり,精神的ストレスも同様である。線維筋痛症は,ウイルス性もしくは他の全身性感染症(例, ライム病 ライム病 ライム病は,スピロヘータの一種であるBorrelia属細菌によって引き起こされるダニ媒介性感染症である。初期症状に遊走性紅斑があり,数週間から数カ月後には神経,心臓,または関節の異常が続発することがある。病初期では主に臨床所見から診断するが,疾患後期に発生する心臓合併症,神経系合併症,およびリウマチ性合併症の診断には血清学的検査が役立つ可能性がある。治療はドキシサイクリンやセフトリアキソンなどの抗菌薬による。... さらに読む ライム病 )または外傷的出来事によって引き起こされることがあるが,抗ウイルス薬もしくは抗菌薬による追加または長期の治療は,効果がないため適応とならない。

症状と徴候

こわばりおよび痛みがしばしば,広範囲で緩徐に始まり,うずく感覚を伴う。痛みは広範囲にわたり,疲労,筋挫傷,またはオーバーユースで悪化することがある。

患者には典型的に様々な身体症状がみられる。疲労がよくみられ,また集中困難および全般的な意識障害の感覚などの認知障害も同様に一般的である。多くの患者にはさらに, 過敏性腸症候群 症状と徴候 過敏性腸症候群は,繰り返す腹部不快感または腹痛を特徴とし,さらに排便との関連性,排便頻度の変化との関連性,または便の硬さの変化との関連性という特徴のうち少なくとも2つが認められる。原因は不明であり,病態生理も完全には解明されていない。診断は臨床的に行う。治療は対症療法であり,食事管理と薬剤投与(抗コリン薬やセロトニン受容体に作用する薬剤な... さらに読む 間質性膀胱炎 症状と徴候 間質性膀胱炎は,疼痛(恥骨上部,骨盤,腹部),頻尿,尿失禁を伴う尿意切迫を引き起こす非感染性の膀胱炎である。診断は病歴および他の疾患の臨床での除外ならびに膀胱鏡および生検による。治療により大部分の患者は改善するが,治癒はまれである。多くの治療法があるが,具体的には食習慣の変更,膀胱訓練,ペントサン,鎮痛薬,膀胱内療法などがある。 ( 排尿の概要も参照のこと。) 間質性膀胱炎の発生率は不明であるが,従来考えられていたよりも多いようであり,... さらに読む ,または 片頭痛 症状と徴候 片頭痛は発作性の一次性頭痛である。症状は典型的には4~72時間持続し,重症例もありうる。疼痛はしばしば一側性,拍動性で,労作により増悪し,悪心,光,音,または匂いに対する過敏などの症状を伴う。前兆は約25%の患者に起こり,通常頭痛の直前に生じるが,ときに頭痛の後にも同様の症状が起こる。診断は臨床的に行う。治療はトリプタン製剤,ジヒドロエルゴタミン,制吐薬,および鎮痛薬による。予防的措置としては,生活習慣の改善指導(例,睡眠習慣や食生活な... さらに読む もしくは 緊張型頭痛 症状と徴候 緊張型頭痛では頭部全体に及ぶ軽度の疼痛を生じるが,片頭痛に伴う作業不能,悪心,および羞明はない。 ( 頭痛患者へのアプローチも参照のこと。) 緊張型頭痛は発作性のこともあれば慢性のこともある。 反復発作性緊張型頭痛の頻度は15日/月未満である。反復発作性緊張型頭痛は非常に高い頻度でみられ,一般用医薬品の鎮静薬で疼痛緩和が得られる場合が多く,ほとんどの患者は医療機関を受診しない。... さらに読む の症状がみられる。錯感覚がみられる場合があり,典型的には両側性である。

症状は,環境的ストレス,精神的ストレス,睡眠障害,外傷,湿気もしくは寒冷への曝露により,または医師,家族,もしくは友人が本症を「全て気持ちの問題」とほのめかすことにより増悪することがある。

患者は,ストレスを感じ,緊張し,不安を覚え,疲労し,治療に積極的になったり,ときに抑うつ状態となる傾向がある。患者には完全主義者の傾向がある場合がある。

触診するとしばしば筋肉の特異的で独立した部位(圧痛点)に圧痛を認める点を除き,身体診察では著明な所見は認められない。圧痛のある部位には,腫脹,発赤,熱感はない;このような所見は,別の診断を示唆しているはずである。

診断

  • 臨床基準

  • 通常は他の疾患を除外するための検査および詳細な身体診察

以下がみられる患者では,線維筋痛症を疑う:

  • 全身性の痛みおよび圧痛,特に身体所見と不釣り合いな場合

  • 広範囲の症状にもかかわらず臨床検査の結果が陰性

  • 主症状として疲労

線維筋痛症の診断は,広範囲の痛みが3カ月以上持続している患者で考慮し,特に様々な身体症状を伴う場合に考慮すべきである。体の左側および右側,ウエストより上および下,ならびに体幹骨(頸椎,胸部前方もしくは胸椎,または腰部)に痛みがある場合に痛みが広範囲であるとみなす。

診断はAmerican College of Rheumatology(1 診断に関する参考文献 線維筋痛症はよくみられる原因不明の関節以外の疾患であり,全身性疼痛(ときに重度);筋肉,腱付着部周囲,および隣接する軟部組織の広範囲の圧痛;筋硬直;疲労;意識障害;睡眠障害;ならびに他の様々な身体症状を特徴とする。診断は臨床的に行う。治療法としては,運動,局所の加温,ストレス管理,睡眠を改善する薬剤,非オピオイド鎮痛薬などがある。 線維筋痛症ではいずれの線維筋性組織も侵される可能性があり,特に後頭,頸部,肩関節,胸部,腰部,および大腿で... さらに読む )の臨床基準に基づき,この基準には,広範囲の痛みと他の様々な認知症状および身体症状(上で挙げたものなど)の組合せを重症度で分類したものが含まれる。過去の基準は,18ある特定の圧痛点のうちいくつかに圧痛がみられることに依存するものであった。この基準は,専門医以外が圧痛を一貫して評価することがときに困難であり,また完全に症状に基づいた基準を設けることに利点があると考えられたため,排除された。しかし,圧痛はかなりの頻度でみられるため,一部の専門医は圧痛の系統的な評価を続けている( Professional.see figure 線維筋痛症における圧痛の検出 線維筋痛症における圧痛の検出 線維筋痛症における圧痛の検出 )。

患者の症状について他の原因を調べる検査には,赤沈またはC反応性タンパクとCKのほか,おそらく 甲状腺機能低下症 診断 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの欠乏である。診断は典型的な顔貌,嗄声および言語緩徐,乾燥皮膚などの臨床的特徴,ならびに甲状腺ホルモン低値による。原因の治療およびサイロキシン投与などにより管理を行う。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 甲状腺機能低下症は年齢を問わず生じるが,特に高齢者でよくみられ,その場合症状が軽微で認識しにくい可能性がある。甲状腺機能低下症は以下に分類される:... さらに読む 診断 および C型肝炎 診断 C型肝炎は,しばしば血液感染するRNAウイルスによって引き起こされる。ときに食欲不振や倦怠感,黄疸などのウイルス性肝炎の典型症状を引き起こすが,無症状のこともある。まれに劇症肝炎や死に至る。約75%で慢性肝炎となり,肝硬変やまれに肝細胞癌に至ることもある。診断は血清学的検査による。治療は支持療法である。利用可能なワクチンはない。 ( 肝炎の原因, 急性ウイルス性肝炎の概要,および... さらに読む (疲労および全身性の筋肉痛を生じることがある)の検査を含めるべきである。他の検査(例,リウマチ性疾患に対する血清学的検査)は,病歴および/または身体診察の所見から示唆される場合にのみ行うべきである。

ピットフォールの可能性を回避するために以下を考慮すべきである:

パール&ピットフォール

  • 全身性のこわばりおよび痛みが強い患者では,RAまたはSLEなどの既知の全身性リウマチ性疾患の増悪だけでなく,線維筋痛症を考慮する。

診断に関する参考文献

予後

線維筋痛症は慢性である傾向があるが,ストレスが減れば自然に寛解することがある。また線維筋痛症は頻回に再発することもある。包括的な支援プログラムによる治療を受ける患者については,機能予後は通常良好であるが,症状はある程度続く傾向にある。気分障害が併存し,その対処が行われていない場合,予後不良となる可能性がある。

治療

  • ストレッチ運動および有酸素運動,局所の加温,ならびにマッサージ

  • ストレス管理

  • 睡眠を改善するために三環系抗うつ薬またはシクロベンザプリン(cyclobenzaprine

  • 非オピオイド鎮痛薬

ストレッチ運動,有酸素運動,十分な熟睡,局所の加温,および愛護的なマッサージで症状が緩和することがある。総合的なストレス管理(例,深呼吸訓練,瞑想,心理的支援,必要な場合カウンセリング)が重要である。

症状がある筋肉を愛護的にストレッチする運動を毎日行うべきである;ストレッチは約30秒間保持し5回ほど繰り返すべきである。有酸素運動(例,速歩,水泳,エアロバイク)は,症状を軽減することがある。

睡眠の改善が極めて重要である。鎮静薬を服用してもよいが,夜間のみおよび睡眠を改善するためだけに限る。就寝時の低用量経口三環系抗うつ薬(例,アミトリプチリン10~50mg,トラゾドン50~150mg,ドキセピン10~25mg)または薬理学的に同様のシクロベンザプリン(cyclobenzaprine)~30mgにより,深い睡眠が促進され筋肉痛が軽減することがある。最小有効量を用いるべきである。眠気,口腔乾燥,およびその他の有害作用により,これらの薬物の一部または全てに耐えられなくなることがある(特に高齢者において)。

非オピオイド鎮痛薬(例,トラマドール,アセトアミノフェン,NSAID)が一部の患者で有用なことがある。オピオイドは避けるべきである。プレガバリン,デュロキセチン,およびミルナシプランは,線維筋痛症の治療に用いることができるが,運動,睡眠を改善する手法,およびストレス管理の補助として用いるべきである;これらは痛みの軽減にいくらか役立つことがある。

耐えがたい局所の圧痛部の治療に1~5mLの0.5%ブピバカインまたは1%リドカインの注射がときに使用されるが,定期的な使用がエビデンスで支持されていないため,そのような注射を初期治療として頼るべきではない。

睡眠障害を悪化させている可能性のある薬剤を特定するために,患者が服用している薬剤を精査すべきである。そのような薬剤は避けるべきである。不安,抑うつ,および特に双極性障害がもしあれば,それに対処すべきである。

要点

  • 線維筋痛症に関連するこわばりおよび痛みは,環境的ストレス,精神的ストレス,睡眠障害,外傷,湿気もしくは寒冷への曝露により,または医師,家族,もしくは友人が本症を「全て気持ちの問題」とほのめかすことにより増悪することがある。

  • 全身性の痛みおよび圧痛ならびに疲労が説明がつかない,または身体所見および臨床検査所見に対し不釣り合いな場合,線維筋痛症を疑う。

  • 赤沈またはC反応性タンパク,CK,ならびに甲状腺機能低下症およびC型肝炎の検査を行い,慢性疲労症候群およびリウマチ性多発筋痛症を考慮する。

  • 見かけ上,RAまたはSLEなどの全身性リウマチ性疾患の痛みを伴う増悪がみられるが,そうした増悪を確定する臨床所見も臨床検査所見もない患者では,線維筋痛症を考慮する。

  • 理学療法,ストレス管理,および睡眠の改善に重点を置くことで治療し,また痛みに対し必要な場合には非オピオイド鎮痛薬の投与によって治療する。

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