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経皮的冠動脈インターベンション(PCI)

執筆者:

Michael J. Shea

, MD, Michigan Medicine at the University of Michigan;


Thomas Cascino

, MD, MSc, Michigan Medicine, University of Michigan

最終査読/改訂年月 2019年 8月
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経皮的冠動脈インターベンション(PCI)には,経皮的冠動脈形成術(PTCA)やステント留置を伴うPTCAなどがある。最も重要な適応は以下の治療である:

貫壁性のST上昇型心筋梗塞(STEMI)では,疼痛の発生から90分以内のPTCAおよびステント留置が至適な治療である。待機的PCIは,退院前に再発性または誘発性の狭心症がみられる心筋梗塞後患者と薬物療法でも症状が持続する狭心症患者で適切となりうる。

手技

PTCAは大腿動脈,橈骨動脈,または上腕動脈の経皮的穿刺により施行される。橈骨動脈アプローチは,患者の不快感を軽減し,歩行開始までの時間を短縮し,一部の合併症(例,出血,仮性動脈瘤の形成)の発生率を低下させることから,用いられることが多くなっている。

ガイディングカテーテルを太い末梢動脈に挿入し,適切な冠動脈の入口部まで進める。X線透視または血管内超音波検査のガイド下にバルーンカテーテルを狭窄部に配置した後,バルーンを膨らませてアテローム性プラークを破綻させ,動脈を拡張する。手技の完了後には血管造影を再度施行して,あらゆる変化を記録する。必要に応じて2つまたは3つの血管内でこの手技を行うのが一般的である。

ステント

ステントは以下に対して最も有用である:

  • PTCAによる治療歴のない太い固有冠動脈に生じた短い病変

  • 伏在静脈グラフトに生じた局所病変

  • PTCA中に生じた急性閉塞の治療

ステントは現在,急性心筋梗塞,入口部または左主幹部病変,慢性の完全閉塞,および分岐部病変に対して頻用されている。

ステントの種類

ベアメタルステント(BMS)はニッケル-チタン合金から製造される。薬剤溶出性ステント(DES)は,再狭窄のリスクを低減するため,新生内膜の増殖を制限する薬剤(例,第1世代:シロリムス,パクリタキセル,第2世代:エベロリムス,ゾタロリムス[zotarolimus])を金属部分に結合させたものである。放射性ステントの留置または放射性核種を用いたステント留置前の冠動脈内照射(近接照射療法)は,再狭窄の減少効果としての有効性が証明されていない。現在では,生体内分解性ステントが開発されているが,現時点では臨床試験での使用に限られている。

抗凝固療法と補助療法

血管形成術の施行中と施行後には,バルーン拡張部での血栓症の発生率を低下させるため,様々な抗凝固療法が用いられる。不安定な非ST上昇型心筋梗塞の患者に対しては,チエノピリジン系薬剤(クロピドグレル,プラスグレル,チカグレロル)および糖タンパク質IIb/IIIa阻害薬(アブシキシマブ,エプチフィバチド[eptifibatide],チロフィバン[tirofiban])が標準治療となっている。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)の施行後は,ステントの内皮化が起きるまで少なくとも6~12カ月間にわたり,ステント内血栓症のリスクを低減するためにチエノピリジン系薬剤を(しばしばアスピリンと併用して)投与する。カルシウム拮抗薬と硝酸薬でも冠攣縮のリスクが低下する可能性がある。

禁忌

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)に対する相対的禁忌としては以下のものがある:

  • 心臓外科のサポートがない

  • 左冠動脈主幹部の重症狭窄で,固有冠動脈または過去のバイパスグラフトから左前下行枝に向かう側副血行路がない

  • 凝固障害

  • 凝固亢進状態

  • 限局性狭窄を伴わないびまん性病変

  • 心筋全体に血流を供給している単一血管の病変

  • 冠動脈の完全閉塞

  • 50%未満の狭窄

PCIについては,心臓外科のサポートがないことがときに絶対的禁忌とみなされるが,STEMIにおいて血行再建術が緊急に必要とされる場合には,たとえ外科医のバックアップがないとしても,承認を受けたカテーテル室の経験豊富な術者がPCIを施行するべきと多くの専門家が主張している。

左冠動脈主幹部に高度狭窄があり,固有冠動脈または過去のバイパスグラフトからの側副血行路がない患者では,一般的にバイパス術が好まれるが,選択された患者ではこの状況でPCIが施行される例が増えてきている。

合併症

バルーン血管形成術およびステント留置術の主な合併症を以下に示す:

PCI施行後の死亡率は,患者因子と技術的因子に応じて変動する。医師がPCI施行後の死亡リスクを判断するための手段として死亡率のスコア判定システムが開発されており,可能な治療選択肢(PCIか内科的管理のみか)について患者にカウンセリングを行う際に役立つ可能性がある。

血栓症

ステント血栓症は完全閉塞につながるが,以下のいずれの時期にも発生する:

  • 急性期(施行中または終了直後)

  • 亜急性期(術後30日以内)

  • 遠隔期(術後30日以降)

ステント血栓症は,術中のステントの不十分な拡張や不適切な設置,2剤抗血小板療法の中止(例,アドヒアランス不良,非心臓手術の必要性),またはこれらの両方が原因となって発生する。まれに,ステントによって冠動脈内の血栓が(急性心筋梗塞でみられるように)破壊されることがあり,崩れた血栓により末梢部で塞栓が起き,心筋梗塞が生じる場合もある。予防対策(例,バルーンを用いて動脈内の血流を一時的に遮断した後,塞栓子を吸引するとともに,塞栓子を捕捉するためにPCI施行部位の末梢で小さなフィルターを展開する)を講じることで,過去の伏在静脈グラフトで行ったPCIと同様にその成績が改善される可能性があるが,一般的には行われていない。

バルーン血管形成術のみであれば,急性血栓症のリスクは約5~10%である。

ステントの使用により,PCI後の緊急冠動脈バイパス術の必要性はほぼ完全になくなり,急性および亜急性血栓症の発症率は1%未満である。しかしながら,薬剤溶出性ステントを使用すると,遅発性のステント血栓症のリスクが3年間にわたり1年当たり約0.6%の頻度に上昇する。

再狭窄

再狭窄は一般的にはコラーゲン沈着に起因することから,手技の終了後から数週間が経過して初めて発生し,血管の部分閉塞や頻度は低いが完全閉塞を引き起こす可能性がある。

バルーン血管形成術のみでは,亜急性再狭窄のリスクは約5%,再狭窄全体の発生率は約30~45%である。

またステントを使用した場合,亜急性の再狭窄の発生率は1%未満である。ベアメタルステントでは,遠隔期再狭窄のリスクが20~30%である。薬剤溶出性ステントを使用すれば,遠隔期再狭窄のリスクは約5~10%まで低下する。

動脈解離

動脈解離は通常,冠動脈内の多様な造影パターンの異常として直ちに検出される。別のステントを挿入することで,解離した部分を再開通できる場合が多い。

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