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熱帯性スプルー

執筆者:

Atenodoro R. Ruiz, Jr.

, MD, The Medical City, Pasig City, Philippines

最終査読/改訂年月 2018年 2月
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熱帯性スプルーは,吸収不良と巨赤芽球性貧血を特徴とするまれな後天性疾患であり,その病因はおそらく感染と考えられている。診断は臨床所見と小腸生検による。治療はテトラサイクリンと葉酸の6カ月間の投与である。

病因

熱帯性スプルーは,主にカリブ海,南インド,および東南アジアで発生し,原住民と旅行者の両方が罹患する。熱帯性スプルーが風土病の地域での滞在期間が1カ月未満の旅行者ではまれである。病因は不明であるが,大腸菌群の毒素産生株による小腸の慢性感染に起因すると考えられる。葉酸の吸収不良とビタミンB12の欠乏によって巨赤芽球性貧血が起こる。熱帯性スプルーは米国ではほとんど報告されておらず,世界的にもここ数十年で発生率は減少しつつあるが,これはおそらく,急性の 旅行者下痢症 旅行者下痢症 旅行者下痢症は通常,現地の水に固有の細菌によって引き起こされる胃腸炎である。症状としては嘔吐や下痢などがある。診断は主に臨床的に行う。治療はシプロフロキサシンまたはアジスロマイシン,ロペラミド,および補液による。 ( 胃腸炎および米国疾病予防管理センター[Center for Disease Control and Prevention:CDC]の旅行者下痢症に関する健康情報も参照のこと。)... さらに読む に対する抗菌薬の使用増加に起因している。

症状と徴候

患者は一般的に,発熱および倦怠感を伴う急性下痢症を呈する。続いて,慢性期の軽度下痢,悪心,食欲不振,腹部痙攣,疲労が起こる。脂肪便(悪臭を放つ蒼白で体積の大きい脂ぎった便)がよくみられる。最終的には数カ月から数年後に,栄養欠乏症,特に 葉酸 葉酸欠乏症 葉酸欠乏症はよくみられる。不十分な摂取,吸収不良,または様々な薬物の使用の結果生じることがある。欠乏症は巨赤芽球性貧血(ビタミンB12欠乏症によるものと鑑別できない)を引き起こす。母体に葉酸欠乏症があると,神経管の先天異常のリスクが高まる。確定診断には臨床検査が必要である。好中球の過分葉の測定は,高感度であり容易に利用できる。通常は葉酸の経口投与による治療が奏効する。 米国およびカナダでは現在,栄養強化穀類食品に葉酸が添加されている。葉... さらに読む および ビタミンB12 ビタミンB12欠乏症 食事によるビタミンB12欠乏症は通常,不十分な吸収に起因するが,ビタミンサプリメントを摂らない完全菜食主義者に欠乏症が生じることがある。欠乏症により,巨赤芽球性貧血,脊髄および脳の白質への障害,ならびに末梢神経障害が起こる。診断は通常,血清ビタミンB12値の測定によって行う。シリング試験が病因の特定に役立つ。治療はビタミンB12の経口または静脈内投与による。葉酸塩(葉酸)は,貧血を軽減することがあるが,神経脱落症状を進行させることがある... さらに読む の欠乏が起こる。さらに体重減少,舌炎,口内炎,および末梢浮腫もみられることがある。

診断

  • 小腸生検と内視鏡検査

  • 吸収不良がもたらす結果をスクリーニングするための血液検査

熱帯性スプルーが風土病である地域の住民またはそれらの地域に滞在したことがある個人で,巨赤芽球性貧血および吸収不良の症状が認められる場合は,熱帯性スプルーが疑われる。確定診断検査は,小腸生検と上部消化管内視鏡検査である。特徴的な組織学的変化( Professional.see table 特定の吸収不良疾患における小腸粘膜の組織学的所見 特定の吸収不良疾患における小腸粘膜の組織学的所見 特定の吸収不良疾患における小腸粘膜の組織学的所見 )は,通常,全小腸に起こり,上皮および粘膜固有層の慢性炎症細胞浸潤を伴う絨毛鈍化が認められる。 セリアック病 セリアック病 セリアック病は,遺伝的感受性を有する者に免疫を介して発生する疾患で,グルテン不耐症によって引き起こされ,粘膜炎症および絨毛萎縮が生じ,その結果,吸収不良を来す。症状としては通常,下痢や腹部不快感などがみられる。診断は小腸生検により行い,生検では特徴的であるが非特異的な病理的変化である絨毛萎縮が示され,この変化は厳格なグルテン除去食で消失する。 セリアック病は 吸収不良を引き起こす疾患である。... さらに読む セリアック病 寄生虫感染症 寄生虫感染症へのアプローチ ヒトの寄生虫は,ヒトの体表または体内に生息して,その個体(宿主)から栄養を摂取する微生物である。寄生虫には以下の3種類がある: 単細胞生物(原虫,微胞子虫) 多細胞生物である蠕虫 ダニやシラミなどの外部寄生虫 原虫および蠕虫による寄生虫感染症は,世界的に疾患および死亡の原因としてかなりの割合を占めている。寄生虫感染症は中南米,アフリカ,お... さらに読む を除外しなければならない。セリアック病の場合とは異なり,熱帯性スプルーの患者では,抗組織トランスグルタミナーゼ抗体(tTG)と抗筋内膜抗体(EMA)は陰性である。

追加の臨床検査(例,血算アルブミン,カルシウム,プロトロンビン時間,鉄,葉酸,ビタミンB12)は,栄養状態の評価に役立つ。バリウムによる経口小腸造影では,バリウムの分節化,内腔の拡張,粘膜ヒダの肥厚を認めることがある。D-キシロースの吸収異常が90%以上の症例で認められる。しかしながら,これらの検査は特異的でなく,熱帯性スプルーの診断に必須というわけでもない。

治療

  • 長期のテトラサイクリン

熱帯性スプルーの治療として,テトラサイクリンを250mg,経口,1日4回で1または2カ月間投与した後,1日2回で重症度と治療効果に応じて最長6カ月間投与する。テトラサイクリンの代わりに,ドキシサイクリンを100mg,経口,1日2回で投与することもできる。最初の1カ月間は,葉酸を5~10mg,経口,1日1回で投与するとともに,ビタミンB12を1mg,筋注,週1回で数週間投与するべきである。巨赤芽球性貧血は速やかに軽快し,劇的な臨床反応が認められる。他の栄養素を必要に応じて補給する。再発は20%で起こる。4週間の治療後に反応が認められない場合は,別の疾患が示唆される。

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