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COVID-19厳選ニュース

COVID-19情報ポータルページ
  

皆さまがCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に関する最新情報を入手できるように、MSDマニュアルでは特に重要と考えられるニュースを厳選して紹介しています。

News items compiled by Fred R. Himmelstein MD FACEP.


 2021年3月9日

ニューヨークで変異ウイルスが急発生

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こす新たな変異ウイルス「B.1.526」型がニューヨークで確認されています。この変異ウイルスは急速に現れ、すでに米国北東部では広く拡大している可能性があります。コロンビア大学の研究チームによると、この変異ウイルスの検出率は12月下旬から2月半ばにかけて着実に上昇していき、過去2週間では12.3%増加しています。B.1.526型の変異ウイルスは、現在あるモノクローナル抗体療法やワクチンの有効性を弱める可能性がある遺伝子変異を複数もっています。なかでも重要なものとして、南アフリカやブラジルで発生した厄介な変異ウイルスにみられるものと同じ、E484k変異があります。この新たな変異ウイルスについて調べるために、コロンビア大学の研究チームは、SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)に感染した患者から鼻咽頭検体を採取して、E484k変異をもつウイルスを特定できるように設計されたPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査を行いました。この新たな変異ウイルスに感染した患者は、米国首都圏のさまざまな地域で認められました。このデータは、2021年2月25日にMedRxivのサーバー上に査読前の原稿として公開されました。この変異ウイルスの最近の急増は、SARSコロナウイルス2の新規変異株を追跡してその拡大を抑え込むために全国的な共同調査プログラムを実施する必要があることを浮き彫りにしていると、研究チームは結論付けています。

リンク:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2021.02.23.21252259v1.full-text

 


 2021年3月3日

ワクチンの「有効性」とは何を意味するのか?

米国食品医薬品局(FDA)が現時点で承認しているワクチンは、いずれも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対して強い予防効果をもたらしますが、各ワクチンの有効性の数値はさまざまです。ニューヨークタイムズ紙は3月3日付の記事で、ワクチンの「有効性」が実際にどのようなことを意味するのか、どのようにして決まるのか、そして有効性の数値に差があるように見えることがある理由について、臨床試験が行われた場所やその地域でどの変異ウイルスが流行していたかを絡めつつ、詳しく考察しています。

リンク:https://www.nytimes.com/interactive/2021/03/03/science/vaccine-efficacy-coronavirus.html?smid=em-share


 2021年2月22日

米国はいつになれば集団免疫を達成できるのか、その難しさについて

2月20日付のニューヨークタイムズ紙の記事において、米国で集団免疫が達成されるまでの道筋が分かりやすく図説されています。この記事では、集団免疫の達成にかかる時間は、未知のものを含むいくつかの要因に左右される可能性があると指摘しています。具体的には以下のようなものがあります。

  • 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査を受けたことも発症したこともない人を含めて、これまでにCOVID-19に感染した人はどれくらいいるのか? 最近の感染者数の急増により、これはかなり大きな数になる可能性があります。
  • COVID-19に感染した後に免疫が持続する期間はどれくらいか?
  • ワクチンの接種はどれくらい迅速に進むか?
  • 新しい変異ウイルスが急速に拡大しているが、このことが集団免疫達成の目標にどのような影響を及ぼすか?
  • 人々がマスク着用やソーシャルディスタンシング(人との間に距離を保つこと)の対策を緩めたらどうなるか?マスク着用やソーシャルディスタンシングなどの対策は、ウイルスの感染拡大を遅らせる効果があると証明されています。しかし、ワクチン接種を受けた人が増えてくると、こうした予防対策は緩んでいく傾向があります。

リンク:https://www.nytimes.com/interactive/2021/02/20/us/us-herd-immunity-covid.html?smid=em-share


 2021年2月19日

空気中の二酸化炭素を測定してCOVID-19ウイルスを吸い込むリスクを評価する

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、感染者の息に含まれるしぶき(飛沫)を介して感染が拡大する病気です。せきをしたり、大声で話したり、歌ったりすると、空気中の飛沫の量が増えます。バーやレストラン、スポーツジムなどの閉鎖された空間では、空気中の二酸化炭素(CO2)濃度を測定することで換気を評価することができます。CO2は呼吸するたびに吐き出されます。換気が悪いと、CO2の濃度が高くなります。

携帯型のCO2測定器を使って換気を評価した報告もあります。2021年2月10日付のワシントンポスト紙の記事では、このアイデアについて論じられ、オーブンでの調理といった人以外のCO2発生源など、検討に入れるべき要素が数多くあることが指摘されています。

リンク:The Washington Post


 2021年2月17日

隔離が必要になる条件とは?

米国疾病予防対策センター(CDC)は2021年2月11日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症者または陽性判定者と濃厚接触した人に対する隔離措置について、その必要性を判断するためのガイドラインを更新しました。更新されたガイドラインでは、濃厚接触者が過去3カ月以内にワクチン接種を完了していて、かつ症状が何もみられない場合、濃厚接触後の隔離は必要ないとされています。過去3カ月以内にCOVID-19の検査で陽性と判定され、その後回復した人には、新たな症状が現れない限り、隔離や再検査は必要ありません。COVID-19の最初の発症から3カ月以内に再び症状が現れた人については、その症状の原因が他に特定されていない場合、再検査が必要である可能性があります。上記以外のケースでは、COVID-19の患者と濃厚接触した人には隔離が必要になります。濃厚接触とは、COVID-19の患者と約2メートル以内の距離で合計15分以上一緒にいた場合、COVID-19の発症者の世話を自宅で行った場合、COVID-19の感染者と直接の身体滴接触(ハグやキス)をもった場合、感染者とコップや食器類を共用した場合、または感染者のくしゃみやせきを浴びた場合と定義されています。CDCのウェブサイトでは、隔離期間を短縮する選択肢についても考察されています。

リンク: https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/if-you-are-sick/quarantine.html


 2021年2月16日

SARSコロナウイルス2の感染拡大を最も促進する要因はウイルス量

SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)の感染拡大を抑える上でのヒドロキシクロロキンの有効性を評価するべく当初計画されたスペインの研究について、そこで得られたデータの解析により、初発患者のウイルス量が106コピー/mL未満であった場合の二次発病率が12%であったのに対し、初発患者のウイルス量が1010コピー/mL以上であった場合は24%であったことが示されました。2021年2月2日にランセット誌で公表されたこの研究により、ウイルス量が感染拡大を最も促進する要因であることが明らかになりました。このほかに感染拡大のリスク増大と関連が認められた要因は、家庭内での接触と、接触者が高齢であることでした。接触者のマスク着用の有無や初発患者の呼吸器症状(例、せき、息切れ[呼吸困難]、鼻水[鼻炎])は、接触者の感染を予想させる要因ではありませんでした。さらに、無症状の接触者から採取された検体のウイルス量が多いほど、発症のリスクが高いという関係が認められ、また、そのような接触者ではウイルス量が少ない接触者と比べて潜伏期間が短かったことが分かりました。

リンク:https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(20)30985-3/fulltext


 2021年2月9日

コロナウイルスの変異株と変異

ニューヨークタイムズ紙は、コロナウイルスがどのように進化するかについて、わかりやすく説明した記事を掲載しています。ウイルスが増殖するにつれて、ウイルスの遺伝子コードが複製される過程で生じるエラーとして、新たな変異が起きます。それらの変異によって新たな変異ウイルス(変異株)が生じ、それが増殖して拡散していきます。この記事では、現時点で判明している重要な変異株について詳しくまとめられています。

リンク:https://www.nytimes.com/interactive/2021/health/coronavirus-variant-tracker.html?smid=em-share


 2021年2月4日

抗体陽性患者のSARSコロナウイルス2への感染

SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)に再感染するリスクを前向きに評価したこの研究は、2021年1月29日にMedRxivのサーバー上でプレプリント(査読前の原稿)として公表されました。3,249人の海兵隊候補生の集団が6週間にわたって追跡されました。2週間の隔離・検査期間の後、週1回の頻度で計3回行われたSARSコロナウイルス2のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査で3,076人が陰性と判定されました。このうち、225人はこのウイルスに対する2回の抗体検査で血清反応陽性と判定され、残りは血清反応陰性でした。対象者はさらに6週間にわたって臨床的に追跡され、複数回のPCR検査を受けました。この研究では、血清反応陽性の参加者は189人中19人(10.1%)が少なくとも1回のPCR検査で陽性になった一方で、血清反応陰性の参加者は2,246人中1,079人(48%)がPCR検査で陽性になりました。以前に血清反応陰性と判定された参加者の感染リスクが高かったのは、密な生活条件や、個人同士が接触する必要、基礎訓練中の厳しい課題が理由である可能性が高いと筆者は指摘しています。このように、当初の感染で抗体ができた人は、大部分が感染から守られますが、それ以降も感染しないという保証にはなりません。

リンク:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.10.15.20209817v1


 2021年2月3日

ロシアのCOVID-19ワクチンは確認症例数を91.6%減少させるとの有効性報告

ロシア製ワクチン「Gam-COVID-Vac」(スプートニクVと呼ばれています)の第3相試験の暫定結果が、2021年2月2日にランセット誌で公開されました。この試験は、ロシアで実施されたランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験です。2020年秋に、2万1,977人の成人がワクチン群(1万6,501人)とプラセボ群(5,476人)にランダムに振り分けられました。被験者は21日の間隔を空けて2回のワクチン接種を受けました。この試験の主要評価項目は、最初の接種から21日後(2回目の接種日)のPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査でCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)と確認された被験者の割合とされました。解析の結果、このワクチンの有効性が91.6%であることが示されました。認められた有効性は、年齢層と性別で分けた集団のすべてで87%を超えていました。なかでも、60歳以上の年齢層でのワクチンの有効性は91.8%でした。1回目のワクチン接種から21日後以降に確認された中等症または重症のCOVID-19は、ワクチン群ではゼロで、対するプラセボ群では20例ありました。したがって、中等症または重症のCOVID-19に対するワクチンの有効性は100%でした。認められた有害事象はほとんどが軽度のものでした。重篤な有害事象でワクチンに関連すると判定されたものはありませんでした。今回の中間解析により、Gam-COVID-Vacワクチンがロシアの18歳以上の被験者に対して極めて有効で、効果のある免疫反応を生み出すことができ、忍容性が良好であったことが示されたと著者は結論付けています。

リンク:https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(21)00234-8/fulltext


 2021年1月29日

新たな変異ウイルスに対する戦略をモデルナが発表

2021年1月26日、英国の医学雑誌British Medical Journalのオンライン版は、米製薬会社モデルナがCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の新しい変異ウイルスに対抗するべく新たなアプローチを2つ開発していることを同社が発表したと伝えました。南アフリカの変異ウイルスには同社のワクチンで得られる中和抗体の量が従来のウイルスと比べて6分の1に減少することが研究によって示され、免疫効果が弱まる可能性が懸念されています。現在のワクチンは南アフリカと英国どちらの変異ウイルスにも効果を示しましたが、モデルナ社は「念には念を入れて」この懸念に対処する2つのアプローチを検討していました。1つは、現在のワクチンで3回目の接種を追加することにより、新たな変異ウイルスに対する中和抗体がさらに増えるかどうかを調べるというアプローチです。もう1つは、南アフリカの変異ウイルスに対して同社が特別に開発したmRNAワクチンの候補を追加接種するというものです。モデルナ社は、変異ウイルスのタンパク質に合わせて改変を加えたそのワクチンによって、南アフリカの変異ウイルスに対する免疫学的な効果が高まるかどうかを調べる第1相臨床試験を米国で開始していると発表しました。これらの新たなアプローチを検討する臨床試験では、数千人の被験者が2つのグループに分けられます。一方のグループでは、従来の2回接種のワクチンで3回目の追加接種を行い、もう一方のグループでは、追加免疫用の新しいワクチン「mRNA-1273.351」を接種します。この新しいアプローチは、秋までに準備が整う可能性があり、新たなワクチンを開発する場合に必要になる第1相試験から第3相試験までを実施する長いプロセスと比べて、より迅速に米食品医薬品局(FDA)の認可が下される可能性があります。

リンク:https://www.bmj.com/content/372/bmj.n232


 2021年1月27日

英国の変異ウイルス、致死性が従来より高い可能性

英国の緊急時科学助言グループ(Scientific Advisory Group for Emergencies:SAGE)は、緊急時に政府の意思決定者に対して科学的根拠に基づく助言を与える団体で、現在はパンデミック(世界的大流行)に対処するべく頻繁に会合を重ねています。1月21日の会合では、COVID-19のB.1.1.7型変異ウイルスについて協議されました。この変異ウイルスは、2020年12月に英国で最初に確認されたもので、より感染しやすいとみられ、現在では早くも英国の大部分で最も多くみられる変異株となっています。新たなデータから、この新たな変異株は致死性が30~40%高いことが示唆されています。すべての年齢層で致死率の上昇が認められました。2021年1月21日の議事録には、この解析に採用された研究の内容とデータが記録されています。暫定的なデータではありますが、他の変異株と比べて実際に死亡リスクが高い可能性があると同グループは結論づけています。

リンク:https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/955239/NERVTAG_paper_on_variant_of_concern__VOC__B.1.1.7.pdf

 


 2020年12月18日

イタリアの教育機関でみられた生徒・職員間でのCOVID-19の感染伝播

イタリア北部にあるレッジョ・エミリア県において、学校が再開された2020年9月1日から10月15日までの期間中に36校の計41クラスの生徒・職員間で発生したCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染例を対象として、二次発症率(secondary attack rate)を算出するために詳細な疫学調査が実施されました。約1,000人の生徒と200人の職員の間で、48例の初発症例(生徒43人、職員5人)が認められました。この疫学調査の期間中、初発症例の接触者1,200人に対して調査が行われ、38例(3.8%)の二次感染例が特定されましたが、それらはすべて生徒からの感染でした。しかし、二次発症率には年齢層間で大きな差がみられ、保育施設と小学校での二次発症率が0.38%だったのに対し、中学校と高校での二次発症率は6.46%でした。保育施設と小学校で二次発症率が低かったことは、それまでに発表されていた他の研究結果と一致していました。ところが、中学校での二次感染率は、過去の研究の(全てではありませんが)多くで報告されていた値と比べて大幅に高い水準となりました。

リンク:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC7730487/


 2020年12月11日

ファイザーとビオンテックのワクチンの効果について

米食品医薬品局(FDA)ワクチン諮問委員会の専門家は、ファイザー社とビオンテック社が製造・販売するCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)に対するワクチンの緊急使用許可を与えるよう、FDAに勧告しました。ニューヨークタイムズは、この新しいワクチンの背景にあるテクノロジーに関する説明を公開しました。

ワクチンについての発表へのリンク:https://www.nytimes.com/2020/12/10/health/covid-vaccine-pfizer-fda.html

ワクチンの説明へのリンク: https://www.nytimes.com/interactive/2020/health/pfizer-biontech-covid-19-vaccine.html


 2020年12月9日

ワクチン接種者もマスクの着用を続ける必要がある理由

ニューヨークタイムズ紙は12月8日付の記事で、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の原因ウイルスのような呼吸器系ウイルスに対してワクチンがどのように働くかについて概要を示しました。新しいワクチンにより、COVID-19の重症化はおそらく予防できるでしょう。周囲の人にウイルスを拡散させることまで防げるかどうかは、まだ誰にも分かりませんが、そうした情報もいずれ得られるでしょう。

リンク:https://www.nytimes.com/2020/12/08/health/covid-vaccine-mask.html?smid=em-share


 2020年12月8日

COVID-19ワクチン、第1段階では医療従事者と長期療養施設入所者が対象に

米予防接種諮問委員会(ACIP)によるCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンの分配に関する暫定勧告が12月3日、米疾病予防管理センター(CDC)の週次報告書Morbidity and Mortality Weekly Reportで公開されました。この報告書では、全米COVID-19ワクチン接種プログラムの第1段階のガイダンスについて論じられています。同委員会は、 第1段階では医療従事者と長期療養施設の入所者にワクチン接種を勧めるよう勧告しています。同報告書では、たとえ1つないし複数のワクチン候補が緊急使用許可を受けたとしても、全米ワクチン接種プログラムの開始後数カ月の間は、ワクチンに対する需要が供給を上回ると予想されるとしています。医療施設全般に加えて、特に長期療養施設が、SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)への感染や感染拡大が起きるリスクが高い場所となる可能性があると委員会は指摘しています。COVID-19や他の病気の患者を支える医療体制を維持するためには、医療従事者を保護することが重要だと委員会は考えています。長期療養施設の入所者は、年齢や基礎疾患がある割合が高いこと、集団生活を送っていることなどから、COVID-19に感染して重い病気になるリスクが高いのです。このことは、11月15日の報告書で、高度介護施設の入所者の間でCOVID-19の感染がおよそ50万例、それに伴う死亡が7万例報告されたことで浮き彫りにされました。 

このCOVID-19作業部会は、ワクチンと倫理学の専門家で構成されています。作業部会では、ワクチン候補やCOVID-19の疫学調査とモデル化に関するデータや、ワクチン配分に関する公表文献や外部専門家の報告についても検証するために、25回以上の会合がもたれました。さらに、COVID-19のワクチンを議題とするACIPの公開ミーティングが7回開催されました。同委員会は、便益の最大化、害の最小化、公正さの促進、医療上の不平等の低減を原則とする指針に沿って運営されています。今回の暫定勧告は、第3相臨床試験で新たに得られる安全性と有効性に関するデータや米食品医薬品局(FDA)による緊急使用許可の条件に基づいて更新される可能性があります。

リンク:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6949e1.htm


 2020年12月3日

 COVID-19の高齢患者ではせん妄が主症状となることが多い

せん妄は、注意力、意識、認知機能の障害を特徴とする混乱状態が突然みられる症状です。せん妄は重病の高齢者によくみられる症状の一つとして知られていて、長期入院や死亡などの好ましくない結果につながることがあります。11月19日にJAMAネットワークオンラインのウェブサイトで公表された研究では、米国内7つの医療機関の救急外来を受診して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と診断された65歳以上の患者計847人が対象とされました。注目すべきことに、847人のうち28%でせん妄が認められ、それらの患者の16%では、せん妄が主症状(受診の理由になった症状)でした。全体で見ると、認められたすべての症状・徴候の中で、せん妄は6番目に多いという結果でした。さらに、せん妄が認められた患者の37%では、せきや発熱などのCOVID-19に典型的な他の症状がみられませんでした。受診時にせん妄がみられた患者では、集中治療室(ICU)への収容や死亡など、病院で好ましくない経過をたどる可能性が高いという傾向が認められました。せん妄が主症状になることにつながる要因として、年齢が75歳以上であることや、居住型介護施設や高度看護施設(skilled nursing facility)で生活していること、向精神薬の使用歴、視覚障害や聴覚障害、脳卒中、パーキンソン病などが特定されました。この研究により、高齢患者におけるCOVID-19の主症状としてのせん妄の重要性が強調されました。

リンク:https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2773106


 2020年11月30日

 コロナのつま先(COVID toes):ウイルスによって誘発される免疫過剰の症状

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)において、かゆみや痛みを伴う赤い斑点、腫れ、水疱(すいほう)が足の指(つま先)のほか、まれにかかとや手の指にも現れる症状が報告されています。これはしもやけ(凍瘡[とうそう])の症状ですが、今回のパンデミック下で「コロナのつま先(COVID toes)」と呼ばれるようになりました。JAMA Dermatologyの報告では、2週間弱の対象期間中にフランスのニースにある新型コロナウイルス感染症診療施設をしもやけに似た病変を理由に受診した40人の患者について論じられました。ニースは温暖な地域にありますので、このような症状がみられるのは、とても異常なことでした。しもやけに似た病変が報告された地域は、現地におけるSARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)の地域的な感染拡大と一致していました。それらの患者の大半がほかに医学的な問題のない若年者でした。検討の結果、それらの患者全員に過剰な免疫反応の徴候がみられたことが明らかにされました。注目すべきは、全員がCOVID-19のPCR検査で陰性と判定され、このウイルスに対する抗体をもっていた人の割合もおよそ30%に過ぎなかったという点です。24人(60%)がCOVID-19の可能性がある人と接触したと報告し、11人(27.5%)がしもやけに似た病変が現れる前の6週間以内に「COVID-19の可能性あり」の定義を満たしていました。

 

この報告では、上記のような皮膚病変とSARSコロナウイルス2の感染との間に疑われる関係について検討されました。しもやけに似た病変がみられた患者では、中等症または重症のCOVID-19患者と比べて、免疫反応が有意に強いことが分かりました。研究チームは、しもやけに似た病変がみられた患者では抗体による免疫ができる前にウイルスを排除できたと考えられることから、SARSコロナウイルス2に対する抗体反応の陽性率が比較的低かったことも、過剰な免疫反応によって説明できるかもしれないと考えています。記事では、このような病変はウイルスによって誘発される過剰な免疫反応の症状と結論づけ、SARSコロナウイルス2への感染により引き起こされた可能性を示唆していますが、COVID-19としもやけに似た病変の因果関係について決定的な証拠は示されていないと述べています。

リンク:https://jamanetwork.com/journals/jamadermatology/fullarticle/2773121

 


 2020年11月24日

 FDA、COVID-19の家庭用検査キットに緊急使用許可

ルチア・ヘルスは、米食品医薬品局(FDA)からCOVID-19向け自己診断キットに対する緊急使用許可を受けました。この一体型検査キットは、COVID-19を引き起こすSARSコロナウイルス2の検出を目的としています。医師がCOVID-19の感染を疑った場合に、14歳以上の個人を対象として在宅での処方使用が認可されました。検査キットは医師の診察室や病院、緊急治療センター、救急処置室などでも利用できます。この検査キットでは、他の高感度PCR検査と比べて、94.1%の確度で感染を検出することができました。無症候性の人を対象とした評価は行われていません。

このキットは次のように使います。所定の小さい容器を電池式の検査装置に設置して、(他のCOVID-19の鼻粘膜検査と同様に)鼻の粘膜を綿棒で拭います。その綿棒を容器に入れてかき混ぜ、容器に蓋をしてカチッと音が鳴るまで容器を押し下げると、「準備完了(Ready)」の明かりが点滅し始めます。検査が終了すると、約30分で陽性か陰性のランプがついて結果が分かります。

報道発表へのリンク:https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-authorizes-first-covid-19-test-self-testing-home

リンク:https://www.fda.gov/media/143810/download


 2020年11月23日

 COVID-19ワクチンはパンデミック対策に重要だが、その成否はワクチンがいつどのように届けられるか次第

 新たな研究により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するさまざまなワクチンについて、人々の感染に対する感受性や入院者数、死亡者数の低減にどの程度の効果があるかが調べられました。ワクチンの臨床試験では高い有効性が報告されていますが、臨床試験のような綿密に管理された環境ではない条件でワクチンを使用する場合、その有効性は臨床試験の場合より低下するものです。この研究により、ワクチンの成否はワクチン自体の効果だけでなく、どれだけ効果的に製造して配布するかにかかっていることが明らかにされました。成否に影響を及ぼすその他の要因としては、人々がどの程度ワクチンを接種しようとするか(あるいは追加接種を受けようとするか)や、人々が手洗いやマスクの着用、ソーシャルディスタンンシングといった通常の公衆衛生対策をどれくらい続けられるかなどがあります。

リンク:https://www.healthaffairs.org/doi/10.1377/hlthaff.2020.02054


 2020年11月10日

 ある遺伝子変異が新型コロナウイルスの免疫回避を促している可能性

グラスゴー大学ウイルス研究センターの研究チームから、N439Kと呼ばれる遺伝子変異によって病原性を維持しながら抗体による免疫を回避できるようになった変異型のSARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)について、報告がなされました。

N439K変異スコットランドで最初に確認された後、米国を含む12カ国で出現し、現在では世界で2番目に多く観察される型になっています。

コロナウイルスのスパイクタンパク質には受容体結合ドメインと呼ばれる部分があり、ウイルスはこの部分を使って細胞内に侵入します。 N439K変異のために受容体結合ドメインが変化したウイルスは、この変異がないウイルスと比べて、感染症発症時の臨床像は類似している一方、体内でのウイルス量がやや多くなることが認められています。また、N439K変異をもつウイルスはヒトの細胞に結合しやすく、わずかに速く増殖します。このN439K変異をもつSARSコロナウイルス2が世界中で流行すると、これらの特徴が問題を引き起こす可能性があります。

リンク: https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.11.04.355842v1.full.pdf

 


 2020年11月2日

 実施中の臨床試験でCOVID-19に対するモノクローナル抗体に有望な結果

リジェネロン社は10月28日の報道発表で、同社のモノクローナル抗体カクテル「REGN-COV2」(2つのモノクローナル抗体の組合せ)を外来患者を対象として評価している実施中の臨床試験に関する結果を更新しました。今回の更新では、先の報道発表において当初報告された275人の患者に、さらに524人が追加されました。この試験はランダム化二重盲検試験で、通常の標準治療に追加するときのREGN-COV2とプラセボ(偽薬)の効果を比較して評価するものです。リジェネロン社の発表によると、同社のモノクローナル抗体カクテルについて実施中の第2相/第3相試験で良好な結果が示され、主要評価項目と重要な副次評価項目について有意な差が認められました。注目すべきことに、REGN-COV2は、軽症から中等症のCOVID-19患者のコホート(集団)において、ウイルス量および医療訪問回数の大幅な減少をもたらしました。リジェネロン社はこれらの結果を米食品医薬品局(FDA)と共有し、FDAは好ましくない結果につながるリスクが高い軽症から中等症のCOVID-19成人患者に対する治療として、REGN-COV2の低用量投与について緊急使用許可を与えることを検討しています。

報道発表へのリンク:https://newsroom.regeneron.com/news-releases/news-release-details/regenerons-covid-19-outpatient-trial-prospectively-demonstrates

 


 2020年10月27日

 COVID-19に対するワクチンの緊急使用許可についての考察

2020年10月16日にNew England Journal of Medicine誌に掲載された論説において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するワクチンを緊急使用許可に基づいて使用可能にすることに関連したいくつかの問題が論じられました。その中で筆者たちは、深刻な公衆衛生上の緊急事態への対応としてワクチンを開発することの緊急性と、安全性や有効性について十分なデータを得ておくことの必要性との間で、バランスをとる必要があると指摘しています。著者たちは、緊急使用許可を裏付ける十分なデータを集めるには、臨床試験の参加者をワクチン接種後2カ月にわたりモニタリングすべきという自らの提言の背景にある理由について考察しています。大半の有害事象はワクチンの受理から6週間以内に開始されたワクチン接種に関連していましたが、安全性と有効性を十分に評価するには、より長期間の追跡が必要であると指摘しています。この最低限の追跡期間を削減するならば,緊急使用許可に基づくワクチンの使用許可判断に対する科学的信頼性や一般市民の信頼を損ねることになると警告しています。

リンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMp2031373


 2020年10月20日

 新型コロナウイルスに感染した妊婦から新生児にウイルスが伝播する可能性は低い

10月12日にJAMA Pediatrics誌のオンライン版で公表された研究により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査で陽性と判定された母親を出生後の新生児から引き離すのは妥当な措置ではないかもしれず、直接授乳しても安全とみられることが明らかになりました。2020年の3月13日から4月24日にかけて、コロンビア大学アービング医療センターと提携する2つの大規模病院において、周産期にSARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)に感染した母親100人から出生した101人の新生児を対象として後ろ向きコホート研究が実施された結果、新生児の感染例は全体の2%(95%信頼区間:0.2%~7.0%、2人)で、この乳児コホートにおいて臨床的な感染の証拠は一切認められませんでした。さらに、新たに設置されたCOVID-19新生児フォローアップ外来で55人の乳児に対して出生後2週間にわたるフォローアップが行われましたが、全員が健康な状態を維持していました。著者の知る限りでは、今回の研究はSARSコロナウイルス2の感染が判明しているか疑われる母親から出生した新生児を対象とする研究として、過去最大のものでした。全体として、新生児にCOVID-19の臨床的な証拠は認められませんでした。今回の研究結果は、母子を同室にする、母乳栄養を確立する、沐浴の開始を遅らせるなど、エビデンスに基づく新生児ケアを引き続き実践していく方針を支持するもので、SARSコロナウイルス2陽性の母親を新生児から引き離すことや直接の授乳を避けることが妥当ではない可能性を示しています。

リンク:https://jamanetwork.com/journals/jamapediatrics/fullarticle/2771636


 2020年10月19日

 WHOの研究によりレムデシビルなどの転用薬剤はCOVID-19に無効と判明 

世界保健機関(WHO)は先ごろ、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療に転用されている4つの抗ウイルス薬の有効性を評価するため、大規模なランダム化試験を実施しました(ただし、これは盲検試験でもプラセボ対照試験でもありません)。対象とされた抗ウイルス薬は、レムデシビル、ヒドロキシクロロキン、ロピナビル(リトナビルとの配合剤)、インターフェロンでした。この試験には、30カ国の405の病院にCOVID-19で入院した成人患者1万1,266人が登録されました。被験者はそれぞれ異なる薬剤を使用するグループにランダムに振り分けられ、現地で入手できるか管理制限のない試験薬のいずれかが投与されました。この研究では、2,750人がレムデシビル、954人がヒドロキシクロロキン、1,411人がロピナビル、651人がインターフェロンとロピナビル、1,412人がインターフェロンのみの投与を受け、対照群に振り分けられた4,088人には、いずれの試験薬も投与されませんでした。この研究では、これらの薬剤のいずれでも、対照群と比べて人工呼吸器の使用率や死亡率の低下、入院期間の短縮は認められませんでした。なお、このデータは査読を受けておらず、このSOLIDARITY試験の研究グループによってmedRxivというプレプリントサーバー(査読前の論文を投稿して公開するウェブサイト)に掲載されたものです。

リンク:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.10.15.20209817v1


 2020年10月15日

 COVID-19のパンデミックによる超過死亡と種々の影響 

Journal of the American Medical Association誌の2020年10月12日号に掲載された論説記事において、同号に掲載された米国における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックによる死亡者数や経済的および心理的負担を報告したいくつかの研究について、要約とコメントが示されました。2020年の3月1日から8月1日にかけて、米国では合計133万6,561人が死亡しましたが、これは通常時に予想されていた死亡数を20%上回る数字で、22万5,530人の超過死亡が起きたことを意味しており、その67%はCOVID-19が直接の死因と判定されていました。それ以外の超過死亡にも、今回のパンデミックに関連した他の要因が関係していると推測されます。この5カ月間の数字に基づき2020年全体の数字を予想すると、2020年の超過死亡数は40万人を超えることになり、その数は第2次世界大戦での米国人の死者数に迫ります。パンデミックによる他の影響に目を向けた別の記事では、1人が死亡すると平均で9人の家族が長期間の悲嘆や心的外傷後ストレス障害の症状にさいなまれると推定されています。また別の記事では、今回のパンデミックによる財政的な負担が推定されました。

リンク:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2771758


 2020年10月9日

 COVID-19に対する回復期血漿の抗体量は3~4カ月で減少

カナダのケベック州で実施され、Healio Newsにより報道され、10月1日にBlood誌にレターという形態で公表された縦断研究について、複数回にわたり回復期血漿を提供した15人のドナーに関する結果が報告されました。最初の提供時期は発症から33~77日後で、最後の提供時期は66~114日後でした。  最初の提供時にはすべてのドナーで受容体結合ドメイン(RBD)に対する抗体の存在が認められましたが、その全員において、最初の提供から最後の提供までの間に、その量に減少がみられました。この研究では、提供時期が4つの均等な範囲(33~53日後、54~69日後、70~84日後、85~114日後)に分けられました。1番目と2番目と3番目の期間の間では、統計学的に有意でない小さな減少がみられたものの、抗体の量は安定していました。対照的に、3番目と4番目の期間の間では、抗体の量が著しく減少しました(36.8%、p = 0.0052)。今回の知見により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)から回復して血漿の提供を希望する人は、提供可能になってからあまり長く待つべきではなく、医師は提供された血漿を実際に使用する前に、それに抗体が含まれていることを確認すべきであるということが明らかになりました。

リンク:https://www.healio.com/news/hematology-oncology/20201001/covid19-antibodies-in-convalescent-plasma-donations-wane-by-3-to-4-months?ecp%20=%207e47bd7b-fe8e-4fe6-aa89-4526a98357d5&M_BT=3679670404669

     https://ashpublications.org/blood/article/doi/10.1182/blood.2020008367/463996/Waning-of-SARS-CoV-2-RBD-antibodies-in


 2020年10月8日

 インドでのCOVID-19の感染拡大には高リスクの接触者が大きく関与

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に関する過去最大級の研究において、インドの2つの州におけるコロナウイルス陽性患者8万4,965人に対する接触者追跡調査の対象者が308万4,885人に達しました。臨床検査の結果に加えて、疫学データも入手できた57万5,071人の接触者について検討が行われました。この研究は9月30日にScience誌で公表されました。プリンストン環境研究所、ジョンズ・ホプキンス大学、カリフォルニア大学バークレー校から集まった研究チームが、インド東南部のタミルナードゥ州とアーンドラプラデーシュ州の公衆衛生当局と協力して研究を実施しました。得られたデータによると、感染した患者は1人当たり平均で約7人と接触していましたが、陽性患者の71%は接触者の誰にも感染させていませんでした。リスクの高い接触者(最初の患者に安全対策をせずに直接身体的な接触をした濃厚接触者)の感染率(最初の患者から感染した接触者の割合)は、約10.7%でした。リスクの低い接触者(最初の患者と接近したものの、リスクの高い曝露の条件を満たさなかった接触者)の感染率は、およそ4.7%でした。この研究では、年代別では小児と若年成人がウイルスを拡散している重要な集団で、ほとんどの場合、同年代の他者に感染を広げていました。この人口集団は過去の研究で示されてきた結果よりも重要である可能性があります。この研究は、リスクの高い接触者による感染伝播の役割を浮き彫りにしています。

リンク:https://science.sciencemag.org/content/early/2020/09/29/science.abd7672


 2020年10月2日

 持病のない新型コロナウイルス感染症患者が重症化する理由を免疫学的異常で説明できるか

Science誌で最近発表された2つの研究により、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が重症化することがある理由に光が当てられました。それらの研究により、体内にインターフェロンというタンパク質に対する抗体をもっている患者や、インターフェロンの生産と機能を妨げる先天異常や遺伝子変異がある患者もいることが判明しました。COVID-19による重度の肺炎を発症した患者が抗インターフェロン抗体をもっているかどうかを調べた結果、検査の対象とされたCOVID-19の重症患者987人中101人が1型インターフェロンに対する中和自己抗体をもっていたことが分かりました。これに対し、無症候性または軽症のCOVID-19感染者663人では、1人も抗インターフェロン抗体をもっていませんでした。65歳以上の患者では、抗インターフェロン抗体をもつ人がより多かったことも判明しました。インターフェロンとは、ウイルスから体内の細胞を保護している17種類の重要なタンパク質の総称です1型のインターフェロンが不足している人では、効果的な免疫反応が起こりません。この研究チームは以前、重症のCOVID-19患者では、インフルエンザに対する免疫防御にとって重要な13の遺伝子の変異が、かなりの割合でみられることを示しましたが、今回の研究では、COVID-19による重度の肺炎患者659人のうち23人(3.5%)で同様の変異が認められました。この知見は、一部の人たちが重症化する一方で他の人たちはそうならない理由について、理解を深めることにつながる可能性があります。COVID-19による重度の肺炎を発症した患者は、機能的な遺伝子が完全に欠けていて、SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)の感染に対する反応として検出可能な1型インターフェロンが全く作られていませんでした。全体では、COVID-19の最重症例の最大14%において、1型インターフェロンの欠如を引き起こす先天異常や免疫学的異常が何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆されました。今回の2つの発表により、SARSコロナウイルス2に対する防御免疫において1型インターフェロンが重要な役割を果たしていることが浮き彫りにされました。

リンク:https://science.sciencemag.org/content/early/2020/09/23/science.abd4585

         https://science.sciencemag.org/content/early/2020/09/28/science.abd4570


 2020年9月23日

 新型コロナウイルス感染症の入院患者では小児と成人で免疫反応に差

アルバート・アインシュタイン医科大学付属モンテフィオーレ小児病院とエール大学は、小児患者の症状が一般的に成人患者より軽い理由を明らかにするために、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の成人患者と若年患者で免疫反応を比較する研究を実施しました。その研究では、COVID-19の若年(24歳未満)患者65人と成人患者60人の間で、サイトカイン、液性免疫、細胞性免疫の反応が比較されました。予想されたとおり、小児の方が成人よりも臨床的な状態がはるかに良好であることが分かりました。

また、若年患者は成人患者と比べて、自然免疫系に関連するサイトカインであるインターロイキン17(IL-17)の血中濃度が高く、このことから若年患者は自然免疫がより強いことが示されました。一方、成人患者では若年患者と比べて、ウイルスのスパイクタンパク質に対してT細胞がより強く反応し、血清の中和抗体価がより高く、抗体依存性細胞貪食作用についても強い活性が認められました。さらに、COVID-19の成人患者では、回復した患者よりも死亡した患者や人工呼吸器を必要とした患者の方が中和抗体のレベルが高く、総じて若年患者より有意に高いことも分かりました。

以上の知見から、若年の感染者が重症化して死に至ることが少ないのは、おそらくは自然免疫の反応が比較的強いためであり、したがって、T細胞や抗体による免疫反応を促進しても(特に疾患経過の後期には)助けにならない可能性があることが示唆されます。

リンク:https://stm.sciencemag.org/content/early/2020/09/21/scitranslmed.abd5487


 2020年9月16日

 パンデミック中のイベント参加に伴うリスクを評価する

このパンデミックの最中、イベントに参加した場合にCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染者に遭遇するリスクを知っておくことは、そのイベントに参加するかどうかを決定する上で重要な情報となるでしょう。国内の多くの場所が開放されるようになり、不要不急の活動の再開に伴うリスクを推定できるということが極めて重要になっています。そのための手段として、COVID-19イベントリスク評価計画ツール(COVID-19 Event Risk Assessment Planning Tool)というプログラムがあります。これは米国のジョージア工科大学が開発したもので、ニューヨークタイムズ紙が集計する感染者数とCovidtracking.comのダッシュボードからのデータに基づいて毎日更新されています。このインタラクティブマップには、特定の規模のイベントでCOVID-19感染者に遭遇する可能性がどの程度あるかが郡単位で表示されます。このツールでは、ある郡で開催される1つのイベントにCOVID-19感染者が少なくとも1人いるリスクの高さが、その参加人数に基づき、パーセンテージで表示されます。その計算では、イベントの参加者全員がその地域にいる他の人々と同じ確率で感染していると仮定します。このツールでは、実際の感染者数が報告値より何倍多いかを勘案することで、確認バイアスに対する調整を行うことができます。これらの仮定に基づき、計算で得られる結果は1つの近似値とみなすことができます。例えば、ロサンゼルス群で開催され100人が出席する結婚式に参加する場合、確認バイアスを10とすると、出席者の中にCOVID-19の感染者が少なくとも1人いる可能性は74%になります。同様のリスクはフィラデルフィアでは61%になりますが、ウエストバージニア州ウェッツェル郡では1%未満となります。

 

リンク:https://covid19risk.biosci.gatech.edu/


 2020年9月15日

 COVID-19重症化の原因としての「サイトカインストーム」に疑い

COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の重症化にサイトカインストームが関与していない可能性が新たな研究で示唆されています。サイトカインストームとは、正常な免疫機能の一部を担っているサイトカインが、身体に過剰反応が起きるほど大量に放出される免疫反応のことです。JAMA誌で公表された研究では、オランダのラドバウド大学医療センターの研究チームが、集中治療室(ICU)に収容された以下に該当する患者を対象に、血液中の3つのサイトカインの濃度を測定しました。

  • COVID-19と急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
  • 細菌感染による敗血症性ショック(ARDSの有無は問わない)
  • 心停止または重度の外傷

免疫不全を引き起こす疾患がある患者や、免疫系を抑制する薬を必要とする患者は、この研究では対象とされませんでした。

COVID-19の患者では、3つのサイトカインすべての濃度が、細菌感染による敗血症性ショックとARDSを合併した患者よりも有意に低かったことが明らかになりました。COVID-19患者におけるサイトカイン濃度は、外傷や心停止でICUに収容された患者のそれと同程度でした。この研究結果から、サイトカインストームがCOVID-19を特徴付けるものではないことが示され、COVID-19の患者が重症化する際にサイトカインストームが大きな役割を果たすというこれまでの報告や仮説に疑問が投げかけられました。抗サイトカイン療法がCOVID-19の患者に有効かどうかは、まだはっきりしていません。

リンク:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2770484?guestAccessKey=ca659b2f-6a60-4204-8ef6-f89f746f0693&utm_source=twitter&utm_medium=social_jama&utm_term=3649792285&utm_campaign=article_alert&linkId=98774464


 2020年9月8日

 COVID-19の重症患者におけるステロイドの全身投与と死亡率

ステロイドは、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の重症患者の死亡率を低下させることが明確に示されています。1,703人の患者を対象とした7つのランダム化臨床試験のメタアナリシスの結果が2020年9月2日にJAMA誌で公表されました。そのメタアナリシスは、地理的に多様な場所から報告された比較的大人数のCOVID-19重症患者のデータに基づいて行われました。1,703人の被験者のうち647人は治療法の割付けから28日目までに死亡しました。標準のケアを受けた患者の死亡率は40%でしたが、ステロイドによる治療を受けた患者では、この値が32%に低下しました。これは統計学的に極めて有意な差(P値0.001未満)でした。人工呼吸器を必要とする患者や、人工呼吸器は不要ながら酸素投与を必要とする患者にも、同様の結果が認められました。また、ステロイドを投与された患者と投与されなかった患者とでは、重篤な有害事象にほとんど違いがみられないことも、このメタアナリシスで明らかになりました。重症患者に対するステロイドの明らかな有益性が示されたことを受けて、世界保健機関(WHO)は、COVID-19の重症患者に対する治療としてステロイドの全身投与を推奨する更新版のガイダンスを公表しました。

研究へのリンク:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2770279

WHOへのリンク:https://www.who.int/news-room/feature-stories/detail/who-updates-clinical-care-guidance-with-corticosteroid-recommendations


 2020年8月28日

 COVID-19に対する鼻腔内接種の新規ワクチンがマウスで強力かつ広範な免疫反応と感染予防効果を示した

ワシントン大学医学校は、新たなCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンの開発を発表しました。COVID-19向けに開発中の他のワクチンとは異なり、これは鼻腔内接種用(鼻の中に投与する)のワクチンです。このワクチンを接種したマウスでは、特に鼻や上気道の粘膜において、強い免疫反応がみられました。この論文の最終著者を務めたマイケル・S・ダイアモンド(Michael S. Diamond)医師・医学博士は、「これらのマウスは十分に疾患から守られ、一部のマウスではウイルスを意図的に接種した後も全く感染の徴候がない完全な免疫の証拠が認められました」と語っています。このワクチンでは、無害化してコロナウイルスの突起部分(スパイクタンパク質)を組み込んだアデノウイルスをベクター(媒介物)として使用しています。この新規ワクチンではまた、スパイクタンパク質に2つの変異が導入されています。それらの変異により、スパイクタンパク質が新型コロナウイルスに対する抗体の生産に最も有利な特殊な形状に安定化されます。鼻腔内接種を筋肉内注射と比べた実験では、鼻腔内接種では上気道と下気道の両方で感染が予防できました。筋肉内注射では肺炎を予防する免疫反応は生じたものの、鼻や肺への感染は防げませんでした。有望な発見の一つは、1回の鼻腔内接種で、このように2回目の接種を必要としない確実な免疫反応が得られたということです。研究チームは、この鼻腔内ワクチンについてヒト以外の霊長類を用いる研究を間もなく開始する予定で、ヒトを対象とする臨床試験にできるだけ速やかに進むよう計画しています。この研究は2020年8月19日にCell誌(電子版)で公表されました。

報道発表へのリンク:https://medicine.wustl.edu/news/nasal-vaccine-against-covid-19-prevents-infection-in-mice/

 

研究へのリンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867420310680
                                                            


 2020年8月19日

 症状の現れるタイミングがCOVID-19と他の呼吸器疾患の鑑別に役立つ可能性

南カリフォルニア大学マイケルソン総合生命科学センター(USC Michelson Center for Convergent Bioscience)の研究チームは、多数のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)症例を解析して、COVID-19の諸症状が現れる順序について最も可能性の高いパターンを突き止めました。医学誌Frontier Public Healthに掲載された研究結果によると、症状はまず発熱から始まり、続いてせき、次に筋肉痛、次に吐き気と嘔吐、そして下痢という順序で現れることが最も多いようです。研究チームは、世界保健機関(WHO)が2020年2月半ばに収集した中国のCOVID-19症例5万5,000例以上のデータと、中国医療専門家グループが12月11日から1月29日にかけて収集した1,100例近くのデータを解析しました。COVID-19患者における症状の進行を、インフルエンザやSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)と比較したところ、症状が現れる順序がCOVID-19と他の呼吸器疾患を鑑別する際に役立つ可能性があることが明らかにされました。インフルエンザでは最初にせき、続いて発熱がみられる場合が最も多いのに対し、COVID-19ではまず発熱が、次にせきがみられる場合が最も多いです。また、COVID-19では吐き気や嘔吐などの上部消化管症状が下痢よりも先に起こる場合が多く、吐き気や嘔吐より先に下痢がみられることの多いSARSやMERSとは異なります。この解析ではまた、COVID-19の最初の症状が下痢である場合、その患者は重症化する可能性が高いことも示唆されました。この情報は医療従事者がCOVID-19患者と他の患者を見分けるのに役立つ可能性があります。COVID-19の症状の進行について教育を受けた患者は、そうでない患者よりも早く医療機関を受診する可能性があり、より早期に隔離して感染拡大を防ぐことが可能になります。

リンク:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpubh.2020.00473/full#SM1


 2020年8月10日

 パンデミック中にがんの新規症例数が46.4%減少

2020年8月4日にJAMAネットワークで公表された投稿記事によると、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)のパンデミック(世界的大流行)の期間中(3月1日~4月18日)に新たにがんと診断された症例の数は、比較対照とされた過去のデータと比べて46.4%減少していました。この研究では、何らかの原因でQuest Diagnostics社による検査を受けた米国全土の患者のうち、診断した医師が一般的な6種類のがん(乳がん、大腸がん、肺がん、膵臓がん、胃がん、食道がん)のいずれかに関連するICD-10の疾患コードを割り当てた患者が対象にされました。新規症例数の減少は大部分が乳がんと大腸がんでみられ、その中でもスクリーニングで診断されるがんが最も多くを占めていました。この結果は他の国々から報告されている知見と酷似していて、それらの国々でも、COVID-19による各種の制限が実施されて以降、週当たりのがんの発生率は40%も低下し、がんの疑いで専門医に紹介された症例の数は75%減少したとみられています。この記事では、がんは待ってはくれませんので、診断が遅れれば、その間により進行してしまい、回復の見込みがさらに悪くなる可能性があると指摘されています。同記事は、米国におけるがんによる超過死亡数が3万3,890例増加する可能性を示唆した研究にも言及し、診断の遅れがもたらす影響に対処するべく早急な対策の立案を求めています。

リンク:https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2768946


 2020年8月4日

 風邪を引き起こすコロナウイルスへの曝露歴がCOVID-19の重症度に影響する可能性

Nature誌に投稿された査読前の論文として7月29日にScience Magazineでオンライン公開された記事において、健康な人の体内にSARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)を認識できる免疫細胞が認められたことが報告されました。この交差反応は「ただの風邪」を引き起こすコロナウイルスに過去にさらされたこと(曝露)によるもので、今回のパンデミック(世界的大流行)でみられている症状の重症度の幅に関係している可能性があることが示唆されました。この研究では、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)への曝露が確認されていない健康な人のヘルパーT細胞を、新型コロナウイルスの突起部分(スパイクタンパク質)の断片に曝露させました。その結果、健康な人の35%において、抗原を記憶するヘルパーT細胞が新型コロナウイルスの断片を認識することができました。この記事では、体内で起きる免疫反応に関する一般的な事項や、研究結果の意味、免疫学的な要因がどの程度症状と相関するかを今後さらに研究していく計画などが説明されています。

Science Magazineへのリンク:https://scienmag.com/could-prior-exposure-to-common-cold-viruses-affect-the-severity-of-sars-cov-2-symptoms/

Nature誌へのリンク:https://www.nature.com/articles/s41586-020-2598-9


 2020年7月30日

 新型コロナウイルスに対する抗体は急速に減少する

The New England Journal of Medicine誌に掲載された記事において、カリフォルニア大学David Geffen医学大学院の研究者らは、中等症のCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)から回復して、SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)に対する抗体の量を測定した31人の参加者を対象に実施された小規模な研究について報告しています。測定の結果、新型コロナウイルスに対する抗体が急速に減少することが示されました。こうした抗体の急速な減少は最近の別の研究で示唆されていたものの、その減少率については詳細に説明がなされていなかったと、この記事の筆者らは指摘しています。今回の研究では、発症から平均37日(18~65日)後に最初の抗体量の測定を行い、発症から平均86日(44~119日)後に最後の測定を行いました。抗体量の低下率の平均値から、今回の観察期間中の半減期はおよそ36日であることが示唆されました。筆者らは、こうした急性ウイルス曝露後早期にみられる抗体の減少から、新型コロナウイルスに対する液性免疫は中等症の感染者では長く続かない可能性があるという懸念が浮上したと結論づけています。研究で明らかにされた知見と一般的なヒトコロナウイルスについてすでに分かっている事実を踏まえて、抗体に基づく免疫パスポートや集団免疫、さらにはワクチンの効果の持続性についても懸念を示しています。

リンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2025179


 2020年7月29日

 FDAが特定のアルコール手指消毒剤を使用しないよう消費者と医療従事者に警告

米国食品医薬品局(FDA)は2020年7月27日の報道発表で、メタノールを含む特定の手指消毒剤を使用しないよう繰り返し警告を発しました。失明、心臓への影響、中枢神経系への影響、入院および死亡などの有害事象の報告数が増加しています。この報道発表ではまた、特定の手指消毒剤の国内流入を防ぐためのFDAによる最新の取締り対策についても報告されました。FDAは、使用する手指消毒剤について消費者は警戒する必要があると強調するとともに、FDAが作成した危険な手指消毒剤製品のリストに掲載されたすべての手指消毒剤について、直ちに使用を止めるよう促しています。メタノールはアルコールの一種ですが、危険な物質です。体内に入ると、吐き気、嘔吐、頭痛、かすみ目、永続的な失明、けいれん発作、昏睡、神経系の永続的な損傷などを引き起こし、死に至ることもあります。該当する製品を手に使用している人は、メタノール中毒になるリスクがあります。一方、幼児が該当する製品を摂取したり、青年や成人が該当する製品をお酒の代替品として摂取したりすると、極めて大きなリスクにさらされることになります。

リンク:https://www.fda.gov/drugs/drug-safety-and-availability/fda-updates-hand-sanitizers-methanol#products


 2020年7月23日

 新型コロナウイルスのエアロゾル感染に関する検証

カリフォルニア大学サンディエゴ校Scripps海洋学研究所のKimberly Prather博士(環境化学主任)らは、SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)がエアロゾルによって伝播される可能性があることを論証する論文をScience誌で発表し、その中でエアロゾル感染を巡る科学的背景とそれが起こりうる理由を説明しています。呼吸器から排出される感染性のある飛沫の発生と空気中での挙動についてはほとんど分かっていないため、ソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)での安全な距離を定義するのは難しいとPrather博士は指摘しています。インフルエンザウイルスがそうであるように、新型コロナウイルスでも直径1ミクロン未満のエアロゾル中にウイルス粒子(感染性をもつ完全な形態のウイルスのこと)が含まれると仮定した場合、同様に1ミクロン未満の粒子を含む呼気中のタバコの煙がちょうどよい比較対象になり、どちらも似たような流れと希薄化のパターンをたどる可能性が高いと同教授は述べています。つまり「喫煙者からタバコの煙の匂いを感じられる距離が、感染者から感染性のエアロゾルを吸い込む可能性がある距離に相当する」ということです。同教授は、マスクは有効で、屋内ではたとえ6フィート(約2メートル)の距離をとっていても、顔によくフィットするマスクを着用することが重要だと考えています。 

リンク: https://science.sciencemag.org/content/368/6498/1422


 2020年7月20日

 新型コロナウイルスの伝播について:世界保健機関によるブリーフレポート

世界保健機関は7月9日、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)の伝播に関する最新の知見を更新した短い報告書を公表しました。この報告書は、査読済みの学術論文やウェブ上に掲載された査読前の論文原稿などの調査研究情報をまとめるために、世界保健機関とその提携機関が作成したものです。この文書では、SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)の様々な感染経路や、このウイルスがどのような状況で感染者から他者に伝播するかについて考察されています。また、無症候性または発症前の伝播が起きるかどうかという疑問についても検討されています。今回の世界保健機関の報告により、感染がどのように拡大し、いつ、どのような状況でウイルスが伝播するかを理解することが、この感染症に対する予防戦略に重要な意味をもつことが浮き彫りにされました。

リンク:https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/transmission-of-sars-cov-2-implications-for-infection-prevention-precautions


 2020年7月17日

 母体から胎児への新型コロナウイルスの伝播

新生児へのSARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)の感染例が数例報告されていますが、それらが出生時に伝播したものか、出生後の環境曝露に原因があるのかは明らかではありません。そのような中、2020年7月14日発行のNature Communications誌に、新生児が胎盤を介して新型コロナウイルスに感染した症例が1例報告されました。胎盤を調べたところ、新型コロナウイルスを大量に含んだ組織が確認されました。この新生児には、COVID-19に感染した高齢者でみられるものに類似した脳損傷の症状がみられました。

リンク:https://www.nature.com/articles/s41467-020-17436-6


 2020年7月15日

 20歳以下の若者ではコロナウイルス感染後も81.9%が無症状に:イタリアでの研究より

SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)の感染者に症状が現れる確率を年齢別に推定したデータはあまりありません。感染拡大を制御するための戦略は、感染者の濃厚接触者に検査を実施して、陽性と判定された人を隔離することに頼っていますが、監視チームの目を簡単にすり抜ける無症候性感染の存在が、こうした戦略を難しくしています。小児では症状が現れる可能性が成人よりはるかに低いことを踏まえると、小児を介した感染伝播は特に重要です。イタリアのロンバルディ州で実施された研究において、新型コロナウイルスの感染が検査で確認された濃厚接触者64,252人に対して臨床観察が行われました。この研究では感染者3,420人ので構成されるクラスターが特定され、その濃厚接触者全員に対して鼻腔検体または血清学的検査によるCOVID-19の検査が実施され、全体での対象者(濃厚接触者)は5,484人になりました。この濃厚接触者5,484人のうち、51.5%に当たる2,824人が検査で陽性と判定されました。確認された新型コロナウイルス感染例2,824例のうち、31%に当たる876例で症状がみられました。症状がある症例とは、上気道または下気道に症状(せき、息切れなど)があるか、37.5℃以上の発熱がある場合と定義されました。このデータを年齢別に集計したところ、症状が現れる確率は次のように年齢とともに高くなることが判明しました:

  • 20歳未満:18.1%で症状がみられた
  • 20~39歳:22.4%で症状がみられた
  • 40~59歳:30.5%で症状がみられた
  • 60~79歳:35.5%で症状がみられた
  • 80歳以上:64.6%で症状がみられた

研究チームは、新型コロナウイルスの伝播に無症候性感染がどれだけ関与しているかはあまり定量化されておらず、どのような症状を定義に含め、どの段階で症状を確定するか次第で、推定される無症候性感染者の割合は17%から87%までの範囲をとると指摘しました。この研究により、新型コロナウイルスに感染して症状が現れる可能性は年齢とともに高まることが示されました。この研究結果は、COVID-19の疫学における小児と若年成人の役割について理解を深める上で有益な情報です。  この予備的な研究は、まだ査読済みの論文として専門誌に掲載されたわけではありませんが、arXivのプラットフォームからオンラインで入手できるようになっています。

リンク:https://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/2006/2006.08471.pdf


 2020年7月14日

 COVID-19患者の大半で急性期からの回復後も症状が残存する

イタリアの研究チームが実施してJournal of the American Medical Association誌で公表された研究により、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)に感染した患者の多くで症状が長期間残存していたことが明らかにされました。この研究では、COVID-19からの回復後に退院した143人の患者が対象とされました。全員が隔離の中止条件(3日連続で発熱がみられず、その他の症状が改善し、24時間の間隔を空けた2回の検査でともにCOVID-19陰性と判定される)を満たしていました。対象者は退院の平均36日後に登録され、登録時に再度実施されたCOVID-19のPCR検査でも陰性と判定されていました。大半の患者が残存する症状として疲労と息切れを報告しました。評価を行った時点で、COVID-19に関連する症状が完全にみられなくなっていた患者は12.6%だけで、30%の患者には1つか2つの症状がみられ、55%の患者では3つ以上の症状が残っていました。発熱や急性疾患の徴候がみられる患者はいませんでした。44.1%の患者で生活の質(QOL)の低下が認められました。多くの患者が報告した症状は、疲労(53.1%)、呼吸困難(43.4%)、関節痛(27.3%)、胸痛(21.7%)でした。研究チームは、COVID-19については急性期に大きな注目が向けられているが、退院後も長期的な影響を検出するためのモニタリングを継続していく必要があると指摘しています。この研究については、単一の施設で実施された研究であるなどの限界があると著者たち自らが指摘しているほか、それぞれの患者に感染前からあった症状に関する情報が示されませんでした。さらに、比較のための対照群が設けられませんでした。

リンク:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2768351                                                                                                                


 2020年7月2日

 CDCの報告:妊婦はCOVID-19の重症化リスクが高い

米国疾病予防管理センター(CDC)が2020年6月26日付の週次報告書Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)の中でオンライン公開した新たな研究報告によると、妊娠中の女性は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクが高い可能性があります。SARSコロナウイルス2(COVID-19を引き起こす新型コロナウイルスの正式名称)に感染した妊娠可能年齢(15~44歳)の女性では、妊娠している人の方が妊娠していない人よりも、入院や集中治療室(ICU)への入室に至る割合と人工呼吸器の使用が必要になる割合が高くなっていました。しかし、妊娠に死亡リスクとの関連は認められませんでした。検査でCOVID-19が陽性と判定されてCDCに報告された妊婦の数は、6月7日の時点で8,207人でした。これらの妊婦が、妊娠していないことが判明していて検査でCOVID-19陽性と判定された妊娠可能年齢の女性8万3,205人と比較されました。妊婦で入院した人の割合(31.5%)は、妊娠していない女性のそれ(5.8%)を大きく上回っていました。ICUに入室した人の割合は、妊娠していない女性の0.9%に対して妊婦では1.5%、人工呼吸器が必要になった人の割合は、妊娠していない女性の0.3%に対して妊婦では0.5%という結果でした。ヒスパニック系とアフリカ系米国人の女性は、妊娠中に新型コロナウイルスに感染する可能性が他の人種より高いとみられています。報告書では、妊娠中には生理的変化や免疫学的な変化が起きるため、それにより呼吸器感染症が重症化するリスクが高くなる可能性があると指摘されています。この研究にはいくつかの限界がありますが、CDCのこの報告書には次のように述べられています。「……妊婦はCOVID-19が重症化するリスクを認識しておくべきである。妊婦とその家族は、自身の健康を確保しつつ、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための対策を講じるべきである。妊娠中の女性が講じられる具体的な対策としては、妊婦健診の予約をキャンセルしないこと、他者との交流をできるだけ自粛すること、他者と交流する場合はCOVID-19に対する感染予防策を講じること、少なくとも30日分の薬を常備しておくこと、COVID-19のパンデミック(世界的大流行)中に健康を維持する方法についてかかりつけ医に相談することなどが挙げられる。妊婦におけるCOVID-19の重症化例を減らすために、新型コロナウイルスの感染予防策が重視されるべきであり、そうした対策の遵守を阻む潜在的要因に対処していく必要がある。」

リンク:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6925a1.htm?s_cid=mm6925a1_w


 2020年6月29日

 COVID-19の封じ込め中にCO2排出量が減少

日々の活動で人間が排出する二酸化炭素(CO2)の量が、コロナウイルス禍最中の4月上旬に17%も減少したことが、5月17日発行のNature Climate Change誌に掲載された研究で明らかにされました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)下での感染拡大を抑制するために政府が封じ込め政策(検疫・隔離や外出制限)を講じた結果、世界中でエネルギー需要のパターンが劇的に変化しました。1日当たりの排出量は一時、2006年の水準まで低下しました。この分析は、フューチャーアースのグローバルカーボンプロジェクトに参加する国際研究チームによって行われました。このプロジェクトは、地球上で人間が排出する温室効果ガスの影響を追跡する取組みです。CO2排出量の17%の減少は、世界中で封じ込め策が最も広く実施された4月初めに確認されました。2020年の年間排出量に対する全体としての影響は、封じ込め策の期間によりますが、低めの予想としては、6月までに社会がパンデミック以前の状態に戻った場合に約4%の減少が見込まれる一方、2020年の年末まで世界中である程度の制限が続いた場合には、約7%という高めの減少率が推計されています。4.2~7.5%の年間CO2排出量の減少は、気候変動(すなわち気温の上昇)を1.5℃に抑えるのに今後10年間にわたり毎年迫られる削減量に相当すると研究チームは指摘していますが、パリ協定に沿って気候変動を抑制することの難しさが強調される結果となりました。

リンク:https://www.nature.com/articles/s41558-020-0797-x


  2020年6月23日

 COVID-19の重症度に血液型が関連

6月17日にNew England Journal of Medicine誌に掲載された研究論文で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が原因で呼吸不全になったスペインとイタリアの重症患者1,900人以上の遺伝子解析の結果が報告されました。これらの重症患者が2,000人以上の健常者(COVID-19に感染したものの軽症で済んだか症状が全くみられなかった人が含まれている可能性があります)と比較されました。以前の研究から、血液型がCOVID-19へのかかりやすさに影響を与える可能性があることが示唆されていました。今回の研究により、COVID-19による呼吸不全がみられた患者の多くに共通する遺伝子の位置が特定されました。この遺伝子は、血液型を制御する遺伝子とも重複しています。さらなる研究により、血液型がA型の人は他の血液型の人と比べて、COVID-19による呼吸不全のリスクが有意に高かったことが分かりました。O型の血液型は防御的に働いていました。この結果は、COVID-19の患者において血液型が呼吸不全とどのような関係にあるかを示すものではありませんが、どの患者がCOVID-19の重症化リスクが高いかを医師が判断する上での新たな情報を提供しています。

リンク:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2020283?query=featured_coronavirus#article_references


 

 2020年6月18日

 COVID-19の致死率は基礎疾患があると12倍に上昇する

米国疾病予防管理センター(CDC)は、6月15日に早期公開した週次報告書Morbidity and Mortality Weekly Reportにおいて、5月30日までに検査で確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症例132万488例の人口統計学的特徴、基礎疾患、症状、転帰について説明しています。全体で18万4,673人(14%)が入院し、2万9,837人(2%)が集中治療室(ICU)に収容され、7万1,116人(5%)が死亡しました。個別の基礎疾患に関するデータがあった28万7,320例(22%)で最も多くみられた基礎疾患は、心血管疾患(32%)、糖尿病(30%)、慢性肺疾患(18%)でした。基礎疾患の報告があった人では、基礎疾患がなかった人と比べて、入院率が6倍、致死率が12倍高くなっていました。CDCは、以上の結果から集団レベルでの感染抑制対策を継続する必要性が浮き彫りになり、感染すると重篤化しやすい人々に対する対策がとりわけ重要と考えています。

リンク:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6924e2.htm?s_cid=mm6924e2_e&deliveryName=USCDC_921-DM30615

 
                                                                                          

 

 2020年6月17日

 デキサメタゾンによりCOVID-19重症患者の致死率が低下

オックスフォード大学は6月16日付のニュースリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症患者6,425人を対象とした臨床試験で肯定的な結果が得られたと報告しました。被験者はデキサメタゾン6mgを経口または静脈内注射で1日1回10日間投与する群(2,104人)と、通常のケアのみを行う群(4,321人)にランダムに割り当てられました。デキサメタゾンの投与により、人工呼吸器を装着した患者では死亡が3分の1減少し、酸素吸入のみを受けた患者でも死亡が5分の1減少しました。どちらの結果も統計学的に極めて有意なものでした。これらの結果に基づくと、人工呼吸器を装着した患者の8人に1人、酸素吸入のみを受けた患者のおよそ25人に1人の死亡を治療により回避できたことになります。一方、呼吸補助を必要としなかった患者では、効果が認められませんでした。この試験の試験責任医師の一人であるオックスフォード大学ナフィールド医学部のPeter Horby教授(新興感染症学)はニュースリリースで、「デキサメタゾンはCOVID-19に対して生存率の改善を示した最初の薬剤だ」と述べています。この研究は十分なデータがまだ公表されておらず、まだ査読も受けていないという点に注意する必要はありますが、外部の専門家たちはこの結果をすぐに受け入れました。英国政府の首席科学顧問であるPatrick Vallance氏は、この結果を「素晴らしいニュース」とし、「この疾患との闘いにおける画期的な進展」だと評価しました。米国食品医薬品局(FDA)の元長官であるScott Gottlieb氏も「非常に前向きな結果」と評しています。

リンク:https://www.recoverytrial.net/files/recovery_dexamethasone_statement_160620_v2final.pdf

 
                                                                                    

 

 2020年6月12日

 パンデミック初期に救急外来の受診が急減

米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が救急外来の受診者数に大きな影響を及ぼしました。米国疾病予防管理センター(CDC)は6月3日の週次報告書Morbidity and Mortality Weekly Reportで、COVID-19のパンデミック初期に救急外来の受診が42%減少していたことを明らかにしました。2020年の3月29日から4月25日にかけての1週間当たりの平均受診者数は120万人でした。一方、前年同時期(3月31日から4月27日まで)の1週間当たりの受診者数は220万人でした。しかし、この期間中、感染症に関連した受診者の割合が前年比で4倍に増加しました。受診者数の減少は小児と女性で特に目立ち、また米北東部で顕著でした。腹痛やその他の消化器症状、特徴のない胸痛や急性心筋梗塞(心臓発作)、高血圧など、多くの症状を理由とする受診者数が、今回のパンデミックの間に減少しました。このことから、治療せずに放置すると死の危険が高まりかねない病気になった一部の人が医療機関の受診を先送りしている可能性が懸念されます。

研究へのリンク:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6923e2.htm?s_cid=mm6923e2_w#F2_down

 
                                                                                          

 

 2020年6月10日

 大局的に見るCOVID-19の死亡率

ニューヨークタイムズ紙は、世界の25の都市・地域を対象として、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のアウトブレイク(集団発生)が最も激しかった月の死者数を振り返り、平時の死者数に対する倍率を算出するとともに、それらの値を過去の他の自然災害時の値と比較しました。

最高値を記録した月の死者数を平年と比較したときの倍率:

  • 1918年のスペイン風邪流行時の米フィラデルフィア:7.3倍
  • COVID-19流行時のイタリア、ベルガモ:6.7倍
  • COVID-19流行時のニューヨーク市:5.8倍
  • COVID-19流行時のペルー、リマ:4.0倍
  • ハリケーン「カトリーナ」発生時の米ニューオーリンズ:2.4倍
  • インフルエンザ大流行時のニューヨーク市:1.05倍

 

 記事へのリンク:https://www.nytimes.com/interactive/2020/06/10/world/coronavirus-history.html?smid=em-share

 

 


   2020年6月9日

 犬にわきの下の汗を嗅がせて新型コロナウイルスを検出することに成功

6月5日にフランスの研究チームがbioRxivのサーバー上で公表した査読前の研究論文において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した患者のわきの下の汗を犬に嗅がせることで、新型コロナウイルスを検出できると報告されました。この研究では、360人を超える被験者の脇の下から採取した臭いの検体からコロナウイルスの感染者を嗅ぎ分けるように、ベルジアン・シェパード・ドッグ・マリノアという犬種の犬8頭が訓練されました。検体は健康な人とCOVID-19の患者の両方から採取されました。訓練された犬がCOVID-19患者の検体を特定する試みの成功率は、全体で95%でした。まず犬をCOVID-19患者の臭いに慣れさせ、その臭いを感じたらその場に座るように訓練されました。試験では、1頭当たり15~68回の試行が行われました。4頭が満点の成績を示し、残りの犬も83%~94%の正解率でした。一方、コロナウイルスに感染していない健康な人からのものだと研究チームに伝えられた検体に対して、犬が陽性と判定したことが2回ありました。研究チームがその結果を医療機関にフィードバックしたところ、それらの患者に対して再検査が行われ、今度はウイルス陽性と判定されました。

研究チームが検体として脇の下の汗を選んだ理由は、室温で空気中に蒸発する化学物質を検出するという点ではこの部分の汗が最も効率が高く、なおかつ、病気を示唆する化学物質が多く含まれているからでした。また、人の汗には犬の健康を脅かすようなウイルスが含まれていないことも理由の一つでした。この概念実証研究は、犬は嗅覚が優れているため、SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)が作り出す特定の代謝物を嗅ぎつけることでCOVID-19の陽性者を陰性者と区別するよう訓練することができる、という仮説に基づいています。犬の嗅覚による検出は、様々な状況で有効であることが証明されています。すでに爆発物や薬物、紙幣の捜査に活用されています。人間の病気や様々ながんの早期発見、糖尿病患者の低血糖症やてんかん患者の発作の前兆を警告するなどの用途でも役立てられています。著者たちは、妥当性を検証するための研究の実施を望んでいて、そこで十分に高い感度と特異度が示されれば、国の関係当局がCOVID-19を検出するための補完的な手段として訓練した犬を採用する可能性もあり、具体的には標準的な血清検査やRT-PCR検査を行う器材や資金が不足している状況などでの利用が考えられます。

研究へのリンク:https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.06.03.132134v1.full.pdf+html

 


 

   2020年6月8日

 およそ3人に1人がコロナ対策として化学薬品や消毒剤を安全でない方法で使用している

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が始まって以来、洗浄剤や消毒剤への曝露について米国各地の中毒事故管理センターへの問い合わせが急増しています。米国疾病予防管理センター(CDC)は今年5月、国内の成人502人を対象として、問い合わせ急増の背景や、こうした製品についての人々の知識や使い方を調べるために、オプトイン方式のインターネット調査を実施しました。

同センターはその結果を、6月5日の週次報告書Morbidity and Mortality Weekly Reportで発表しました。この調査により、回答者の約39%が、漂白剤を食品に使用する、家庭用洗浄剤や消毒剤を皮膚に塗る、これらの製品を意図的に吸い込んだり摂取したりするなど、推奨されないリスクの高い使い方をしていたことが明らかになりました。リスクの高い使い方をしていた回答者では、その使用が原因と本人が考える健康への悪影響を経験したと回答する人の割合が多くなっていました。報告書には、「このような使い方は、組織に腐食などの深刻なダメージを与える危険性があり、絶対に行ってはならない」と記載されています。そして「回答者が報告した健康への悪影響の原因をリスクの高い使い方だと断定することはできないが、リスクの高い使い方と報告された健康への影響との関連をみれば、家庭内でのSARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)の感染予防を目的とする安全かつ有効な浄化方法について、公衆衛生的見地からの情報発信が必要である」と締めくくられています。

研究へのリンク:https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6923e2.htm?s_cid=mm6923e2_w#F2_down


 

   2020年6月4日

 新型コロナウイルスに対する抗体薬、初の治験が開始

製薬企業のイーライ・リリー社(本社はインディアナポリス)は今週、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けに開発したモノクローナル抗体薬について、初めて人に投与する臨床試験を開始しました。この抗体薬は、COVID-19から回復した患者の血液中で見つかった抗体を複製したヒト抗体製剤です。SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)に対する550以上の抗体を識別する新技術を用いて、患者の血液がスクリーニングされました。その中からこのウイルスに対する効果が特に高いとみられた抗体を1つ選別して、研究施設での生産が開始されました。抗体薬は点滴で投与する必要がありますが、疾患からの回復を促進できる可能性があります。また、ワクチンが利用できるようになるまでの間、感染した可能性のある高リスクの人々に対して予防的に使用することも可能でしょう。

発表へのリンク:https://www.biopharmadive.com/news/eli-lilly-abcellera-coronavirus-antibody-drug-first-trial/57898


 

  2020年6月3日

 新型コロナウイルスの抗体検査、実施のタイミングで偽陰性率に違い

ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、2020年5月13日のAnnals of Internal Medicine誌で発表された研究において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルスに感染したことがあるかどうかを調べる抗体検査の精度について、過去に発表された7つの研究の結果を解析しました。検査というものは完璧ではありません。検査対象の病気にかかっている人でも、ときに正常と判定されることがあります。つまり、偽陰性の結果が出るということです。検査対象の病気にかかっていない人が、ときに異常と判定されることもあります。つまり、偽陽性の結果が出る可能性もあるわけです。

今回の研究により、偽陰性の結果が出る可能性は検査のタイミングによって大きく変わってくることが明らかになりました。検査の実施日には、患者が感染した日から、症状が現れた日(典型的には5日目)、発症日より後の日までの幅がありました。偽陰性の確率は感染日に実施された場合では100%だったのに対して、感染後4日目で67%、発症日で38%、感染後8日目で20%(偽陰性率の最低値)となりました。8日目以降は、偽陰性の確率がまた上がり始めました。つまり、偽陰性率が最も低かったのは感染後8日目で、これは多くの場合、発症から3日後でした。著者たちは、偽陰性の可能性を最も低くすることを目標にするのであれば、これが最適なタイミングではないかと結論付けています。

研究へのリンク:https://www.acpjournals.org/doi/10.7326/M20-1495


 

  2020年6月2日

 下水から分かる新型コロナウイルスの感染拡大

便の中にSARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)のRNA(ウイルスの遺伝物質)が大量に排出されることが、研究により明らかにされています。そして、下水に含まれるCOVID-19のウイルスの痕跡を見つけて分析することで、ウイルスの有無とその量から感染の拡大や程度を推測することが可能になっています。下水の分析は感染拡大を監視する手段となる可能性があり、個人毎に検体を採取して検査することなく、より広い視点からパンデミック(世界的大流行)の状況を把握する簡便な方法になります。2020年5月14日にSmithonian Magazine誌で公表された論文では、ボストン在住の科学ジャーナリスト、Catherine J. Wu氏(ハーバード大学で微生物学と免疫学の博士号を取得)が、COVID-19のウイルス拡大を追跡する上で排水がどのように役立ち、便に排出されて下水道に流れたウイルスが人々の健康に及ぼす影響について論じています。

記事へのリンク:https://www.smithsonianmag.com/science-nature/how-wastewater-could-help-track-spread-new-coronavirus-180974858/

 
                                                                               

 

  2020年5月22日

 会話中の飛沫が空気中にとどまる時間と新型コロナウイルス感染におけるその重要性

2020年5月13日にProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)誌に発表された研究は、普通の会話中に出る飛沫は空気中にとどまる可能性があることを証明しました。研究者らは高感度レーザー光線を照射することで、参加者が「stay healthy(健康にお気をつけて)」と発話したときの飛沫を視覚化しました。この光線拡散法により、会話中に飛沫が放出されることが視覚的に示され、飛沫が空気中にとどまる時間が計測されました。この方法は、直径30μm以下の会話中の飛沫を特に高い感度で計測できました。このサイズの飛沫は、これまでの研究の主な対象であったより大きな飛沫よりも空気中にとどまる時間が長い可能性があります。大声で喋った場合はウイルスを含む飛沫核が毎秒数千個以上放出され、8分間以上も空気中に漂い続けると推測されます。無症候性のウイルス保有者が会話中に放出する飛沫は、新型コロナウイルスの可能な感染経路の1つと考えられるようになっています。この直接の視覚化は、普通の会話でも数十分以上漂うことのできる飛沫がいかに空気中に放出され、閉鎖された環境では明らかに新型コロナウイルスの感染経路となりうることを示しています。ただし、この研究はCOVID-19の感染の実例を取り上げたものではありません。

研究へのリンク:https://www.pnas.org/content/early/2020/05/12/2006874117

 
                                                                 

 

  2020年5月21日

 新型コロナウイルス患者の在宅看護に関するCDC勧告

米国疾病予防管理センター(CDC)は、COVID-19患者の在宅看護または医療環境以外での看護に関するガイドラインを最近発表しました。これは、COVID-19の症状がある患者や、無症候性だが検査で陽性結果が出た患者の看護に関する勧告です。勧告は広範囲にわたり詳細な情報を記載しています。CDCは、新型コロナウイルス患者の基本的ニーズを満たす方法について役立つ対策を提供しています。また、緊急医療を要する症状を特定しています。CDCは、介護者がウイルス感染を防ぐためにできることを詳しく説明しています。ガイドラインでは、新型コロナウイルス患者との接触を抑える方法、食事の与え方、新型コロナウイルス患者または介護者が布マスクまたは手袋を着用するべき場合を説明しています。家の中での手洗い、トイレの使用、掃除や消毒、洗濯のしかたに関する勧告も記載されています。また、自宅隔離の解除のしかたに関する指針も提供しています。

CDCガイダンスへのリンク:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/if-you-are-sick/care-for-someone.html

 
                                                        

 

  2020年5月19日

 COVID-19:感染伝播についての解説

マサチューセッツ大学(ダートマス市)のErin S. Bromage生物学准教授は、最近のブログ記事「リスクを知って、リスクを回避しよう」において、感染力のある量、ウイルスが広がりやすい場所やその広がり方、そして最もリスクが高い環境について説明しています。  同准教授はデータや研究結果を分かりやすい言葉で上手に解説しており、科学者ではない人でもよく理解できます。多くの人がCOVID-19ウイルスの広がり方をより理解することで、ウイルス感染を避ける上で適切な判断を下せるようになることが望まれます。

ブログ記事へのリンク:https://www.erinbromage.com/post/the-risks-know-them-avoid-them

 
                                                                 

 

  2020年5月13日

 小児多臓器系炎症性症候群とCOVID-19の関連性

ボストン小児病院は、COVID-19と関連する可能性がある最近の小児症候群の報告例について短い概要を発表しました。複数の臓器に影響を与える炎症性疾患(小児多臓器系炎症性症候群と呼ばれる)を伴う重症例が、少数ながらも欧州や米国の東部州で過去2~3週間に報告されています。報告はまだ断片的で、症状の内容は様々です。ただし、患者は発熱や様々な程度の臓器機能不全、重度炎症に対する複数の臨床マーカーを示しています。同症候群は時として重大なショック状態に進むことがあり、薬剤による血圧管理や人工呼吸が必要となります。

同症候群にかかった子供の多くはSARS CoV-2検査で陽性反応が出たため、現在のCOVID-19パンデミックと関連性があるとみられています。しかし、関連性はまだ不明です。

同症候群は川崎病と多少似ているものの、川崎病のすべての症状が発症するわけではありません。

まれながらも症例はきわめて重症です。同症候群にかかった子どもは治療に反応を示しているとみられるため、子どもの感染が疑われる場合は専門病院に紹介するべきです。

概要へのリンク:https://discoveries.childrenshospital.org/covid-19-inflammatory-syndrome-children/


 2020年5月8日

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は2019年12月下旬にはすでにフランスで広がっていた

フランスでは、12月下旬に重度の急性呼吸器症候群を伴って入院した患者の保存していた喀痰サンプルに対し、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査が行われました。RT-PCR検査とは、サンプル中に特定の源(ソース)からのRNAの量がどれくらいあるのかを研究者が判断するための技術です。サンプルの検査結果から、コロナウイルス陽性であることが判明しました。この結果から、フランスでの流行が当初考えられていたよりも早く始まっていたことが明らかになりました。この研究結果は、2020年5月3日にInternational Journal of Antimicrobial Agents誌(オンライン版)に発表されたものです。研究者たちは、2019年12月2日から2020年1月16日までの間にインフルエンザに似た症状を訴えてICUに入院した全患者(合計124名)の診療録を調べました。調査では、PCR検査で他の呼吸器ウイルスに対して陽性を示した患者を除外したほか、診療録でCOVID-19の典型的所見を示さない患者も除外しました。残った12名の鼻咽頭サンプルを検査しました。このうち1名のサンプルがCOVID-19に陽性反応を示しました。陽性となったサンプルは、42歳のアルジェリア人移民から採取したものであり、中国への旅行歴や中国との関連性はありませんでした。この患者は、喀血(せきとともに血が出ること)、せき、胸痛、頭痛、発熱が4日間続いており、2019年12月27日に救急病棟を受診しました。注目すべきは、この患者の症状が発現する前に、患者の子どもの1人にインフルエンザのような症状が現れていたことです。この論文には、病歴、臨床所見、臨床検査所見、放射線学的所見、この病気の臨床経過について記載されています。研究者たちは、2019年12月末にはすでにフランス人集団でこの病気が広がっていたと結論付けました。

研究へのリンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0924857920301643

                              


  2020年5月7日

 濃厚接触者を対象とした新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の伝播に関する研究

中国・深セン市のCOVID-19患者391名と濃厚接触者1286名を対象とした疫学研究がLancet誌に発表され、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の自然経過と伝播性に関する情報が示されました。研究者たちは大規模な一次データのセットを用いることで、ウイルスの潜伏期間、回復までの期間、伝播性を明らかにすることができました。興味深いことに、濃厚接触者における二次発病率は平均して7%近くであることが分かりました。一緒に暮らす人々など非常に密な濃厚接触者の間の伝播は、接触者6人に1人未満の割合でした(すなわち、二次発病率は11%~15%)。

この研究から、子どもも成人と同じくらい感染する可能性が高いという結果が強調されました。子供が健康を害することはそれほど多くはないですが、重大な伝播源として見逃してはなりません。この研究では、コミュニティにおけるSARS-CoV-2の広がりを抑えるために、接触者を対象とした監視の有用性も示しました。

研究へのリンク:https://www.thelancet.com/pdfs/journals/laninf/PIIS1473-3099(20)30287-5.pdf


  2020年5月5日

 若年・中年のCOVID-19感染患者における大血管性脳卒中

New England Journal of Medicine誌は2020年4月28日、50歳以下のCOVID-19感染患者における大血管脳卒中の5症例を報告しました。最も若かったのは33歳の女性でした。報告された5名は、3月下旬から4月上旬までの2週の間に、ニューヨーク市のマウントサイナイ・ヘルスシステムで脳卒中症状を呈した50歳未満の患者全員に相当します。2週間で5名という割合は、前年の平均2週間における同年齢群(50歳未満)の脳卒中患者数の約7倍であり、脳卒中とCOVID-19との間に非常に強い相関があることを示しています。

Ariana Eunjung Cha氏は、この憂慮すべき現象とCOVID-19に罹患した若年・中年患者で脳卒中の報告が増えていることについてWashington Postに記しています。

ニュース記事へのリンク:https://www.washingtonpost.com/health/2020/04/24/strokes-coronavirus-young-patients/

                


  2020年4月29日

 イェール大学公衆衛生学部の研究から、鼻咽頭ぬぐい液の代わりに唾液検体が有望であることが判明

イェール大学公衆衛生学部は、COVID-19の入院患者44名とCOVID-19病棟で働く医療従事者98名を対象に、唾液検体と鼻咽頭ぬぐい液検体を比較する研究を実施しました。この研究は、2020年4月24日にMichael Greenwood氏によりYale Newsで報告されました。研究は小規模で限定的でしたが、現在の標準法である鼻咽頭ぬぐい液を使用する代わりに、唾液検体を使用する方が極めて有望であることが示されました。同一患者での感染経過を通して、唾液検体は鼻咽頭ぬぐい液検体と比較して、検出感度が高く、一貫性が高いことが研究から確認されました。また、自己検体採取のばらつきも少ないことから、唾液検査は、COVID-19の検査に変革をもたらす可能性があります。唾液検査は体を傷つけたり、鼻咽頭用綿棒を使用したりせず簡単に自己採取できるため、患者との直接的な接触や現行の検査方法の使用によるリスクや障害がなくなり、綿棒や個人保護具(PPE)などの医療資材の使用削減にもつながります。この研究は査読の対象ではなく、研究結果は、プレプリントサーバーのmedRxivで現在公開されています。

 研究へのリンク:https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.16.20067835v1.full.pdf+html

 
                   

 

  2020年4月28日

 WHOが「免疫パスポート」に関するガイダンスを発出

世界保健機関(WHO)は2020年4月24日、SARS-CoV2(新型コロナウイルスのこと)の抗体検査で陽性でも、COVID-19の再感染や発症を防げる証拠はないと警告しました。WHOは、行動規制緩和の目安として抗体検査を利用することや、2回目の感染から守られる保証として『免疫パスポート』や『リスクゼロ証明書』を発行することのないよう、政府に呼びかけています。COVID-19の感染症から回復した人や抗体検査で陽性の人が、職場に復帰できたり安全に旅行できる保証はありません。WHOは「世界的感染拡大の現時点では、抗体を介する免疫の効果について証拠が十分に得られていないため、『免疫パスポート』や『リスクゼロ証明書』の正確性は保証できません。」と述べました。

WHOはさらに、迅速な免疫診断検査をはじめ、SARS CoV2の抗体を検出する臨床検査については、正確性と信頼性を確認する検証が引き続き必要であると指摘しました。免疫診断検査では、患者を次の2パターンに誤って分類することがあります。感染している人を誤って陰性と診断するパターン(偽陰性)と、感染していない人を誤って陽性と診断するパターン(偽陽性)です。どのような抗体検査でも、検査の正確性(偽陰性率、偽陽性率)を確認することが必要です。偽陰性または偽陽性が出ると、深刻な結果がもたらされ、感染制御の取組みに影響を及ぼします。

 WHOの声明へのリンク:https://www.who.int/news-room/commentaries/detail/immunity-passports-in-the-context-of-covid-19                      


 

  2020年4月27日

 COVID-19で入院した患者の特徴

2020年3月1日から4月4日までの間にCOVID-19が確認され、ニューヨーク市地域の病院に次々に入院した5700名の患者の大規模症例シリーズが、2020年4月22日にJAMA Network誌(オンライン版)に発表されました。この研究は、COVID-19患者の臨床的特徴、別の病気の併存状態、経過について包括的に記述しています。特筆すべきことは、多くの患者が高血圧(57%)、肥満(42%)、糖尿病(34%)などの他の医学的問題を持っていたことです。初期診療の時点で発熱があったのはわずか31%でした。この研究は、研究期間中に退院(2090名)または死亡(553名)した患者2643名に焦点を当てました。これらの転帰に至った患者グループでは、人工呼吸を受けた320名のうち88%が死亡し、人工呼吸を受けた65歳以上のうち97%が死亡しました。注目すべきは、経過結果のデータが収集された時点で、3066名の患者が依然として入院しており、このなかには当然、人工呼吸を必要とする65歳以上の患者が数多く含まれ、その時点まで生存していたことです。

 研究へのリンク:https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2765184  


  2020年4月24日

 COVID-19に対するヒドロキシクロロキンの研究

ヒドロキシクロロキンに対する当初の期待と多大な支持は、有効性と潜在的副作用への懸念から、薄らいでいます。Science誌(4月21日付、オンライン版)のレビュー論文(1)にまとめられた最近のいくつかの研究と報告(以下に記載)が、この懸念の理由について説明しています。

COVID-19で入院した退役軍人368名を対象に、ヒドロキシクロロキン単独投与群、ヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン併用投与群、ヒドロキシクロロキン非投与群の転帰を解析した論文(2)が4月21日に発表されました。この研究では、死亡率の低下や人工呼吸器の必要性に関して、ヒドロキシクロロキン単独投与グループとヒドロキシクロロキン+アジスロマイシン併用投与グループの有益性は示されませんでした。ヒドロキシクロロキンのみの投与を受けたグループでは、原因を問わない死亡率が高くなっていました。

4月7日に発行されたMayo Clinic Proceedings誌(3)では、クロロキンとヒドロキシクロロキンに起因する心臓合併症について説明が掲載され、医師に向けて、この致死的な合併症のモニタリングと回避のためのガイダンスが提示されました。執筆者はこの合併症のリスク因子をリスト化し、投与前のこれらの因子のスクリーニング、修正が可能なリスク因子の修正、投与中の患者の心臓モニタリングを推奨しました。

ニューヨーク大学医学部の研究(4)では、SARS CoV2に感染した成人患者84名にヒドロキシクロロキン+アジスロマイシンを併用投与し、心臓の変化を調べました。11%の患者に重大な心臓の変化が認められ、心臓リズムが異常(不整脈)になるリスクが高いことが示されました。

COVID-19の入院患者に高用量および低用量のクロロキンを(セフトリアキソンとアジスロマイシンを併用して)投与したブラジルの盲検ランダム化臨床試験(5)では、高用量群で死亡率が高いことを試験担当医師が発見し、わずか81名の患者が登録された後、試験が早期中止となりました。

参考文献

1. Servick K: Antimalarials widely used against COVID-19 heighten risk of cardiac arrest. How can doctors minimize the danger? Science April 21, 2020. https://www.sciencemag.org/news/2020/04/antimalarials-widely-used-against-covid-19-heighten-risk-cardiac-arrest-how-can-doctors

2. Magagnoli J, Siddharth N, Pereira F, et al: Outcomes of hydroxychloroquine usage in United States veterans hospitalized with Covid-19. April 23, 2020. PREPRINT medRxiv available at https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.16.20065920v2. doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.16.20065920

3. Giudicessi JR, Noseworthy PA, Friedman PA, et al: Urgent Guidance for Navigating and Circumventing the QTc-Prolonging and Torsadogenic Potential of Possible Pharmacotherapies for Coronavirus Disease 19 (COVID-19). Mayo Clin Proc 2020 Apr 7 doi: 10.1016/j.mayocp.2020.03.024 [Epub ahead of print]

4. Chorin E, Dai M, Schulman E, et al: The QT interval in patients with SARS-CoV-2 infection treated with hydroxychloroquine/azithromycin. April 3, 2020. PREPRINT medRxiv available at https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.02.20047050v1. doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.02.20047050

 5. Silva Borba MG, de Almeida Val F, Sampaio VS, et al: Chloroquine diphosphate in two different dosages as adjunctive therapy of hospitalized patients with severe respiratory syndrome in the context of coronavirus (SARS-CoV-2) infection: Preliminary safety results of a randomized, double-blinded, phase IIb clinical trial (CloroCovid-19 Study). April 16, 2020. PREPRINT medRxiv available at https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.04.07.20056424v2 doi: https://doi.org/10.1101/2020.04.07.20056424

          


 

  2020年4月23日

 全国的なCOVID-19検査のアクションプランが提言される

ロックフェラー財団は、COVID-19の検査と陽性結果の綿密な追跡調査に基づき、経済活動と社会活動を再開するための包括的プラン(2020年4月21日付、下記リンクを参照)を提言しました。このプランの目標は、労働者のモニタリング、アウトブレイク再発の早期発見、診断検査・在宅検査という目標を通して、経済活動の再開を支える国家主導のCOVID-19検査プログラムを構築することです。このプランは主に次の3つで構成されます。

  • 1つ目は、COVID-19の検査件数を現在の1週間あたり100万件から劇的に拡大し、今後8週間で1週間あたり300万件、次の6ヵ月間で1週間あたり3000万件の検査を行えるようにすることです。これを行うには、全米の国立研究機関、大学研究機関、何千もの地方の小規模検査機関に対し、検査能力の拡充に向けた投資と支援が必要になります。
  • 2つ目は、検査を管理し、陽性患者の接触者を追跡するためのトレーニングを受けた医療従事者チームを発足させることです。同財団は、州の公衆衛生部門を中心に編成することを提言しています。同財団はまた、10万~30万名の人員を雇用し、コンピュータネットワークと多数の電子医療記録を紐づけてこれらの人員をサポートする必要があることを提言しています。
  • 3つ目は、リアルタイム解析と感染の追跡を円滑化するため、連邦、州、民間のデータプラットフォームを統合し、拡大していくことです。これを行うことで、COVID-19のアウトブレイク再発が突き止められ、検査量の急増に対応し、追跡調査を行えるようになります。

ロックフェラー財団が提案するこの白書は、優れたアイデアに富んでおり、必読です。この大規模プランには、数多く点在するコンピュータ化されたデータについてプラットフォームを統合していくことが求められます。これらはすべて、プライバシーと感染制御の必要性のバランスを取る必要があります。

プランへのリンク:https://www.rockefellerfoundation.org/wp-content/uploads/2020/04/TheRockefellerFoundation_WhitePaper_Covid19_4_21_2020.pdf


  2020年4月21日

 データにない28,000件の死亡:コロナウイルス危機による本当の死亡者数を追跡

2020年4月21日のNew York Times誌でJin Wu氏およびAllison McCann氏は、11ヵ国の死亡者数データのレビューを行ったところ、これらの国では過去数年と比較して死亡者数が大きく増えていることが示されたことを報告しました。著者は今年の総死亡者数を過去の同期間の平均と比較し、各国の超過死亡数を推定しました。その結果、先月のコロナウイルスパンデミック中の死亡者数は、COVID-19の死亡者数に関する公式の報告よりも少なくとも28,000件は多いことが分かりました。ほとんどの国では、COVID-19の死亡者について医療機関で発生したものしか報告しないため、報告されないCOVID-19による死亡者が多く存在します。この研究で明らかになった28,000件の超過死亡には、COVID-19による死亡のほか、医療機関に人が殺到した影響で治療を受けられなかった他の疾患の患者など、他の原因による死亡も含まれます。この記事から、全世界のCOVID-19の死亡者数は、検査で確定されたCOVID-19の死亡報告数よりはるかに多いことが示唆されます。この傾向を国ごとに分かりやすくグラフで表した記事が以下のリンクから閲覧できます。

ニュース記事へのリンク:https://www.nytimes.com/interactive/2020/04/21/world/coronavirus-missing-deaths.html?smid=em-share

 


 

 2020年4月16日

 NIHによる血清抗体調査でボランティアを募集中

米国におけるCOVID-19パンデミックの規模を明らかにするため、NIHは10,000名のボランティアを登録しています。COVID-19の感染確定歴がある人や現在COVID-19の症状がある人は、参加の対象外となります。「この調査では、(中略)様々なコミュニティで、自覚のないまま感染していた人の数がわかる。無自覚の理由には、症状が非常に軽かった、記録されていない病状だった、具合が悪かったときに検査を受けなかったことなどがある」とNIAID所長のAnthony S. Fauci氏(MD)は述べました。…研究者らは、血液検体を採取して分析し、Sars-CoV-2タンパク質に対する抗体を調べます。検査結果は、その集団で検出されずに広がっていた感染の規模を解明する手がかりとなります。自宅用採血キットと微量血液検体の採血説明書を参加者に発送し、分析のために返送してもらう予定です。この調査への参加にご関心を持たれた方は、以下に連絡してください:clinicalstudiesunit@nih.gov

ニュースリリースのリンク:https://www.nih.gov/news-events/news-releases/nih-begins-study-quantify-undetected-cases-coronavirus-infection



 

 

 2020年4月15日

 著明な科学者たちからコロナウイルス抗体検査に関する悪い知らせ

私たちの体は感染症に対抗するため、感染に反応して抗体を作ります。抗体検査とは、この抗体の有無を測定し、感染歴のある人を特定する検査です。しかし、結果が陽性の場合、感染歴があることは分かりますが、必ずしも体からウイルスが消失しているとは限らず、また消失していたとしても、再感染しないことを保証するものではありません。また、抗体検査には多くの種類があり、精度もまちまちです。

2020年4月15日のCNNの記事によると、トップの科学者たちが、COVID-19用に開発された抗体検査の問題点をホワイトハウス当局に報告しました。Elizabeth Cohen氏(CNN上級医療担当記者)は、米国における抗体検査の開発について複数の問題を特定しました。

1つ目は、FDAが規則を緩和したため、企業は抗体検査の性能を示さずに販売できることです。そのため、米国公衆衛生臨床試験協会(American Public Health Lab Association)は「悪質な」検査キットが市場にあふれていると述べています。一部の検査では、風邪の原因となる別のコロナウイルスに対する抗体を検出する可能性があり、COVID-19の検査で偽陽性となる懸念があります。

2つ目は、慎重な規制を行っていないため、良質な抗体検査と悪質な抗体検査とを区別することができないことです。

3つ目は、COVID-19の再感染を防ぎ、おそらくウイルスを他者に広げないであろうと考えられる抗体レベルがまだわからないことです。このような質問に答えるにはより多くの臨床試験が必要となりますが、これは社会と経済に重大な意味を持ちます。

幸い、FDA長官のStephen Hahn博士が抗体検査に対する科学的審査を実施すると述べていることが報告されています。

記事へのリンク:https://www.cnn.com/2020/04/14/health/coronavirus-antibody-tests-scientists/index.html


 

 2020年4月14日

 コロナウイルスによる致死率を1つの数値にまとめられない理由

Johnathan Fuller博士(MD、PHD)は、刻々と変わるCOVID-19の統計について幅広い視点で説明した明確な記事を執筆しました。オンラインジャーナルThe Conversation(2020年4月10日付)の記事で博士は、統計とモデルが異なる理由を説明しています。博士の知見は、読者にCOVID-19パンデミックについて報告された大量の疫学情報を解釈する際に役立つ枠組みと視点を与えてくれます。公衆衛生政策や個別の症例で最善の決定を下すには、数値だけではなく、モデルをより深く理解する必要があります。

記事へのリンク:Why coronavirus death rates cant be summed up in one simple number


 

2020年4月10日

 スマートフォンアプリはパンデミック克服に役立つか?

 米国国立衛生研究所(NIH)所長のFrancis Collins博士が2020年4月9日、興味深い記事を投稿しました。NIH所長は自身のブログで、COVID-19パンデミック克服に向けて、濃厚接触者の追跡と通知のためにスマートフォンの利用の協力要請について述べました。公衆衛生担当チームが一般市民と電話や対面で話す従来の方法は、非常に時間がかかります。時間にロスがあると、ウイルスにさらされた個人の発見や通知が遅れるため、感染拡大を許してしまうことになります。スマートフォンの無線Bluetooth技術を利用するデジタル追跡機能によって、COVID-19を制御する可能性を高めることができます。中国の研究では、濃厚接触追跡アプリの利用とCOVID-19感染の抑制持続との相関関係が示されました。Collins博士は、主要な倫理的、法的、社会的問題についても触れています。

ブログ記事へのリンク:https://directorsblog.nih.gov/author/collinsfs/


 

2020年4月9日

臨床試験に入った新たな抗ウイルス薬がCOVID-19の治療にもたらす希望

 

EIDD-2801という新薬が、新型コロナウイルスSars-CoV-2による肺損傷の治療に有望であることが示されています。 EIDD-2801は、RNA依存RNAポリメラーゼに対する抗ウイルス作用を持つリボヌクレオシド類似体であり、ノースカロライナ大学チャペルヒル校ギリングス・グローバル公衆衛生学部の研究者たちによって開発されました。直近の研究結果は、2020年4月6日にScience Translational Medicine誌で公表されました。公表された研究から、EIDD-2801はSARS-Cov-2に感染させた培養ヒト肺細胞を保護することができることが明らかになりました。この薬剤は、その他の重篤なコロナウイルス感染症の治療にも有効であると考えられています。マウスを用いた実験では、COVID-19関連のウイルス感染症の発現から12~24時間後にEIDD-2801を投与すると、肺の損傷と体重減少が有意に抑制されたことが明らかになりました。もう1つのメリットは、他の治療は静脈内投与する必要があるのに対して、この薬剤は経口投与できることです。投与が容易なため、軽症者の治療や感染予防に有望です。

研究へのリンク:https://stm.sciencemag.org/content/early/2020/04/03/scitranslmed.abb5883

 


2020年4月8日

COVID-19ワクチン候補が有望であることが研究から判明

ScienceDailyの掲載記事からの興味深いニュース

 

ピッツバーグ大学医学校の研究者は、COVID-19に対するワクチン候補を発表しました。このワクチンをマウスに接種したところ、ウイルス中和に十分な量のSars-CoV-2特異抗体が産生されました。2020年4月2日、Lancetが発行するEBioMedicineに研究の詳細を記した論文が掲載されました。初期のコロナウイルス流行中に築いた基礎を用いて、このワクチンはコロナウイルスのスパイクタンパク質を標的としています。免疫を構築するために、このワクチンは研究所で作成したウイルスタンパク質の断片を用いて製造されています。これは現在のインフルエンザワクチン作成と同じ方法です。研究者たちは効き目を高めるために、マイクロニードルアレイという新たな薬物送達方法を用いています。この研究の共同筆頭著者は「患者を対象とした試験には通常少なくとも1年、おそらくそれ以上の時間が必要となります」と述べています。

研究へのリンク:https://www.thelancet.com/journals/ebiom/article/PIIS2352-3964(20)30118-3/fulltext#coronavirus-linkback-headerr

ニュース記事へのリンク:https://www.sciencedaily.com/releases/2020/04/200402144508.htm

 


2020年4月6日

新たな報告で、COVID-19重症患者でヒドロキシクロロキンとアジスロマイシン併用のベネフィットは認められず

重症患者を対象にヒドロキシクロロキンとアジスロマイシン併用を検討する小規模試験では、これらの薬剤の併用による強力な抗ウイルス作用または臨床的ベネフィットを示すエビデンスは認められませんでした。  この試験の対象患者はわずか11名であり、そのうち8名は高リスクの基礎疾患を持っていました。この試験は、薬剤の有効性や安全性について意味のある統計解析を行ったり、結論を導くには小規模すぎるといえます。しかし、この報告は以前にフランスの試験で示唆された、COVID-19重症患者に対する併用療法の抗ウイルス効果に疑問を投げかけるものです。

研究へのリンク:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0399077X20300858?via%3Dihub

 


2020年4月6日

特に市中感染が著しい地域での布マスク着用をCDCが推奨

コロナウイルスの感染者はかなりの割合で症状がなく、最終的に症状が出る人でも、症状がない時期からウイルスは感染します。  つまり、症状が現れていなくても、近距離で話をしたり、せきやくしゃみをすると、ウイルスが広がる可能性があるということです。 これを踏まえ、CDCは特に市中感染が著しい地域では、他者との社会的距離を保つのが困難な公共の場所(食料品店や薬局など)で布マスクを着用するよう推奨しています。簡易的な布マスクを使用することで、ウイルス感染の拡大は遅くなり、ウイルスに感染していることに無自覚なまま他者に感染させている人に役立ちます。  自発的な公衆衛生対策として、家庭用品や自宅によくある材料を使って低コストの布マスクを手作りし、用いることもできます。

なお、感染拡大を遅らせるためには、6フィート(約1.8メートル)の社会的距離を保つことが引き続き重要であることを強調することが極めて重要です。 

推奨している布マスクは、サージカルマスクやN95マスクではありません。  最新のCDCガイダンスで推奨されているように、これらは医療従事者やその他の医療救援隊員のために確保しておかなければならない重要な物資です。

CDCの推奨の全文については、以下を参照してください:https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/cloth-face-cover.html



COVID-19情報ポータルページ

 

   2020年6月4日

 新型コロナウイルスに対する抗体薬、初の治験が開始

インディアナポリスに本社を置く製薬企業のイーライ・リリー社は今週、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けに開発したモノクローナル抗体薬について、初めて人に投与する臨床試験を開始しました。この抗体薬は、COVID-19から回復した患者の血液中で見つかった抗体を複製したヒト抗体製剤です。SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)に対する550以上の抗体を識別する新技術を用いて、患者の血液がスクリーニングされました。その中からこのウイルスに対する効果が特に高いとみられた抗体を1つ選別して、研究施設での生産が開始されました。抗体薬は点滴で投与する必要がありますが、疾患からの回復を促進できる可能性があります。また、ワクチンが利用できるようになるまでの間、感染した可能性のある高リスクの人々に対して予防的に使用することも可能でしょう。

発表へのリンク:https://www.biopharmadive.com/news/eli-lilly-abcellera-coronavirus-antibody-drug-first-trial/578980/


 

   2020年6月4日

 新型コロナウイルスに対する抗体薬、初の治験が開始

インディアナポリスに本社を置く製薬企業のイーライ・リリー社は今週、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けに開発したモノクローナル抗体薬について、初めて人に投与する臨床試験を開始しました。この抗体薬は、COVID-19から回復した患者の血液中で見つかった抗体を複製したヒト抗体製剤です。SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)に対する550以上の抗体を識別する新技術を用いて、患者の血液がスクリーニングされました。その中からこのウイルスに対する効果が特に高いとみられた抗体を1つ選別して、研究施設での生産が開始されました。抗体薬は点滴で投与する必要がありますが、疾患からの回復を促進できる可能性があります。また、ワクチンが利用できるようになるまでの間、感染した可能性のある高リスクの人々に対して予防的に使用することも可能でしょう。

発表へのリンク:https://www.biopharmadive.com/news/eli-lilly-abcellera-coronavirus-antibody-drug-first-trial/578980/


 

   2020年6月4日

 新型コロナウイルスに対する抗体薬、初の治験が開始

インディアナポリスに本社を置く製薬企業のイーライ・リリー社は今週、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けに開発したモノクローナル抗体薬について、初めて人に投与する臨床試験を開始しました。この抗体薬は、COVID-19から回復した患者の血液中で見つかった抗体を複製したヒト抗体製剤です。SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)に対する550以上の抗体を識別する新技術を用いて、患者の血液がスクリーニングされました。その中からこのウイルスに対する効果が特に高いとみられた抗体を1つ選別して、研究施設での生産が開始されました。抗体薬は点滴で投与する必要がありますが、疾患からの回復を促進できる可能性があります。また、ワクチンが利用できるようになるまでの間、感染した可能性のある高リスクの人々に対して予防的に使用することも可能でしょう。

発表へのリンク:https://www.biopharmadive.com/news/eli-lilly-abcellera-coronavirus-antibody-drug-first-trial/578980/


 

   2020年6月4日

 新型コロナウイルスに対する抗体薬、初の治験が開始

インディアナポリスに本社を置く製薬企業のイーライ・リリー社は今週、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)向けに開発したモノクローナル抗体薬について、初めて人に投与する臨床試験を開始しました。この抗体薬は、COVID-19から回復した患者の血液中で見つかった抗体を複製したヒト抗体製剤です。SARSコロナウイルス2(新型コロナウイルスの正式名称)に対する550以上の抗体を識別する新技術を用いて、患者の血液がスクリーニングされました。その中からこのウイルスに対する効果が特に高いとみられた抗体を1つ選別して、研究施設での生産が開始されました。抗体薬は点滴で投与する必要がありますが、疾患からの回復を促進できる可能性があります。また、ワクチンが利用できるようになるまでの間、感染した可能性のある高リスクの人々に対して予防的に使用することも可能でしょう。

発表へのリンク:https://www.biopharmadive.com/news/eli-lilly-abcellera-coronavirus-antibody-drug-first-trial/578980/