髄膜炎とはどのような病気ですか?
髄膜炎は、脳と脊髄をおおう組織の層(髄膜といいます)の感染症です。髄膜炎は多くの場合、ウイルスが原因ですが、最も深刻な種類の髄膜炎は細菌が引き起こします。ウイルス性髄膜炎と細菌性髄膜炎はどちらも脳に問題を引き起こす可能性があります。
年長の子どもが髄膜炎にかかると、ふつう、首が硬くなり、熱が出て、頭痛がします。
赤ちゃんが髄膜炎にかかると、ふつう、(抱いていても)ぐずったり、あまり食べなかったり、吐いたりします。
医師は、腰椎穿刺と血液検査で、子どもが髄膜炎だと分かります。
ワクチン(健康な子どもを特定の感染症から守るために必要な予防接種)は、髄膜炎を引き起こす細菌感染症の一部の予防に役立ちます。
医師は抗菌薬で細菌性髄膜炎を治療します。
治療を受けても髄膜炎で死んでしまうことがあります。
髄膜炎の原因は何ですか?
髄膜炎は細菌感染症かウイルス感染症が原因で起こります。
生まれたばかりの赤ちゃんの髄膜炎はふつう、血液の細菌感染症から起こります。この感染症は、母親の産道の中の細菌によって引き起こされます。
成長した赤ちゃんや子どもはふつう、病気にかかっている人とのふれあいから髄膜炎にかかります。ワクチンによって、細菌性髄膜炎の原因のいくつかは非常にまれなものになりました。
髄膜炎にかかる可能性が最も高いのはどのような人ですか?
すべての赤ちゃんや子どもが髄膜炎にかかる可能性がありますが、特定の赤ちゃんや子どもでは、危険性が高くなります。たとえば次のような場合です:
過去数日以内に髄膜炎にかかった人とふれあった
がんやけがで脾臓(おなかの左上にある臓器)を取り除いた
顔や頭に生まれつきの異常がある
髄膜炎にはどのような症状がありますか?
髄膜炎の症状は年齢によってちがいます。どの年齢でも細菌性髄膜炎の症状はとても急に悪くなります。病気の子どもが、異常なほど眠くなったり、混乱しているようなふるまいを始めたりするのは「注意すべき徴候」です。病気の子どもの目が完全に覚めなかったり、いつもどおりに行動しなかったりしたら、すぐに病院に連れて行く必要があります。
12カ月未満の赤ちゃんでは、初めに次のような症状があります:
抱いても、ぐずったり機嫌が悪かったりする
食べたがらなかったり、あまり食べなかったりする
熱が高かったり低かったりする
吐く
発疹が出る
けいれん発作を起こす
生後3カ月未満の赤ちゃんの頭のやわらかい部分(泉門)が腫れる
年長の子どもや10代の若者では、多くの場合、髄膜炎はかぜから始まります。その後、次のような症状が現れます:
熱が出る
頭が痛くなる
首が硬くなる
けいれん発作を起こす
これらの症状のある子どもは、すぐに眠くなったり混乱したりして、救急治療が必要になることがあるため、注意して観察するようにしてください。
医師はどのようにして、私の子どもが髄膜炎かどうかを判断しますか?
医師はあなたのお子さんの症状から髄膜炎ではないかと疑います。確かめるために、医師は次のことをする場合があります:
血液検査
赤ちゃんの腰椎穿刺をする前に、医師はときどき 超音波検査 超音波検査 超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を用いて内臓などの組織の画像を描出する検査です。プローブと呼ばれる装置で電流を音波に変換し、この音波を体の組織に向けて発信すると、音波は体内の構造で跳ね返ってプローブに戻ります。これは再度、電気信号に変換されます。コンピュータが、この電気信号のパターンをさらに画像に変換してモニター上に表示するととも... さらに読む や CT検査 CT検査 CT検査(以前はCAT検査とよばれていました)では、X線源とX線検出器が患者の周りを回転します。最近の装置では、X線検出器は4~64列あるいはそれ以上配置されていて、それらが体を通過したX線を記録します。検出器によって記録されたデータは、患者の全周の様々な角度からX線により計測されたものであり、直接見ることはできませんが、検出器からコンピ... さらに読む で他の問題を探します。
医師は髄膜炎をどのように治療しますか?
子どもに細菌性髄膜炎がある場合、医師は次のことをします:
抗菌薬を静脈から与える
場合によって、コルチコステロイドを静脈から与える
子どもが特定の種類のウイルス性髄膜炎の場合、医師は抗ウイルス薬を与えることがあります。ふつうは、イブプロフェンなどの痛みと発熱に対する薬だけが医師から出されるでしょう。
たとえ治療しても、一部の赤ちゃんや子どもは、死んでしまったり、細菌性髄膜炎による問題が長く残ったりします。
髄膜炎はどうすれば予防できますか?
細菌性髄膜炎の多くは、 ワクチン 髄膜炎菌ワクチン 髄膜炎菌ワクチンは、髄膜炎菌 Neisseria meningitidisによる感染症を予防します。 髄膜炎菌感染症は 髄膜炎(脳を覆う組織の感染症)や 危険な水準の血圧低下(ショック)につながり、死に至ることもあります。これらの細菌は、 小児の細菌性髄膜炎の原因として最も多く、... さらに読む で予防できる可能性があります。
細菌性髄膜炎にかかっている人とふれあった子どもは、多くの場合、感染を予防するために抗菌薬が与えられます。