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育児休業を取った父親は赤ちゃんへの拒絶感が強い?――国内ネット調査

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22年5月9日 By HealthDayJapan HealthDay Reporter
育児休業を取った父親は赤ちゃんへの拒絶感が強い?――国内ネット調査

父親が育児休業を取得することは、父子のボンディング(親の子どもに対する情緒的な絆)の強化につながらず、かえってマイナスの影響が生じてしまう可能性のあることを示唆する結果が報告された。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学分野の藤原武男氏らの研究結果であり、詳細は「International Journal of Environmental Research and Public Health」に4月2日掲載された。

本年4月に育児・介護休業法が改正され、男性の育児休業取得がより強く推奨されるようになった。しかし、父親の育休取得と子どもとの絆との関連は明らかになっていない。米国では良い影響が生まれるとの報告がある一方で、ドイツからは負の影響の懸念が報告されている。藤原氏らは、全国規模で実施されたインターネット調査「日本におけるCOVID-19問題による社会・健康格差評価研究(JACSIS研究)」のデータを用いて、この点に関する検討を行った。

JACSIS研究の回答者の中から、2歳未満の子どもがいて、妻(パートナー)が現在妊娠中ではないなどの条件を満たす1,194人の父親を解析対象とした。子どもとの絆の強さは、「日本語版赤ちゃんへの気持ち質問票(MIBS-J)」という指標で評価した。MIBS-Jは、「赤ちゃんをいとおしいと思う」、「赤ちゃんのためにしなくてはいけないことがあるのに、どうすれば良いかわからない時がある」などの10項目の質問からなる。合計30点満点で、得点が高いほど赤ちゃんへの否定的な感情が強いことを示している。また、下位尺度として「愛情の欠如」と「怒りと拒絶」の2項目を評価可能。

このほか共変量として、年齢、教育歴、就労状況、世帯収入、子どもの人数と年齢、心理的ストレス(K6スコア)、祖父母(回答者の親)の子育て支援状況、里帰り出産か否かなどを質問した。

解析対象者の33.5%が育児休業を取得していた。育児休業取得群と非取得群を比べると、平均年齢はどちらも約35歳で差はなかった。共変量として把握した前記の項目のうち、祖父母からの支援ありの割合が、育児休業取得群(58.0%)より非取得群(71.0%)の方が高いという違いがあったものの(P<0.001)、その他の因子は全て有意差がなかった。

祖父母からの支援の有無を含む共変量の影響を統計的に調整した結果、以下のように、育児休業取得群の方がMIBS-Jの総合スコアが高く(赤ちゃんへの否定的な感情が強く)、下位尺度の「怒りと拒絶」のスコアが高いことが明らかになった。MIBS-J総合スコアはβ=0.51(95%信頼区間0.06~0.96)、「怒りと拒絶」のスコアはβ=0.26(同0.03~0.49)と有意差を認めたが、「愛情の欠如」のスコアは有意差を認めなかった。また、子どもの年齢(6カ月単位で4群に分類)の違いは、MIBS-Jスコアに影響を及ぼしていなかった。

父親の育児休業取得が赤ちゃんに対する拒絶感を強めてしまう可能性が示されたわけだが、著者らは既報研究を基にそのメカニズムを3つにまとめている。具体的には、父親の子育てに関する自信の欠如、育児休業中に孤独感を抱きやすいこと、育児休業を取得することの罪悪感が、理由として想定されるとのことだ。論文の結論では、これらの考察の上で、「育児休業を取得して子どもと長期間過ごすことは、ふだん仕事に専念している父親にとって、依然として困難な経験となり得る。育児休業取得前に育児教室への参加を促すなどの対策が必要ではないか」と提言している。(HealthDay News 2022年5月9日)

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