コメンタリー:睡眠障害を克服する5つの方法
コラム22年3月8日 執筆者: MSDマニュアル

誰もが皆そうしていることですが、私たちは、体を休めて明日に備えるために眠る必要があると分かっているから、ベッドの上で横になります。しかし、数えきれないほどある多くの理由の一つのために、私たちは眠りにつけないことがあります。電話に気を取られることもあれば、ただ脳のスイッチが切れないように感じることや、午後に飲んだコーヒーの効き目が残っている感じがすることもあります。眠ろうとすること(そして結局眠れないこと)ほど悩ましいことはありません。

人は一生の3分の1を睡眠に費やしていますが、脳と体について眠りが果たしている役割は、まだ完全に解明されてはいません。幸い、睡眠のさまざまな段階とそれらが休息にどのような影響を及ぼしているかについては、多くのことが分かっています。通常は毎晩、4つの段階の睡眠が数回繰り返されることが知られています。最初の3つの段階はノンレム(非急速眼球運動)睡眠で、4つ目の段階はレム(急速眼球運動)睡眠です。「深い眠り」として知られるノンレム睡眠の第3段階は、質の高い睡眠とされていて、夜が更けるにつれて、レム睡眠に費やされる時間が長くなります。

一般に、ぐっすり眠る秘訣は、深い眠りとレム睡眠に費やす時間を最大にすることです。よりよい睡眠を得る5つの方法は次のとおりです。

1. 自分にどのくらいの睡眠が必要かを把握しておきましょう

成人にはどのくらいの睡眠が必要でしょうか。その答えはさまざまですが、大半の人は6~10時間の睡眠を必要とします。少しの睡眠でよく頭が働く人もいれば、もっと睡眠が必要そうに見える人もいることは、誰もが知っていることでしょう。実際のところ、その人にどのくらいの睡眠が必要かを正確に示すのは難しいです。一日を乗り切るためにコーヒーなどに頼って、一日中睡眠不足の状態で過ごしている人もたくさんいます。

次のような経験則があります:いつも目覚ましを鳴らして起床しているなら、おそらく、あなたは睡眠が不十分だと言えます。

2. どのようなときに医療機関を受診すべきか知っておきましょう

睡眠の質に影響を及ぼす可能性がある病気がいくつかあります。一番よくみられるのは睡眠時無呼吸症候群です。睡眠時無呼吸症候群の人は、日中に眠気をもよおすほか、寝ているときに大きないびきをかき、息切れや息詰まりを起こしたり、呼吸が止まったりして、息が苦しくなって突然目を覚ますということがよくあります。こうした症状がある人は、医療機関を受診するべきです。幸い、睡眠時無呼吸症候群は治療できる病気で、治療により日中の目覚めは大幅に改善し、全体的な健康状態もよくなります。

ほかにも、いくつかの病気が寝つきのよさと睡眠の質に影響する可能性があります。不眠症と日中の過度の眠気は、睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシー、レストレスレッグス症候群など、さまざまな原因に伴ってよくみられる、睡眠に関連した症状です。医師は、これらの病気に対処することや、原因を取り除いて睡眠と休息を改善することを手助けすることができます。

3. よい睡眠習慣をしっかり守りましょう

睡眠への取組み方(睡眠衛生ともいいます)を変えることが、とても有益になる可能性があります。眠りにつく過程を自分でうまくお膳立てするのに、できること(と避けるべきこと)がいくつかあります。

  • 週末も含めて毎日、同じぐらいの時刻に寝て、同じぐらいの時刻に起きましょう。
  • 寝る前に本を読んだりお風呂に入ったりして、緊張をほぐしてリラックスしましょう。
  • コーヒーやカフェイン入りの飲み物を飲むのは午前中だけにしましょう。
  • 一日を通して体を動かしましょう。ただし、寝る前の2時間は避けてください。
  • 寝室ではブルーライト(スマホ、タブレット、テレビなど)を見ないようにしましょう。

睡眠衛生の改善が不十分な場合は、専門の訓練を受けた睡眠療法士に相談することで、睡眠を助ける方策や技術を身につけることができます。

4. お酒を飲まないようにしましょう(そしてマリファナの影響を理解しましょう)

アルコールはよい睡眠を妨げる最も大きな障害の一つです。早く眠りにつく助けにはなるかもしれませんが、実際には、睡眠のサイクルを乱してしまいます。また、睡眠時無呼吸症候群やいびきを悪化させる可能性もあります。米国では、マリファナや食用マリファナがより身近になってきていますが、これらを慢性的に使用してから止めると、不眠症になる場合があることを知っておく必要があります。

5. ウエアラブル機器に頼り過ぎないようにしましょう

スマートウォッチなどの機器が、しばしば、睡眠サイクルと睡眠の質をモニタリングしてフィードバックを提供するとされています。それらの機器は常に改良されていて、有用な基本情報を提供したり、医師との会話の糸口になったりすることができます。ただし、それらの機器が提供するデータを過信してはいけません。

睡眠についてさらに詳しく知りたければ、MSDマニュアルのページを参照してください。