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コメンタリー:耳鳴りがしていますか? 耳鳴りについて知っておくべき5つの事実

コラム
22年1月10日 執筆者:
MSDマニュアル

あなたやあなたの知り合いが耳鳴りを経験したとしても、それはごく普通のことです。これはよく経験される症状で、一般に緊急の治療は必要ありません。米国では5000万人以上の人が、医師の間では耳鳴(じめい)と呼ばれている耳鳴りを何らかの形で経験し、約2000万人が慢性の耳鳴りを経験しています。

ほとんどの人の場合、耳鳴りは一時的で、すぐに治まります。しかし、一部の種類の耳鳴りは長引く傾向があり、それらには治療を必要とする基礎疾患が関係している可能性があります。耳鳴りのよくある原因と耳鳴りと一緒に現れる症状について理解しておくことは、効果的な治療と対処に役立ちます。医療の専門家に助けを求める前に、まず耳鳴りについて知っておくべき事実が5つあります。

1. 耳鳴りには主に2つの種類があります

耳鳴りは、周囲ではなく、頭の中で生じる雑音です。耳や脳自体など、体のさまざまな部分から生じたり、耳と脳の間の経路のどこかで生じたりする可能性があります。その雑音は、キーンやブーンという音とは限らず、ゴーという音やヒュー、シューといった音の場合もあります。あなたに起きている耳鳴りの種類を特定することが、その原因を明らかにして効果的に治療する第一歩になります。

耳鳴りには主に次の2種類があります:

自覚的(非拍動性)耳鳴は、音の処理を担っている脳の聴覚皮質で異常な活動が起こることにより引き起こされます。自覚的耳鳴がある人は、音の高さや質が変化することのある、さまざまな雑音を経験します。これは多くの場合、欠落した感覚情報を脳が埋め合わせようとする結果で、足を切断された人が、脳が感覚を生み出しているせいで、足がまだあるように感じることがある現象と似ています。

他覚的(拍動性)耳鳴は、実際は血管を起源とするもので、通常は耳の近くにある血管から雑音が発生します。他覚的耳鳴がある人は、自分の心臓や血管の拍動が耳の中で聞こえるのです。他覚的耳鳴は多くの場合、異常な血管か、腫瘍などの異常な血管組織のいずれかによって引き起こされます。自覚的耳鳴よりもはるかに少ないです。

2. 難聴と加齢が耳鳴りの一般的な原因です

自覚的耳鳴の最もよくある原因は難聴ですが、耳に関連する病気や、大音量の雑音に曝されることによっても引き起こされることがあります。感音性難聴(内耳の細胞の修復不能な損傷が原因の難聴)がある人は、しばしば耳鳴りを経験します。聴覚の神経は音の情報を脳に伝えることしかできないので、そこに異常があると、脳は痛みとしてではなく雑音として、それを認識するのです。それほど重くない難聴のその他のケースでは、その音が発生している場所を特定するのが難しい場合があります。

他覚的耳鳴は一般的に、血管の変化によって引き起こされます。血管の柔軟性が低下すると、狭くなった部分を血液が通過するときに乱流が生じて、それにより音が出ます。水まき用のホースの出口を指でふさぐのを想像してみてください。同じ量の水がホースの中を通っていきますが、出口部分を狭くすると、水は勢いを増して、シューという音を出します。血管では、この現象が血管腫瘍や動静脈瘻(動脈と静脈の間の異常な連結)によって引き起こされることもあります。

3. 一部の種類の耳鳴りには治療が必要です

ほとんどの人が一生のうちに一度は耳鳴りを経験します。両耳で同じように聞こえて数秒後には消える一時的な耳鳴りは、心配する必要はありません。耳鳴りが長く続く場合や、ほかにも難聴や耳の痛み、めまい、頭痛などの症状がある場合は、難聴や対処する必要がある他の病気がないかを判断するために、聴力検査を受けることが勧められます。他覚的耳鳴は、画像検査が必要かどうかを判断できる耳鼻咽喉科医に評価してもらうべきです。

もう一つの警戒すべき徴候は、耳鳴りや難聴が片方の耳だけで起きていることです。難聴の原因を慎重に評価するため、医師が身体診察に加えて聴覚の評価を行う必要があります。めまいもある場合は、聴神経腫瘍(内耳から脳につながる神経にできる良性腫瘍)が原因かどうかを判断するために、MRI(磁気共鳴画像)検査によるさらなる評価が必要かもしれません。片方の耳だけに突然耳鳴りが起きた場合は、突発性感音性難聴(中等度から重度の難聴)である可能性もあり、この難聴は急速に進行するため、緊急に対処する必要があります。 

4. 耳鳴りは治療したり抑えたりすることができます

耳鳴りは改善したり治まったりする可能性がありますが、いつそうなるかを予測するのはほぼ不可能です。難聴を伴って耳鳴りが起きた場合は、補聴器で耳の中の音を増幅させることで、耳鳴りを自覚しづらくし、さらには抑えることができます。難聴を伴わない耳鳴りが長く続く場合は、背景音を発生させるマスキング装置が治療の第一選択肢としてよく用いられています。音源装置や雑音発生器、あるいは送風機やラジオだけでも、脳の気をそらせて耳鳴りを覆い隠す音の入力を増やすのに役に立ちます。適切な医学的評価がすべて行われていれば、厄介な耳鳴りを経験している人に補聴器も使用することができます。

耳鳴りを治療する別のアプローチは、さまざまな治療法を通じて音に対する感情的な反応を取り除くことです。聞こえた音が感覚情報に感情的な意味づけを与える脳の部分へと直接送られる経路があります。大脳辺縁系では、感覚が記憶や感情的反応(よいものもあれば悪いものもあります)に関連付けられます。例えば、祖母のことを思い出させてくれる焼きたてのクッキーのにおいや、聴くとある場所に来たかのように感じる歌などがそれです。耳鳴りがあると、人はごく小さな音にも耐えられないほどの感情的反応を示すことがあります。そうした感情的反応を取り除くことで、耳鳴りを背景の雑音にしてしまい、気づかないようにすることができます。

5. 耳鳴りのリスクを減らす方法がいくつかあります

世の中は本質的に騒々しいもので、都会の中心部など騒がしい場所で生活することも耳鳴りの危険因子です。しかし、聴覚を保護し、リスクを減らすために講じることができる予防策があります。騒々しい場所にいる場合や電動工具や銃器など大きな音を出す機械を使用しているときは、いつも聴覚保護具を使用し、また大音量の雑音の中で過ごす時間を制限してください。もう一つの簡単な方法は、音響機器で何かを聴くときにヘッドホンの音量を下げることです。

たいていの場合、両耳の耳鳴りは危険ではなく、うまく対処することができます。耳鳴りがある人は、雑音がまだ残っていてもそれに気づかなくなることがよくあります。耳鳴りの様々な原因と警戒すべき徴候を知っておけば、医療機関を受診するタイミングを判断するのに役立ちます。

耳鳴りについてさらに学ぶには、このトピックに関するMSDマニュアルQuick Factsのページを参照してください。

翻訳: TransPerfect