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コメンタリー:胃食道逆流症(GERD)とは? 胸やけの予防と軽減のための5つのポイント

コラム
2020/11/19 Kristle Lee Lynch, MD, Perelman School of Medicine at The University of Pennsylvania

今日、レストランでの美味しい食事を夢見ている人は多いと思います。こうした食事の前には、スパイスの効いた前菜やチーズ、カクテルやワインをたしなむ人もいるでしょう。そして気の趣くままにメインの料理を注文し、食後にはさらに奮発してコーヒーとデザートを楽しむことでしょう。しかし、節操なく食事を楽しんだ後に必ずやってくる胸やけや胃酸の逆流のことを想像したい人は、まずいないと思います。

米国消化器病学会(American College of Gastroenterology)の調査によると、米国では、6千万人以上が月に最低1回の胸やけを経験しています。胸やけは胃食道逆流症(GERD)によくみられる症状です。GERDでは、胃の内容物が食道に逆流し、厄介な症状や合併症が生じます。

GERDを我慢しない、無視しない

GERDの全ての人に胸やけが生じるわけではありません。胸やけ以外にみられる症状としては、頻度は低くなりますが、のどが痛む、食べものが飲み込みにくい、咳がでるなどがあります。このような症状が現れたら、胸やけや胸痛と同様、無視しないようにしてください。特に、満腹になるまで食べたわけではない状況でこれらの症状がみられたら、要注意です。

場合によっては、これらの症状は他の病気の徴候かもしません。比較的若い人の場合では、好酸球性食道炎が原因である可能性があります。好酸球性食道炎はアレルギー性の疾患で、この病気にかかっていると食べものが飲み込みにくくなります。高齢者では、食道がんや心臓の病気の徴候である可能性もあります。さらに、GERDを治療せずにいると、食道の炎症や潰瘍、さらには食道の細胞に異常が生じて悪性化するなどの、様々な合併症につながる可能性もあります。

もしGERDの症状が長く続いているなら、医師の診察を受けて、しっかりと原因を明らかにすることが大切です。

GERDのリスクがある人の特徴

GERDや関連する症状(特に胸やけ)が発生する可能性を高める要因はいくつか存在します。胸やけにつながる要因としては、肥満、体重増加、食道裂孔ヘルニアのほか、喫煙や特定の薬剤の服用などがあります。さらにはチョコレート、アルコール飲料、カフェインなどの嗜好品は食道の筋肉を弛緩させるため、これらもGERDのリスクを高めます。

これらの要因を踏まえ、以下に、GERDによる胸やけや他の症状を予防する助けとなる5つのポイントを紹介します。役に立つ5つのヒントは次の通りです:

1. 食後4時間は、横になるのを控えましょう

座ったり立ったりしている間は、胃の内容物は胃の中にとどまりやすいため、重力をうまく利用し、食後4時間は横になるのを控えましょう。4時間後には食べた物の約90%が消化され、胃の中からなくなります。横になって眠らないようにするだけではなく、ソファで横になってくつろぐことも控えましょう。三角形のクッションを使用すれば横にならずにすみ、快適に過ごせる場合もあります。

2. 脂肪(そして繊維質)の摂取を控えましょう

ペパロニピザを1枚平らげれば、胸やけになる可能性が高まります。脂肪分が多い食物や酸性の食物を避け、食事の量を控えめにするのがよいでしょう。繊維質の摂取量にも注意してください。繊維質の多い食事、例えばケールのサラダをたっぷり食べることはよいことですが、消化に長い時間がかかるため、食べた後にGERDの症状が生じる可能性があります。

3. タイトなヨガスパッツをはくのは避けましょう

こと逆流に関しては、タイトな衣服はトラブルの元です。胃に圧力がかかると、胃の内容物はあらぬ方向に移動します。ウエストがゴムになったゆったりとした衣服を着用すれば、胸やけなどの症状を軽減するのに大いに役立ちます。

4. 効果的な薬を見つけましょう

胃酸を抑えGERDの症状を予防するための薬には、市販薬から処方薬(プロトンポンプ阻害薬やヒスタミンH2受容体拮抗薬)に至るまで、いくつかの種類があります。どの薬があなたに合っているかを主治医に相談してみましょう。

5. 生活習慣を変える努力をしましょう

GERDの症状があって過体重の場合は、減量が単独で最も効果的となる症状緩和の方法です。GERDに対して減量による治療を受けている人の方が、薬による治療を受けている人よりも、生活の満足度を評価するスコアが高くなり、生活の質(QOL)も向上することが研究で示されています。

あなたが今まさに節操なく食事を楽しんだばかりなら、これらの以上のポイントが今にも起こりそうな胸やけを予防するか軽減する助けになることでしょう。しかしGERDの症状が定期的にみられる場合には、医師の診察を受けて対処の計画を立てることが非常に重要です。これが、今よりももう少しだけ人生を楽しみ、深刻になりうる合併症を予防するための、第一歩となるでしょう。

GERDについてのより詳細な情報は、MSDマニュアルの該当ページを参照してください。

Kristle Lee Lynch、医学博士