新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が続く中、私たちは皆、とてつもない不確実性の中で生きています。各地で社会活動の一部再開が模索され、学期末が近づくにつれて、多くの保護者が子どもたちの夏休みをどのようなものにするか、コロナウイルスの拡大を抑えつつ子どもたちの安全を確保するにはどうすればいいかという点で、難しい判断を迫られています。
この夏に子どもたちの安全をいかにして守るかや、子どもたちの参加を許すべき活動と許すべきでない活動についてなど、保護者たちは数え切れないほど多くの疑問を抱えています。残念ながら、こうした疑問のほとんどに対する答えは「状況によりけり」という難しいものです。この不確実性の中での最善の判断は、それぞれの家族が住んでいる地域や、子どもが具体的に必要としていること、各家庭の個別の事情など、多くの要因に左右されます。最終的には、保護者がそれらすべての要因をはかりにかけて、リスクが子どもたちだけでなく家族全体にとっても許容できるかどうかで判断することになります。子どもが感染して帰ってくれば、家族全員が影響を受ける可能性があるためです。
許容できるリスクの定義は各家庭で少しずつ異なり、時間の経過とともに変わる可能性もあるでしょう。MSDマニュアルが最近行った調査では、88%の保護者が、この夏、自分の子どもたちが公の活動や集団での活動に参加することを許可すると回答しました。個別の活動について判断を下すにあたり保護者が疑問に思う、よくある質問に対する回答を以下に示します。COVID-19と自分の子どもにまつわる様々な状況で許容できるリスクを見極めるのに役立つでしょう。
COVID-19に対して、子どもたちにどのような予防策を講じるべきでしょうか?
子どもが大人よりもCOVID-19に感染しやすいのか、あるいはしにくいのかについては、依然として明らかになっていません。現時点でのおおまかな目安は、子どもたちにも大人と同じ手順に従わせるということです。2歳以上の子どもは、公の場ではマスクを着用し、対人距離の確保(ソーシャルディスタンシング)を守る必要があります。大人と同じように、普段から手洗いをし、体調が悪いときは家にいなければなりません。65歳以上の人や基礎疾患のある人など、リスクの高い人々と接することについては、特に注意して制限する必要があります。MSDマニュアルの調査では、COVID-19による制限が各地域で解除された場合、89%の保護者が集団活動や公の活動の際にも子どもにマスクを着用させると回答しました。
子どもをサマーキャンプに参加させても大丈夫でしょうか?
キャンプの種類によってリスクの程度が異なります。米国疾病予防管理センター(CDC)は、様々な状況のキャンプで生じるリスクについて詳細な解説を公表しています。例えば、同じ地域から集まった少人数の参加者がソーシャルディスタンスを保ちながら主に野外活動を行う場合には、より広い地域から集まった大人数の参加者があまりソーシャルディスタンスを保たずに活動する場合よりもリスクは低くなります。泊りがけのキャンプは、この夏は例年より少なくなると考えられますが、日帰りのプログラムと比べてリスクの程度が高くなります。この夏、日帰りキャンプに子どもを参加させる予定がある保護者は調査対象者の19%に過ぎず、泊りがけのキャンプを許可する保護者は15%だけです。
子どもを公共のプールに行かせても大丈夫でしょうか?
多くの子どもにとって公共のプールは、キャンプ場のプールであれ、地元のプールや近所のYMCAのプールであれ、夏休みの象徴となる楽しみの一つです。コロナウイルスは水中では感染できませんので、水泳自体に本質的な危険はありません。ただし、ソーシャルディスタンシングと消毒についての配慮は全て同様に適用されます。それでも、COVID-19が流行するこの夏に子どもが公共のプールで泳ぐことを許可すると調査で回答した保護者は10人に3人だけでした。
子どもをチームスポーツに参加させても大丈夫でしょうか?
この夏、子どもをチームスポーツに参加させると回答した保護者は約28%でした。保護者がリスクの大きさを見積もる上で役立つように、CDCは若者のスポーツについても詳細なガイダンスを示しました。保護者は、共用される設備と空間の消毒や他の地域から来る子どもたちとの接触など、そのスポーツに伴う曝露全般について幅広く考える必要があります。自宅で家族と練習をする方が、様々な地域から集まったチーム同士で通常の競技を行う場合よりもリスクは低くなります。
子どもを近所で友達と遊ばせても大丈夫でしょうか?
子どもたちが友達と屋外で安全に遊ぶことは、ほぼ間違いなく可能です。子どもが少人数のグループ(自分を含めて2人か3人)で屋外で遊ぶ場合、リスクは極めて低くなります。このことは、定期的に会っている子どもたちの間で、かつ保護者同士が連絡を取り合い同様のガイドラインを守っている場合には、特によくあてはまります。調査に参加した保護者の約半数はこの夏、子どもたちを近所の友達と屋外で遊ばせたと回答しました。友人宅の屋内で遊ぶ場合には、屋外と比べて換気が少なく、ウイルスが付着している可能性のある表面が多くなるため、リスクはより高まります。それでも、46%の保護者はこの夏、子どもが友人宅の屋内に入ることを問題にしないと回答しました。
子どもが病気やけがをしたとき、診療所や病院に連れて行っても大丈夫でしょうか?
これは保護者にとって大きな心配事です。COVID-19のパンデミックは現在も続いていますが、スクリーニングと検査が広く実施されたおかげで、今では大半の医療機関は安全になっています。保護者は子どもを医療機関に連れて行く前に、安全対策と最新の手続きについて電話で質問をするべきです。しかし、米国ではほとんどの場合、病院や診療所は診察予約の24~48時間前に患者さんと保護者に積極的に連絡を取ろうとします。もちろん、子どもが重傷や重体の場合には、保護者はためらわず医療機関を受診するべきです。
保護者が十分な情報に基づいて判断するための更なる情報源
家族が以上のような疑問をさらに追及するにあたっては、自分たちだけで議論して判断を下す必要はありません。家族はかかりつけの小児科医や他の医療専門家に連絡をとり、具体的な状況や子どもが個別に必要としていることについて話をするべきです。保護者は、キャンプの管理者やコーチ、他の保護者など、子どもたちに関する安全な手続きに対して責任ある立場にいる人たちと詳しく話し合う必要があります。保護者はそうした会話を通じて、許容できるリスクの程度を具体的に割り出すべきなのです。保護者が2つのサマーキャンプを比べる場合、たとえ日々の活動は同じような内容だとしても、計画の詳細があまり示されていないキャンプよりも、綿密な手順が事前に十分説明されているキャンプの方が、子どもを参加させても問題ないと判断するでしょう。
さらに、保護者が最新の勧告や研究について調べたり、子どもたちの活動とCOVID-19について十分な情報に基づく判断を下したりする際に利用できる情報源がいくつかあります。手始めに地元のガイドラインを調べてみるならば、米国では郡や州のウェブサイトが便利です。調査では、この夏に地元で行われる集団活動や公の活動について判断する際には、地元や地域の自治体当局の情報をチェックすると回答した保護者が最も多くを占めていました。そのほかの保護者向けの主要な情報源としては、マスコミやニュース、ソーシャルメディア(SNS)、CDCなどがあります。より幅広いベストプラクティスのために、CDCが保護者向けの具体的なリソースをいくつか公開しているほか、米国小児科学会も同様のものを公開しています。MSDマニュアルでも、COVID-19に関する情報とリソースを提供する一般向けの情報ポータルページを作成しています。