
喘息は現在、小児に最も多くみられる慢性疾患の一つであり、米国では患者数がますます増えています。この患者数の増加を受けて、人々は家族の喘息リスクを減らそうと、できる限りのことをしています。
喘息とは、特定の誘発因子に反応して肺に通じる気道が狭まり、それによって、せき、喘鳴、胸苦しさ、息切れが生じる病態です。よく見られる喘息の誘発因子には、以下があります。
喘息が発症する理由には、いくつかの仮説があります。1つ目が、衛生仮説です。これは、小児期に細菌やウイルス感染源にさらされることで、免疫系の発達が促されるという考えです。それによって、私たちの免疫系は有害な物質と無害な物質のちがいを学習し、免疫系は過剰反応しなくてよいものを見分けられるようになります。しかし、この仮説では、小児で喘息が発症する理由を完全に説明することはできません。RSウイルスのような特定の感染源にさらされた子供は、喘息を予防できず、むしろ発症する傾向があることが知られています。また、感染の重症度や小児期のどの時期に感染したかが、喘息の発症に影響するというエビデンスもあります。
現実的なアプローチをとりましょう
では、どうすれば親はやりすぎて清潔すぎる環境を作ることなく、家から喘息の誘発因子を減らせるのでしょうか。
その答えは、多くのことがそうであるように、ほどほどを心掛け、特定の状況に適応することです。
家族が環境アレルゲンによる喘息を発症した場合、周囲の環境を管理するためにできる基本的なことがいくつかあります。エアフィルターを頻繁に交換したり、家の中に水漏れやカビがないかをチェックしたり、定期的にホコリを拭き取るなどの対策を講じてください。家にカーペットを敷いている場合は、定期的に掃除機をかけて、ペットの鱗屑やダニを取り除きましょう。
正確な誘発因子を標的にしましょう
家族に喘息患者がいても必ずしも、家族であるペットを手放したり、家中のカーペットを引き裂いたり、枕やカーテンを捨てたりする必要はありません。特定の誘発因子を明らかにして除去するよう、慎重に検討することができます。
多くの患者は、運動時や季節性アレルギー、ペットの周りなどで症状が現れるため、自分の喘息の原因を知っています。原因がわからない場合、喘息の誘発因子を特定するには、喘息日記をつけるとよいです。症状の発現時間と場所を正確にメモしておくことで、ストレスやアスピリンなどの薬、ペットや特定の部屋の内装のような家の中の具体的な誘発因子など、わかりにくい原因が明らかになる場合があります。
かかりつけ医や肺の専門医が、この日記と呼吸検査の結果から、誘発因子を判断します。誘発因子が明確になったら、その時には家からその因子を排除するために、あらゆる努力を払いましょう。ただし、特に大事にしているペットやぬいぐるみなど、誘発因子になっていないと思われるものを手放す必要はありません。
すでにわかっている誘発因子を排除した後も喘息発作が頻繁に起こる場合は、他の誘発因子を医師と相談しましょう。場合によっては、花粉、大雨、雷雨、極端な気温など、人がコントロールできないことが誘発因子となることがあります。天気をコントロールすることはできませんが、窓を閉めたり、花粉の多い時は外出時間を制限したり、寒い日には鼻や口を覆ったりすることならできます。ストレスや不安も喘息の要因となることがあり、ストレスを減らす戦略を医師が支援することができます。他にも、アレルギー注射が喘息の誘発因子に対する反応を抑えるのに役立つことがあります。喘息の誘発因子となっている可能性があることや治療について、すべて、医師に相談することが重要です。
翻訳: TransPerfect