honeypot link

Msd マニュアル

Please confirm that you are not located inside the Russian Federation

加齢に関連する注意点:肥満

加齢に関連する注意点:肥満

米国では、肥満の高齢者の割合が増加しています。高齢者の肥満には注意が必要で、その理由としては、過体重が例えば糖尿病、がん、血液中の脂肪(脂質)の値の異常(脂質異常症)、高血圧、心不全、冠動脈疾患、関節疾患など、加齢に伴って増える傾向がある特定の健康問題のリスクを増大させるからです。

次のように、加齢に伴う変化のいくつかが体重増加の一因となります。

  • 身体活動の減少:身体活動の減少の原因には、加齢に関連するものがあります。例えば退職、身体的に運動できなくなる、動く際に痛みを生じる病気(関節炎など)の発症、平衡感覚の問題などが挙げられます。そのほかにも身体活動を制限することのある要因があります。例えば、歩道がない、交通量が多すぎる、近隣の治安が良くないと思うなどの理由で歩きたがらないことがあります。

  • 筋肉組織の減少:成長ホルモンと性ホルモン(女性では エストロゲン、男性では テストステロン)の濃度の低下により筋肉組織の一部が失われます。しかし高齢者が筋肉組織を失う主な理由は、運動不足です。筋肉組織が少ないほど安静時に体が燃焼するカロリーも少なくなり、体重が増えやすくなります。

  • 体脂肪の増加:筋肉組織が減ると、体脂肪率が増加します。脂肪組織はカロリーを少ししか燃焼しません。また、脂肪の割合が高いと、体重と身長のみで算出するBMI(ボディマスインデックス)が正常な高齢者であっても、体重に関連する健康問題のリスクが予想よりも高くなることがあります。高齢者では、BMIよりもウエスト周囲長をもとにした方が、健康のリスクを正しく予測できます。

  • 体脂肪のウエスト周りへの移動:加齢に伴い、脂肪がウエスト周りに移動する傾向があります。殿部や大腿部ではなくウエストや腹部周りに蓄積した脂肪は、高血圧、糖尿病、冠動脈疾患などの健康問題のリスクを高めます。

減量が必要な高齢者に対しては、医師は身体活動の増加と食事の変更を推奨しています。身体活動を行うことによって筋力、持久力、全体的な健康感が向上し、糖尿病などの慢性疾患が発生するリスクが低下します。活動には筋力トレーニングと持久力運動を含めるべきです。

高齢者では、若い人よりも低栄養のリスクが高くなります。そのため、高齢者が減量しようとする際は、健康的でバランスのとれた食事をとるように心がける必要があります。

減量薬は高齢者ではまだ研究が行われておらず、便益よりもリスクの方が大きい可能性があります。しかし、糖尿病または高血圧のある高齢者にはオルリスタットが有用なことがあります。健康で、機能がうまく働いている高齢者には、減量手術(肥満外科手術)が適切なことがあります。

高齢者の減量に健康のリスクがあるかどうかについてはまだ結論は出ていません。医師は、高齢者それぞれの状況に基づいて、高齢者が減量の方策を立てる手助けをします。高齢者が減量する場合は、医師の指導に従って行うのが最善です。