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新生児の主な感染症

新生児の主な感染症

感染症

感染経路

症状

治療と予防

結膜炎

新生児の結膜炎
新生児の結膜炎
(Reprinted with permission of the American Academy of Ophthalmology, Eye Trauma and Emergencies: A Slide- Script Program, 1985.)

出生の際に、クラミジアや淋菌が胎児に感染することがあります。

クラミジア: 結膜炎は通常、生後5~14日目に発症しますが、6週目に発症することもあります。

新生児のまぶたは腫れ、多量の膿を含む目やにが出ます。

淋菌:結膜炎は通常、生後2~5日目に発症します。

新生児のまぶたには重い炎症が見られ化膿性の目やにが見られます。

治療しないと、失明することもあります。

クラミジア:予防にはエリスロマイシン眼軟膏を塗布し治療にはエリスロマイシンを経口投与します。

淋菌:予防にはポリミキシンとバシトラシン、エリスロマイシン、テトラサイクリン系薬剤を含む眼軟膏を使用し、治療には抗菌薬のセフトリアキソンを静脈から投与します。

サイトメガロウイルス感染症

サイトメガロウイルスは妊娠中または出産の際に母親から胎盤を通して移行すると考えられています。

出生後は、母乳にサイトメガロウイルスが含まれている場合やサイトメガロウイルスが混入している血の輸血を受けた場合に、新生児にこのウイルスが感染することがあります。

ほとんどの新生児は無症状です。

出生時に感染する新生児の約10%は未熟児であり、出生時に体重が軽く、頭が小さく、発育が遅れて、黄疸、複数の小さな皮下出血、肺や眼の炎症、肝臓と脾臓の腫大が見られます。

出生後の感染では、肝臓と脾臓の腫大、肝炎、血小板数の低下、白血球数の増加、あるいは、これらの症状のすべてがみられます。

難聴、視力障害、知的障害も起こります。

この感染症は治癒しません。

ガンシクロビルが症状の軽減に有効です。

生後1年は聴力を繰り返し検査する必要があります。

B型肝炎

母親が感染している場合は、出産の際に感染することがあります。

慢性の肝臓の病気(慢性肝炎や肝硬変など)が発症しますが、成人期初期までは通常無症状です。

退院までにすべての新生児にB型肝炎ワクチンを接種します。

B型肝炎に感染している母親から生まれた新生児には生後12時間以内にB型肝炎ワクチンを接種するとともに、B型肝炎免疫グロブリンを投与します。

通常、ヘルペスウイルス(単純ヘルペス)は、このウイルスに感染した母親の産道・外陰部から感染します。

通常は小さな水疱状の発疹が現れます。

感染は広範囲にわたり、眼、肺、肝臓、脳、皮膚など多くの臓器に及びます。

他の症状として、活動性の低下、筋肉の緊張の低下、呼吸窮迫、呼吸の中断(無呼吸)、けいれん発作などが挙げられます。

抗ウイルス薬のアシクロビルを静脈から投与します。

眼の感染はトリフルリジン点眼とアシクロビルの静脈内投与で治療します。

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症

母親がHIVウイルスに感染していると、HIVウイルスが、妊娠中の母親から胎児に、分娩の際に母親から新生児に、そして出生後は母乳を通して乳児に感染します。

症状は、何もみられない場合から重症(エイズ)の場合まであります。

リンパ節が腫大することもあります。

肝臓、脾臓、心臓、腎臓、脳、脊髄などの多くの臓器に感染します。

また、繰り返す下痢、体重増加不良、侵襲性の細菌感染症やウイルス感染症も症状としてみられます。

抗レトロウイルス薬を使用し、専門医の診療を受けて、臨床試験に参加することが推奨されています。

感染の早期診断と治療が有用です。

ヒトパピローマウイルス感染症

たいていの場合、新生児には出生の際に感染が起こります。

のど・気管に、「いぼ」ができて新生児の泣き声が変わることがあります。ときには呼吸困難を引き起こし気道をふさぐこともあります。

肺に感染することがあります。

「いぼ」は手術で取り除きます。

インターフェロンという薬には感染の再発リスクを低下させる働きがあります。

9~26歳の女性はワクチンを受ける必要があります。

風疹

風疹ウイルスは妊娠中に胎盤を通じて移行します。予防接種が必ず行われることになっているため、現在は、めったに感染することはありません。

妊娠の初期に胎児に感染した場合の方が重症となります。

出生前死亡、先天異常、他の症状のない難聴まで、胎児への影響は広範囲にわたります。

低出生体重、脳の炎症、白内障、網膜障害、先天性心疾患、肝臓と脾臓の腫大、皮下出血、青みがかった赤色の斑点、リンパ節の腫れ、肺炎などが新生児にみられます。

特別な治療法はありません。

妊娠可能年齢のすべての女性に妊娠前にワクチンを接種することでこの感染を防ぐことができます。

風疹に対する免疫のない妊娠女性が妊娠の初期に風疹感染者と濃厚な接触をもった場合は、免疫グロブリンを注射します。

梅毒

母親が妊娠中に梅毒にかかった、あるいは過去の梅毒の治療が不十分であった場合、妊娠中に梅毒トレポネーマが胎盤を通じて移行します。

死産や早産が起こります。

新生児は無症状のことがあります。

生後1カ月の間に、大きい水疱や平らな赤銅色の発疹が手のひらと足の裏に現れます。鼻の周りとおむつを当てる場所に盛り上がったこぶができます。新生児が十分に発育しないこともあります。口の周りがひび割れ、粘液、膿や血液が鼻から流れてくることもあります。

たいていの場合、リンパ節、肝臓、脾臓が腫大します。

まれに眼や脳の炎症、けいれん発作、髄膜炎、知的障害が起こりますが、これらの症状は小児が2歳以上になるまで現れません。

出産前に、ペニシリンで母親を治療します。

出産後、母親になお感染がみられる場合は、新生児をペニシリンで治療します。

トキソプラズマ症

妊娠中に母親から、寄生虫(Toxoplasma gondii)が胎盤を通じて胎児に移行します。

妊娠の初期に胎児に感染した場合の方が重症となります。

胎児の発育は遅く、胎児が未熟児で生まれることがあります。

小頭症、脳の炎症、黄疸、肝臓と脾臓の腫大、心臓、肺や眼の炎症が新生児に見られます。

発疹が現れることもあります。

妊娠中は猫のトイレの砂に触らない方が賢明です。

母親がスピラマイシンを服用すれば、母親から胎児への感染が防げます。

胎児が感染している場合は、妊娠の後期にピリメタミン(pyrimethamine)とスルホンアミド系薬剤を投与します。

感染した新生児に症状が出ている場合は、ピリメタミン、スルファジアジンとロイコボリンで治療します。

心臓、肺、眼の炎症はコルチコステロイドで治療します。