黄疸の主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

検査†

肝臓と胆嚢の病気

アルコール性肝疾患

黄疸がゆっくり発生する

大量の飲酒歴

男性では、女性の特徴(筋組織の喪失、肌が滑らかになる、乳房の肥大、精巣の萎縮、女性のような陰毛の生え方など)の発現

ときに体液(腹水)の貯留による腹部の腫れ

医師の診察

血液検査

ときに肝生検

胆石による胆管の閉塞や、頻度は下がるが膵臓または胆管の腫瘍による胆管の閉塞

濃い色の尿と薄い色の便(便は柔らかくかさばり、脂っぽく異常な悪臭がする)

通常、右上腹部または腹部中央の痛み

原因が腫瘍であれば、体重減少、ときに慢性の腹痛

以下の画像検査

  • 超音波検査(超音波プローブを腹部に当てて行う)

  • 超音波内視鏡検査(観察用の柔軟な管状の機器を介してプローブを小腸に挿入する)

  • CT胆道造影(X線造影剤を静脈に注射してから胆管のCT撮影を行う)

  • MRCP(特殊な技術を用いた胆管および膵管のMRI撮影)

  • ERCP(口から小腸に挿入した観察用の柔軟な管状の機器[内視鏡]を介して胆管と膵管に造影剤を注入し、胆管と膵管のX線撮影を行う)

画像検査の結果から、がんが疑われる場合は生検

妊娠中の胆汁うっ滞

激しいかゆみ

その後、黄疸と濃い色の尿

通常は妊娠後半に発症

血液検査

通常は超音波検査

肝炎(ウイルス性)

黄疸が出る前に起こる症状:

  • 吐き気または嘔吐

  • 食欲不振

  • 疲労

  • 右上腹部の持続性の痛み

  • 発熱

  • ときに関節痛

注射薬の娯楽的使用や肛門性交など、危険因子がある人に多い

肝炎ウイルスの血液検査

肝炎が慢性であれば、ときに肝生検

原発性胆汁性胆管炎(肝臓の小さな胆管の破壊を引き起こす自己免疫疾患)

黄疸が出る前によく起こる症状:

  • 疲労

  • かゆみ

  • 口腔乾燥とドライアイ

ときに、右上腹部の不快感、皮膚の黒ずみ、皮膚(黄色腫)またはまぶた(眼瞼黄色腫)に黄色の脂肪が小さく沈着する

血液検査により、この病気の患者のほとんどにみられる抗体を調べる

腹部の超音波検査、しばしばMRI検査

肝生検

原発性硬化性胆管炎(小さな胆管および大きな胆管の瘢痕化と破壊)

黄疸が出る前に起こる症状:

  • 疲労の悪化

  • かゆみ

右上腹部の痛み

ときに薄い色の便(便は柔らかくかさばり、脂っぽく異常な悪臭がする)

しばしば炎症性腸疾患の患者にみられる

腹部のMRI検査

ERCP

その他の病気

以下のような原因による赤血球の破壊(溶血)

  • 薬剤

  • 毒素(一部のヘビ毒を含む)

  • 遺伝性の赤血球の異常

  • 酵素欠損症(G6PD欠損症など)

  • 感染症(マラリアなど)

貧血の症状(蒼白、筋力低下、疲労)

ときに、溶血を起こす薬を使用している、または家族に赤血球の異常がある

血液検査

ウィルソン病(肝臓に銅が蓄積する病気)

振戦、発話困難および嚥下困難、不随意運動、協調運動障害、人格の変化

眼の角膜に金色または緑色がかった金色の輪(カイザー-フライシャー輪

眼の細隙灯顕微鏡検査でカイザー-フライシャー輪を調べる

血液検査で、銅と銅タンパク質の濃度を測定する

尿検査で、尿中に排泄される銅の濃度を測定する

それでも診断がはっきりしない場合、肝生検

以下のような手術の合併症

  • 胆管またはその近くの手術による胆管の瘢痕化

  • 失血、または大手術に伴うその他の合併症による肝臓への血流の減少

手術後すぐに発生する(特に大きな手術の場合)

医師の診察

ときに、疑われる原因に応じた他の検査

薬剤や毒性物質

アセトアミノフェン(高用量での使用または過量投与)

ニガクサ、カヴァ緑茶エキス、ピロリジジンなどの特定の薬用ハーブ

アモキシシリン/クラブラン酸、アザチオプリン、クロルプロマジン、イソニアジド、経口避妊薬などの特定の処方薬

鉄の大量摂取

キノコ毒(タマゴテングタケによるもの)

黄疸を起こす原因となりうる物質の使用

医師の診察

*特徴としては症状や診察結果を示しています。示されている特徴は典型的なものですが、常に認められるわけではありません。

†医師は通常、血液中のビリルビン濃度の測定や血液検査を行って、肝臓がどの程度機能しているかと肝臓に損傷があるかどうかを判定する(肝機能検査)とともに、血液の凝固能を評価します。

CT = コンピュータ断層撮影、ERCP = 内視鏡的逆行性胆道膵管造影、G6PD = グルコース-6-リン酸脱水素酵素、MRCP = 磁気共鳴胆道膵管造影、MRI = 磁気共鳴画像。