消化不良の主な原因と特徴

原因

一般的な特徴*

検査†

がん(食道がん胃がんなど)

慢性の漠然とした不快感

後に、食道がんによる嚥下困難や胃がんによる早期満腹感

体重減少

上部消化管内視鏡検査(内視鏡と呼ばれる観察用の柔軟な管状の機器を用いた食道、胃、十二指腸の検査)

腹部CT検査

セリアック病

排便習慣の変化(下痢、腹部膨満、脂肪便など)

ほかに原因がない鉄欠乏性貧血

血液検査

小腸から採取した組織の内視鏡下生検

冠動脈虚血(冠動脈への血流が不十分)

ときに運動時に症状が生じる場合にみられる

心疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、コレステロール高値など)

心電図検査

血液検査

ときに負荷試験

薬(ビスホスホネート系薬剤、エリスロマイシン、他のマクロライド系抗菌薬、エストロゲン、鉄剤、非ステロイド系抗炎症薬[NSAID]、カリウムなど)

消化不良を引き起こす薬を服用している場合にみられる

薬を服用した直後に症状が発生

医師の診察のみ

食道けいれん

ときに液体と固形物の嚥下困難

食道造影検査

食道内圧検査

胃食道逆流症(GERD)

胸やけやときに胃酸または胃内容の口腔内への逆流

ときに横になると症状が誘発される

制酸薬で緩和する

医師の診察

ときに、胃酸分泌を抑制する薬による治療を試す

ときに上部消化管内視鏡検査

ときに食道pH検査(pHは酸性度の尺度)

消化性潰瘍

食事の前に発生し、食事または制酸薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬、プロトンポンプ阻害薬(PPI)の服用により軽減することがある灼熱痛またはさしこみ痛

夜に目覚めることがある

医師の診察

ときに上部消化管内視鏡検査

ときにヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)感染の検査

胃内容の排出不良(胃不全麻痺)、通常は糖尿病、結合組織疾患、神経疾患など別の病気に起因

吐き気、腹痛、ときに嘔吐

早期満腹感

ときに原因疾患が確認されている場合にみられる

上部消化管内視鏡検査や胃内容排出を評価する核医学検査

*特徴としては症状や診察結果を示しています。示されている特徴は典型的なものですが、常に認められるわけではありません。特徴には原因間で重複がみられます。

†医師の診察は必ず行われるものであり、これがこの列に記載されるのは、検査を一切することなく医師の診察だけで診断ができることがある場合だけです。

CT = コンピュータ断層撮影