原因 | 一般的な特徴* | 診断のアプローチ†,‡ |
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妊娠に関連する病気(産科疾患) | ||
以下のような腹痛または骨盤痛
異所性妊娠が破裂した場合、場合により失神、ふらつき、動悸 | 血液検査により胎盤から分泌されるホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン、hCG)を測定する 骨盤内超音波検査 ときに腹腔鏡検査(腹部の切開口から観察用の管状の機器を挿入して内部を調べる検査)または開腹(腹部の切開を伴う手術) | |
流産 流産 流産とは、妊娠20週未満で胎児が失われることです。 胎児側の問題(遺伝性疾患や先天異常など)によっても母体側の問題(生殖器の構造的異常、感染症、コカインの使用、飲酒、喫煙、けがなど)によっても流産が起こりますが、多くの場合、原因は不明です。 出血や筋けいれんが起こることがありますが、特に妊娠して週数が経過している場合にはよく起こります。... さらに読む
| 骨盤部の差し込むような痛みで、しばしば腹部全体に広がる しばしば性器出血、ときに妊娠組織の排出を伴う | ときに医師の診察のみ 通常は異所性妊娠の検査と同様 |
通常は、妊娠中絶(未熟な医療従事者や妊婦自身が行う場合が多い)を受けた女性にみられる | 骨盤内超音波検査 子宮頸部(子宮の下部)から採取したサンプルの培養 | |
下腹部、骨盤部、または腰の締めつけるような痛みや灼熱感 | ときに骨盤内超音波検査 | |
妊娠に関連のない婦人科疾患 | ||
以下に該当する骨盤痛
ときに性器出血 | 骨盤内超音波検査 | |
以下に該当する骨盤痛
しばしば吐き気や嘔吐 | ドプラ超音波検査(卵巣への血流と卵巣からの血流を評価する) ときに腹腔鏡検査または開腹 | |
黄体嚢胞(排卵後の卵胞に発生する)の破裂 | 以下のような腹痛または骨盤痛
性器出血 | 骨盤内超音波検査 ときに腹腔鏡検査または開腹 |
以下に該当する骨盤痛
膿が混じったおりもの ときに発熱または悪寒 新しいセックスパートナーとコンドームやペッサリーを使用せずに性交をしている女性によくみられる | 子宮頸部から採取したサンプルのPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査や培養検査などの微生物学的検査 ときに骨盤内超音波検査 | |
その他の病気 | ||
通常、持続する痛みおよび右下腹部の圧痛 別の部位(腹部のもっと上)が痛む場合や、妊娠していない人とは痛みの種類が異なる(軽い痛みやけいれん痛の場合)ことがある | ときに医師の診察のみ ときに骨盤内超音波検査および腹部超音波検査 超音波検査の結果がはっきりしなければ、ときにCT検査 | |
恥骨の上の辺りに感じる不快感 しばしば排尿時の灼熱感、尿意を感じる回数の増加(頻尿)、急な尿意(尿意切迫) ときに血尿 | 尿検査および培養 | |
以下を含む 炎症性腸疾患 炎症性腸疾患(IBD)の概要 炎症性腸疾患とは、腸に炎症が起き、しばしば腹痛と下痢が繰り返し起こる病気です。 炎症性腸疾患としては、主に以下の2種類の病気があります。 クローン病 潰瘍性大腸炎 この2つの病気には多くの共通点があり、ときに判別が難しいことがあります。しかし2つの病気にはいくつかの違いがあります。例えば、クローン病は消化管のほぼすべての部分に起こりうるの... さらに読む | 以下に該当する痛み
しばしば下痢(ときに粘液や血液を伴う) 通常、その病気であると分かっている女性に発生する | ときに上部消化管、下部消化管の内視鏡検査(S状結腸鏡検査または大腸内視鏡検査)、またはその両方 |
現れたり治まったりする差し込むような痛み 嘔吐 排便の欠如または腸内のガス(鼓腸) 腹部の膨隆 通常、腹部手術を受けたことのある女性に発生する | ときに医師の診察のみ ときに腹部のX線検査、骨盤内と腹部の超音波検査、および/または腹部と骨盤部のCT検査 | |
通常、嘔吐や下痢 | ときに医師の診察のみ ときに便検査と便培養 | |
*特徴としては症状や診察結果を示しています。示されている特徴は典型的なものですが、常に認められるわけではありません。 | ||
†医師の診察は必ず行われるものであり、これがこの列に記載されるのは、検査を一切することなく医師の診察だけで診断ができることがある場合だけです。 | ||
‡女性が市販の妊娠検査薬しか使用していない場合、一般的に尿妊娠検査が行われます。異所性妊娠は非常に危険な状態になることがあるため、症状が明らかに別の病気(胃腸炎など)を示唆していない限り、骨盤痛のある女性のほとんどで異所性妊娠がないか調べるための検査を行います。 | ||
CT = コンピュータ断層撮影、MRI = 磁気共鳴画像。 |