高齢者の多くにある程度の甲状腺機能低下症がみられます。およそ女性の10%、男性の6%に発生します。 体重増加、筋肉のけいれん、手のチクチク感、寒さに弱くなるなどの典型的な症状は、高齢者では少なくなります。高齢者に同様の症状がみられる場合もありますが、あまり明確には現れません。 典型的ではない症状が高齢者にみられることもあります。例えば、体重減少、錯乱、食欲減退、関節のこわばり、関節痛や筋肉痛、脱力感、転倒しやすくなるなどの症状です。 高齢者にみられる症状はいろいろで、漠然としていてとらえにくいことが多く、甲状腺機能低下症ではない高齢者にも一般的なため、こうした症状の原因が甲状腺機能低下症であることに医師が気づかない場合があります。甲状腺刺激ホルモンの血中濃度を測定するスクリーニング検査が重要です。甲状腺機能低下症の症状がみられない場合でも、65歳になればこの検査を行うべきです。 |