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加齢に関連する注意点:肺炎

加齢に関連する注意点:肺炎

肺炎は若い人より高齢者に多く発生し、高齢者では重症化しやすい傾向があります。高齢者の多くでは、感染が肺以外にも広がります。

高齢者では感染に対する防御機能が低下しており、気道から微生物を排除する仕組みが若い人ほど有効に働きません。筋力の低下によって、うまくせきができない場合もあります。年齢とともに免疫系の機能も低下します。次のような高齢者は、肺炎になるリスクが高くなります。

  • 喫煙や慢性閉塞性肺疾患によって肺が損傷を受けている人(喫煙は、肺の内面に炎症を起こすとともに、気道を掃除してきれいにしてくれる細胞の正常な働きを妨げます)

  • 最近、かぜなどの軽い感染症、特にインフルエンザに感染し、肺に炎症を起こしている人

  • せき反射がほとんどない人(過去の脳卒中の後遺症によるものなど)や、衰弱のため、あるいは最近受けた手術や事故で痛みがあるため力強いせきができない人

  • 栄養不良の人など、感染に対する抵抗力が弱まっている人

  • コルチコステロイドのような、免疫機能を低下させる特定の薬剤を服用している人

  • 心不全や糖尿病などの病気がある人

  • 気管支内またはその近くにがんがある人(がんが気道をふさぎ、肺胞に到達した微生物を閉じ込めてしまうため)

  • 麻痺がある人(例えば、脊髄損傷または脳卒中のため)

  • 意識がはっきりしていない人(理由の1つとして、せきができないことでリスクが高まる)

肺炎を引き起こす一部の微生物に対しては、 ワクチン接種 肺炎を予防するワクチン 肺炎は、肺にある小さな空気の袋(肺胞)やその周辺組織に起きる感染症です。 肺炎は、世界で最も一般的な死因の1つです。 重篤な慢性の病気がほかにある患者において、肺炎はしばしば最終的な死因となります。 肺炎の種類によっては、ワクチンの接種によって予防できます。 米国では、毎年約400~500万人が肺炎を発症し(... さらに読む 肺炎を予防するワクチン で感染を予防することができます。そのため、65歳以上の高齢者には、 肺炎球菌ワクチン 肺炎球菌ワクチン 肺炎球菌ワクチンは、肺炎球菌 Streptococcus pneumoniae(肺炎双球菌)によって引き起こされる細菌感染症の予防に役立ちます。 肺炎球菌感染症としては、 耳の感染症、 副鼻腔炎、 肺炎、 血流感染症、 髄膜炎などがあります。 詳細については、CDCによる肺炎球菌結合型(PCV13)ワクチン説明書(Pneum... さらに読む を接種するよう勧められます。65歳未満であっても、肺炎のリスクが高まる病気がある人は、ワクチンを接種すべきです。インフルエンザウイルスも肺炎を引き起こしたり、そのきっかけとなったりすることがあるため、高齢者では特に、 COVID-19のワクチン COVID-19ワクチン 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチンは、COVID-19に対する予防効果をもたらします。 COVID-19は、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)の感染によって引き起こされる病気です。現在、COVID-19に対する複数のワクチンが世界中で使用されています(COVID-19ワクチンの最新動向[COVID-19... さらに読む の接種完了と、 インフルエンザワクチン インフルエンザワクチン インフルエンザウイルスワクチンは インフルエンザの予防に役立ちます。米国では、A型とB型の2種類のインフルエンザウイルスが定期的にインフルエンザの季節的流行を引き起こしています。どちらの種類にも、多くのウイルス株が存在します。インフルエンザの大流行を引き起こすウイルス株は毎年変わります。このため、毎年新しいワクチンが必要になります。それぞ... さらに読む の毎年接種が勧められます。

肺炎になった高齢者のほとんどは、入院して抗菌薬の静脈内投与による治療を受けます。肺炎を発症すると、高齢者は急激に状態が悪化する可能性があり、また高齢者では経口の抗菌薬による効果が得られにくい傾向があります。