ヒト免疫不全ウイルス(HIV)はレトロウイルスの一種で、他の多くのウイルスと同様に、遺伝情報を DNA DNA 遺伝子とは、DNA(デオキシリボ核酸)のうち、細胞の種類に応じて機能する特定のタンパク質の設計情報が記録された領域のことです。染色体は、細胞の中にあって複数の遺伝子が記録されている構造体です。 遺伝子は染色体内にあり、染色体は細胞の核にあります。 1本の染色体には数百から数千の遺伝子が含まれています。... さらに読む HIVが人の細胞に侵入すると、RNAを放出し、逆転写酵素と呼ばれる酵素により、HIVのRNAからDNAの複製を作ります。こうしてできたHIVのDNAは、感染した細胞のDNAに組み込まれます。この過程は、人の細胞が利用する、DNAからRNAの複製を作るものとは逆のものです。このためにHIVは、この逆向きの過程を指して、レトロウイルスと呼ばれています。 ポリオウイルス、インフルエンザウイルス、はしか(麻疹)ウイルスといった他のRNAウイルスは、レトロウイルスとは異なり、細胞に侵入した後にDNAの複製を作ることはありません。これらのウイルスは、単に元のRNAからRNAの複製を作るだけです。 HIVが感染した細胞では、細胞分裂が起きるたびに、細胞自身のDNAに加えて、組み込まれたHIVのDNAも新たに複製されます。HIVのDNAの複製は以下のいずれかの状態になります。
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