糸球体疾患 | 説明 | 予後(経過の見通し) |
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先天性および乳児ネフローゼ症候群 | これらは遺伝性のまれな病気です。原因になる主な病気として、先天性ネフローゼ症候群(フィンランド型)とびまん性メサンギウム硬化症の2つがあり、これらは巣状分節性糸球体硬化症とよく似ています。フィンランド型では出生時から症状がみられ、びまん性メサンギウム硬化症では小児期に発症します。 | これらの病気にはコルチコステロイドが効きません。血中アルブミン濃度が極度に低下することから、両側の腎臓を切除する手術がしばしば検討されます。腎移植が可能となる条件が整うまで、透析を含めた支持療法が行われます。 |
巣状分節性糸球体硬化症 | この病気では糸球体に損傷が生じます。主に青年に発生する病気ですが、成人の若年層と中年層にもみられます。黒人で比較的多くみられます。 | 治療の効果があまりみられないため、予後は不良です。成人であれ小児であれ、大半が診断後5~20年のうちに末期腎不全へと進行します。 |
膜性増殖性糸球体腎炎 | まれな種類の糸球体腎炎で、発症年齢は主に8~30歳です。原因は、腎臓に付着した免疫複合体(抗原と抗体が結合した複合体)の沈着で、付着する理由はときに不明です。 | 治療可能な病気( 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデスは、関節、腎臓、皮膚、粘膜、血管の壁に起こる慢性かつ 炎症性の自己免疫結合組織疾患です。 関節、神経系、血液、皮膚、腎臓、消化管、肺、その他の組織や臓器に問題が発生します。 診断を下すため、血液検査のほか、ときにその他の検査を行います。 全身性エリテマトーデスの全患者でヒドロキシクロロキンが必要であり、損傷を引き起こ... さらに読む |
膜性腎症 | 重篤な糸球体の病気で、主に成人にみられます。白人で比較的多くみられます。 | 約25%の人では、尿中へのタンパク質の排泄が止まります。約25%の人が末期腎不全に移行します。その他の人では、ネフローゼ症候群または無症候性タンパク尿・血尿症候群として、尿中へのタンパク質排出が持続します。 |
メサンギウム増殖性糸球体腎炎 | 原因が特定されないネフローゼ症候群患者のうち約3~5%は、この病気によるものです。あらゆる年齢で発生します。 | 約50%の患者はコルチコステロイド投与に最初は反応します。約10~30%は進行性の腎不全へと進展します。再発時には、シクロホスファミドによる治療で効果が得られることがあります。 |
微小変化群 | 軽度の糸球体の病気で、小児に多くみられますが、成人でもみられます。 | 予後(経過の見通し)は良好です。小児では90%、成人でもほぼ同じ割合で、治療の効果が得られます。ただし、成人の30~50%では再発がみられます。1~2年間の治療後には、80%以上の患者が軽快し、その状態が生涯維持されます。 |